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■ゲームソフトインプレッション■

ザ・コンビニ アナザーワールド ジャンル：経営シミュレーション 発売メーカー：マスターピース 標準価格：7,800円 対応OS：95 備考：前作「ザ・コンビニ」のシステムを踏襲し、新たに「ファンタジーRPGワールド」、「ねこワールド」、「リバースシティ」の3種類計6マップを収録したシリーズ最新版。「ザ・コンビニ」がなくても、単独で動作する。

【筆者紹介】 名前：平野裕子 好きなジャンル：スポーツ・レース・フライトシミュレーション以外 プロフィール：雑誌「Mac Life」や各種攻略本などに起稿しているフリーライター 【総プレイ時間・ハード環境】 総プレイ時間：約50時間 使用ハード：コンパック「Presario 9542」 CPU：Pentium 100MHz メモリ：8MB グラフィック：S3 TRIO 64V（2MB） サウンド：サウンドブラスタ互換

全ての登場キャラクターが猫、商品も猫缶、猫じゃらしなどが登場する「ねこワールド」	戦場で傷ついた戦士が薬草を買いに来たり、おしのびで王様が立ち寄る「ファンタジーRPGワールド」	戦争直後の荒れた町が舞台の「リバースシティー」

(C)1997 Masterpiece Co.,LTD

　「あんた今日から航空会社の経営者ね」と言われたら、壁を人型にぶち抜くイキオイで後ずさりしたくもなるが、これが「コンビニ経営」だと「んん～、なんとかなるかも」と思えてくる。航空会社の場合経営手腕がどうこう言う以前に、全体のしくみだとか流れだとか専門用語などを一から覚えなければならないが、コンビニだったら自分の知識や経験がある程度活かせるわけで、すでに攻略の手間が1段階省かれるということになる。

　「売れるシミュレーションゲーム」として大切なのは、この「なんとかなるかも」指数の高さと「何で私が」指数の低さ。ここで言う「なんで私が」指数とは、某遊園地経営シミュレーションの「なんで経営者がコーラやポテトを随時仕入れなければならんのだ！」というアレや、某リゾート開発シミュレーションの「なんでリッチな島のオーナーが道路建設やら木材の輸入などの現場作業を行わなければならんのだ！」というソレの、理不尽な設定に対するストレスの度合いを指す。ストレスがまったくないゲームってのもつまらなさそうだが、どうせなら経営者らしい苦労させろよ。その点『ザ・コンビニ』は最初に扱う商品や営業方針，内装を決定して店を作れば、あとは雇い入れたスタッフたちが清掃や商品の補充をしながら勝手に店を切り盛りしていってくれる。経営者である自分は宣伝や誘致、店のリサーチ＆リニューアルを行って自分のチェーンがメジャーになる戦略を立てていけばいい。

　店舗数を増やしたい場合でも、評価が高い店の内装を一度保存しておいて、それを読み込めばあっという間に2号店、3号店のできあがり。また、時が経つにつれてスタッフや街そのものが育っていく「勝手に成長システム」だから、すべての店で黒字が出る段階になれば、あとはもう見てるだけ。なんてプレイヤーに都合のいいゲーム展開なんだ！

「いいコンビニ、悪いコンビニ」、「いいスタッフ、悪いスタッフ」の区別がつく人なら、誰もがそれなりの成功をおさめることができるこの作品が大ヒットしたのは至極当然のことと言えるだろう。（3月21日にイマジニアからMacintosh版『ザ・コンビニ』が発売されるので，MACユーザーさんはそちらをどうぞ）

●扱う商品にいちいちニヤついてしまう新しい世界

　「ん～、もう、マスターピースさんって商売上手なんだからァ～」という性根が腐ったツッコミはいったん置いといて、いや、参りました。何にって、新バーションのテーマとしてネコと中世、近未来を選んだそのセンスに。どれもが架空の世界、つまりファンタジーな設定なのだが、それでもまだ「なんとかなる」指数を維持させている。これがまったくのSFだったとして「エイリアンAタイプ：今日買ったもの→燃料PK-305　買いたいもの→Z型プラグ」っちゅーデータが出てきたら、なんのこっちゃでその星の生態系から学ばなければいけないところだ。でも、ネコちゃんのお店の商品は各種猫缶、つめとぎやまたたび、中世の方は薬、呪文書、通常装備品の他に伝説の武器なんてものまで売っている。そして3つめの世界、「リバースシティ」は、寝袋、スタンガン、サバイバルキットなどから高級衣料や嗜好品へと、荒廃した街が復興するに従って客のニーズがみるみる変化していく劇的なシナリオだ。おそらく制作側は「小手先を変えただけで楽して儲ける」というのではなく、経営シミュレーションと聞いただけで腰が引けてしまうユーザーにも遊んで欲しいからこそ、これらの「アナザーワールド」を用意したのだと思う。

●お子様のためのエデュテインメントソフトとしてもぞうぞ

　ネコが好きな人。中世ファンタジー、もしくは近未来的な世界観が好きな人。ドールハウスが好きな人。リカちゃん本体やリカちゃんハウスよりも備品としてついてくる足の親指大パンティーや精巧に作られた食器に気がいってしまう人。すでに前作を遊び倒しておきながらまだプレイしたい人。かわいければなんでもいい人。万引きをやめたい人、もしくはやめさせたい人。以上のどれかひとつでも該当する人は、何も考えずに7,800円持ってソフトショップにレッツゴー！だ。

[Text by 平野裕子]

□Weekend Summary
●'97東京おもちゃショーレポート　ほか

□近日発売ソフトタイトルカレンダー
●3/21～3/28発売予定ソフトタイトル
●新規追加、発売日変更ゲームソフトタイトル

□ゲームソフト発売予定カレンダー
3月・4月・5月・未定・MMX対応タイトル・Power VR専用タイトル