後藤弘茂のWeekly海外ニュース
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●MicrosoftがNetPCのスペックを今週発表か?

 米Microsoft社が、対NC (Network Computer)用ウェポン「NetPC」の最終スペックを確定したらしい。「NetPC standard to allow for customization」(InfoWorld,2/22)によると、今週にもその内容が発表されるという。NetPCは、昨年10月のWeb開発者向けカンファレンス「Site Builder Conference」で発表したのだが、その時の内容は、事実上コンセプトだけ。具体的な展開やスペックの詳細は決まっていなかった。しかし、あれから4ヶ月、ようやくMicrosoftと提携ハードウェアメーカーは、スペックを煮詰めたようだ。目新しいのはOEM向けの拡張スロット(NetPCにはエンドユーザー向け拡張スロットがない)の規格が加わるらしいこと。4月のWindows Hardware Engineering Conference (WinHEC) 97で発表される新しい拡張ベイ規格が取り入れられる可能性があると報じる記事「Microsoft to unveil initiative at WinHEC to enhance PCs' upgradability」(InfoWorld,2/17)もある。でも、NetPCって、その背後のWindowsパソコンの管理コスト削減構想「Zero Administration initiative for Windows (Zero-Admin Win)」が完成しなければ、タダのFDDのないパソコン。はたして、Zero-Admin Winは間に合うの?


●ActiveXコントロールが危ない?

 Microsoftに関して言えば、先週、先々週はグッドニュースよりバッドニュースの方が多かった。とくに、大きく取り上げられたのは、ActiveXコントロールのセキュリティ上の疑問。発端は、有名なハッカークラブ「Chaos Computer Club (CCC)」が、ドイツのメディアでActiveXコントロールを使って不正アクセスができることを実演して見せたことだ。「ActiveX - Conceptional Failture of Security」(CCCの英文資料)。そのため、この2週間はActiveXコントロールの危険性を指摘するニュースがあふれた。「Actively defending ActiveX」(CNET,2/19)によると、この問題に対処するために、MicrosoftはActiveXコントロールやJavaなどのセキュリティを啓蒙するコーナー「Web Executable Security Advisor」をあわててオープンしたとか。ActiveXコントロールの潜在的な危険性については、発表当時から指摘されていたが、目の前に突きつけられてからでないと、やっぱり騒ぎは大きくならないようだ。


●米国のインターネットアクセス料金が上がる?

 ところで、米国ではインターネットアクセスプロバイダの料金が値上がりする可能性がある。「Voice phone network jams could drive up Net costs」(USA TODAY,2/17)によると、米国の電話会社はプロバイダに対して現在課されていない接続料を要求しているという。これは、連邦通信委員会(FCC)によるプロバイダが電話会社に支払う料金に関する意見収集の動き「THE FCC, INTERNET SERVICE PROVIDERS AND ACCESS CHARGES」(FCC資料)を反映したものだ。以前に書いたコラム「インターネットで電話網が崩壊する!?」で紹介した通り、米国ではインターネットダイヤルアップアクセスが増えたために、一般電話がつながりにくくなるという事態を一部で招いている。電話会社としては、インターネットのおかげでこんな事態になったのだから、プロバイダにも負担して欲しいというわけだ。

 もっともプロバイダ/パソコン通信各社は、強烈な過当競争でそれどころじゃないかも知れない。「CompuServe chief resigns as rivals make gains」(The Seattle Times,2/18)によると、CompuServeでは業績の悪化で同社のロバート・マッシィ社長兼CEOが退陣に追い込まれたという。ほんの2年前までナンバーワンのパソコン通信でも、インターネット化の波に乗り遅れればこの通りという厳しい世界だ。


●ますます加熱する56Kモデム戦争

 しかし、電話網でのインターネットアクセスが問題になっているというのに、56Kbpsモデム戦争の方ますます加熱する一方。先陣争いでは、結局、米U.S. Robotics社が先週の出荷を断念したが、「56-kbps delay for U.S. Robotics」(CNET,2/20)によると、同社はそれでも、今週には出荷する予定らしい。米Rockwell International社がチップの出荷体勢を整える前に、モデムを出荷したという実績を作ろうというわけ。なにもそこまで焦らなくたってという気がするけど。


●ニュースサイトウォッチがまたひとつ

 さて、このコーナーは、海外ニュースサイトの動向を伝え、クリックひとつで記事を読めるというコンセプトでやってきたわけだが、同じようなページがほかにも登場した。といってもPC Watchのようなニュースサイトの中ではなく、「PC DAY ONeLine」という個人のページ。ニュースサイトをウォッチするのは、取材が必ずしも必要ないので、英文を大量に読む根性さえあれば別にライターでなくてもできる。個人が商業サイトと互して「ゲリラ戦」ができる、このあたりが、やっぱりインターネットの面白さだ。


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('97/2/24)

[Reported by 後藤 弘茂]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp