OSR2は従来のWindows 95に比べてかなり機能アップを図っています。FAT32やInternet Explorer 3.01などの標準搭載、PCカード関連機能の強化など、機能アップの内容を事細かに書いているときりがないほど多いのですから、それらは雑誌等の記事に任せます。興味のある方はインプレスのDOS/V POWER REPORT 1月号などを読むと良いでしょう。ただし、雑誌等は「一般公開しないのはなぜだろう?」のように書いている場合が多いです。多くのユーザーも欲しがっているかもしれません。しかしながら筆者は販売店側の立場として考えますと、アップグレード版や製品版のように提供しなくて正解だと思っています。なぜそう思うかは後述します。
1)ちょっと古いマシンだと動かない場合がある。
2)古いドライバをインストールしても動かない場合がある。
さらに、FAT32を利用していると、以下のふたつの問題があります(*編集部注1)。
3)OSR2 と Windows NTを一台のマシンで共存できない(Dual BOOTができない)
(*注1)
4)ディスクユーティリティを中心に動かないソフトが少ないながらある。
このような問題は新しいOSが出れば必ず伴うことで、Windows 95が出たときも同じような問題が出たのですが、OSR2は今までに比べて顕著に問題が出る傾向があります。
まず1)と2)の問題ですが、これは理由がはっきりしています。OSR2はWindows 95がプリインストールされている新しいパソコンにインストールされるOSですから、古いパソコンで動かすことを想定する必要がないわけです。
3)の問題は従来のWindows NTが新しい機能であるFAT32をサポートしていないため、動きません。Windows NT 4.0と共存して使いたいユーザーも多いと思うのですが……。
4)の問題もFAT32に起因することが多く、従来のソフトがFAT32へのアクセス方法を持っていないためです。これは時間が解決してくれる問題だと思いますが、古いWindows 3.1用ソフトやDOSのソフトでは時間では解決されない問題でしょう。
*編集部注1 | メーカーの多くはFAT16フォーマットで出荷している。3)4)の問題は、メーカー出荷時のFAT16のまま使用する場合には気にする必要はない。 |
*注1 | OSR2はFAT16(従来のモード)での使用も可能ですが、多くの利点がなくなってしまいます。FAT16ならばWindows NTも使用可能らしいですが未確認です。LIFEBOAT社のSYSTEM COMMANDER3 というソフトが3月末に発売される予定ですが、これを使えばFAT32でもOSの切り替えが可能らしいです。 |
もし現在のOSR2をどのユーザーでも手に入れるような形にしたらどうなるでしょう?
動かないマシンや問題が発生するマシンが多発し、マイクロソフトのサポートセンターはパンクしてしまうでしょう。またパソコンを作って販売しているメーカーやパソコンショップも、昔に売ったマシンやパーツへの問い合わせ等が殺到し、従来のサポートが出来るかどうか非常に疑問です。小さなパソコンショップにとっては死活問題になるかもしれません。これが最初に書いた「提供しなくて正解」と思う理由です。メーカーやショップはこういう問題も考えなくてはならないのです。
このような事が容易に想像できるため、単品販売やアップグレード、アップデートなどの手段を提供するならば、新しい機能を取り込むことは出来なかったでしょう。マイクロソフトはOEM向けという限られた市場で、新しいハードウェアで動かすことを念頭にしたからこそ、新しい機能を取り込むことが出来るという判断をしたと想像できます。
さらにOEM向けはマイクロソフトによるエンドユーザーへのサポートがありません。サポートはプリインストールして販売している、メーカーやパソコンショップが請け負うことになるのです。必然的にメーカーやパソコンショップは問題のない構成のパソコンを作り、インストールして販売することになります。筆者としてはマイクロソフトのこの戦略は正しく、理にかなっていると思います。
そういう隙間を狙って、OSR2を単品販売に近い形で隠れて販売しているパソコンショップが存在するようです。もちろんマイクロソフトが認めているわけではなく、OEM販売の契約に違反していると思われます。「単品販売に近い形」というのは、例えばCD-ROMドライブとOSR2をセットで販売していたりするわけです。マイクロソフトはもちろん認めていないやり方ですが、実際に存在し、マイクロソフトに見つからないようにゲリラ的に販売しているようです(*注2)。しかも普通より高額で販売している場合もあるようです。それでも売れてしまうというからユーザーの欲望は果てしない……。
しかし気をつけてほしいのは、このような販売方法をとるショップに問題があるのはもちろんですが、ユーザーもOSR2に付いている「ソフトウェア使用許諾契約書」に違反することになるので、ユーザーにも問題があるのです。契約書にはきっちりと「新しいコンピュータシステムに付随していない場合は使用できない」と明記してあります。
組み立てキットとして新しいマシンの部品一式と、OSR2をセットに販売しているショップもありますが、これは新しいシステムの販売と見なされるようで問題ないそうです。
あとは新しいマシンを買ってそれで使うしかないですね。そのマシンをベースにし、アップグレードやパーツの入れ替え等をすれば問題ないと思いますけどね。それでも一つのマシンを買うわけだから高くつきますね。
*注2 | 筆者もメモリとOSR2をセットにして売っているお店を1回だけ見かけたことがあります。 |
さらにOSR3が出るという噂も耳に入ってきました。本当か嘘かさっぱりわからないですけど、出るとしたらなにが変わるのかな?(*編集部注2)
*注3 | マシン側のUSBコネクタはたくさん見るのですけど、実際の機器はいつ頃出てくるのだろう? |
*編集部注2 | 編集部よりOSRのバージョンについてマイクロソフトに確認したところ、「現行のOEMバージョンはOSR2.1で、USBをサポートしている」、OSR3については「まったく予定がない」との回答を得た。 |
筆者個人としてはMemphis全体よりInternet Explorer 4.0の方が非常に気になります。先日Internet Explorer 4.0のデモを見たのですが、かなりすごいです。これは期待大です。まもなく英語版のβテストも始まるのではないかという話もありますが、早く出て欲しいものです。
消費税も上がる前の最後のチャンスですし、私も自宅用に何か買おうかな?
[Text by AMUAMU]