【周辺】
プロカメラマン山田久美夫のPMAレポート第2弾
PMA初日レポート 「パナソニック PalmCam」ほか
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現地時間20日にアメリカ ルイジアナ州ニューオリンズでいよいよ開幕した、アメリカ最大のカメラショー「PMA」。昨日の前夜レポートでもお知らせしたように、国内未発表のデジタルカメラも数多く出品され、なかなかのにぎわいを見せている。とくに今回は、デジタルカメラを中心とした展示が各社メインとなっている。もちろん、普通の銀塩カメラも出展されているものの、新製品が少なく、新規市場が見込めないこともあって、時代は確実にデジタルへと動き始めていることを実感させる内容となっている。
今回はPMAに出品されたデジタルカメラの中から、今回の目玉といえる「松下 PalmCam」を中心にレポートしよう。
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●コンパクトクラスの決定版現わる!
液晶付きで世界最小のポケットサイズを実現した「パナソニック PalmCam」
PMA前夜のレポートでプレスレリースをもとに第一報した「松下 PalmCam」。その実物をブースで見た瞬間、そのあまりの小ささに、思わず「おお!!」と声を出してしまったほど、そのモデルは衝撃的だった。
とにかく写真を見ていただければわかるように、この小ささはタダモノではないレベル。NECのピコナの小ささもなかなか感動的だったが、このモデルはピコナを遥かにしのぐほどコンパクト。なにしろ、会場を訪れていた各社のデジタルカメラ担当者があきれ返り、話題がこのモデル一色になるほど、魅力的な超小型軽量モデルだった!
その小ささは、実寸でも89×60×32mmしかなく、ほぼ完全なカードサイズ! 重さも約155g(電池なし)と軽量だ。本当に現物を手にすると、にわかに信じがたい世界があるほど。感覚的にはコダック DC20に液晶を付けて、グンと薄型にした感じで、胸ポケットにもまさに楽々収納できるほど。
しかも、ボディーの前後が金属でできており、仕上げもキレイで、とても高級感があるのもうれしい。そう、雰囲気的には、APSカメラの「キヤノン IXY」に近い感触だ(なんで、キヤノンはこのモデルをOEM供給用に選ばなかったんだろう?)。ごく素直にいえば、性能の善し悪し以前に、”欲しい~”という物欲魂が先行するタイプのデジタルカメラといえば、その雰囲気が分かっていただけるのではないだろうか?
もちろん、基本機能も充実している。まず、ファインダーはTFT式の1.8インチカラー液晶で、明るくてなかなか見やすいもの。レンズは単焦点式で、パンフォーカスモードのほか、8cm前後の接写ができるマクロモードもきちんと用意されている。
CCDは35万画素のプログレッシブスキャン方式で、画像サイズはもちろんVGA(640×480ピクセル)がベース。メモリーは2MBの内蔵式のみで、画質最優先のスーパーファインで16枚、ファインモードで32枚。さらに、1/4VGA(320×240ピクセル)のエコノミーモードでは94枚の撮影ができるため、メモ用カメラとしても便利。なお画像フォーマットはJPEGが採用されている。
さらに、附属の軽量なドッキングステーションのうえにポンとセットするだけで、ワンタッチで、シリアル転送(115Kbps)やNTSCビデオ出力ができる点もきわめて便利。電源は単3型2本でアルカリ電池での撮影も可能だが、本機にはNi-Cd電池が附属しており、ステーションへの接続により簡単に充電ができるというなかなかのスグレモノ。とにかく、簡単便利で、実用的に考えられている点に好感が持てる。
また、ビデオ出力時には順次画像を再生するオートプレイモードがあるため、テレビで気軽にスライドショーができる。しかも、パソコンがなくても、オートプレイのままビデオに記録しておけば、簡易的な画像の保存ができるわけだ。
しかも、これだけ魅力的で機能が充実しているにも関わらず、価格はアメリカで499ドルと超手頃。これにはNi-Cd電池からACアダプター、専用ドッキングステーションはもちろん、Adobe PhotoDeluxeやEsyPhotoなどのソフトウエア(Macintosh&Windows)まで附属しているからオドロキだ。なお、アメリカでの発売は4月末を予定しているという。
画質は会場で見る範囲では、なかなか良好。やや液晶表示が遅めで、ファインダーとして使った場合に表示がコマ送り的(初代QV-10のような感じ)になる点が気になるが、このサイズを考えれば許せるレベル。これで内蔵メモリーが2倍の4MBあれば、現時点ではほとんどいうことのないレベルといえる。
だが、実はこのモデル、日本国内での発表や発売の予定が現時点でたっておらず、今回のショーでの反応を見てから考えると、開発元である松下寿の担当者はいう。しかし、これほど魅力的で、日本国内市場でもライバル機に比べて十分過ぎるほどのアドバンテージがあるモデルであり、この性能、この価格で登場したら、大ヒットする可能性があるだけに、日本国内での早期発売を、ぜひとも希望したいところ。もちろん、ユーザーの声が高まれば、日本国内での展開もあり得るので、興味のある人は松下側にどんどん問い合わせてみるといいだろう。
とにかく、アメリカ国内では4月末発売ということなので、もし日本で発売されなかったおりには、ゴールデンウイークにアメリカへゆく人に頼んで、おみやげとして買ってきてもらうのが、一番早く入手できる方法になりそうだ! もっとも、人気がありすぎて品切れになる可能性も十分にあると思うが……。しかしまあ、同じ松下グループから登場したモデルのなかでも、ピカイチの魅力を備えた機種が、アメリカの、それもカメラがメインのPMAで発表されるとは思いもしなかった! おそらく、このモデルが今回のショーで一番の収穫といえそうだ。
※追記 帰国後確認したところ、撮影間隔は、標準モード7秒、ファイン20秒、スーパーファイン25秒ということだ。
【「PV-DC1000」“PalmCam”の主な仕様】
- 35万画素CCD
- メモリー:2MB
- 画像サイズ:640×480ピクセル or 320×240ピクセル
- 撮影枚数:640×480ピクセル 32枚,320×240ピクセル 94枚
- モニター:1.8インチTFT液晶内蔵
- レンズ:5.7mmF3.8(35mmカメラ換算55mm相当)
- シャッター速度:1/8~1/20,000秒
- 付属品:単3型Ni-Cd電池(100枚以上の撮影が可能)
- 発売時期:'97年5月
- 価格:(ストリートプライス) $499.95
●注目のCMOSユニット採用の80万画素モデル! 「Vivitar ViviCam3000」
日本資本のラボチェーン「プラザクリエイト」傘下メーカーである米Viviarの2台目のデジカメ。以前紹介したViviCam2000の上位機種にあたる。
「Vivitar ViviCam3000」は、CMOSを受光素子に採用した実効80万画素モデル。CMOSは、カラーフィルターがRGBTの4色方式を採用している。画像サイズは800×1000ピクセル(ベストモード)とスタンダードモード(500×800ピクセル)があり、ビット数は30bitカラーとなっている。ファインダーは光学式のみで、記録媒体は内蔵の2.5MBメモリーのほか、PCMCIAカードの利用できる。撮影枚数は内蔵メモリーのみでは、ベストモードで12枚、スタンダードで25枚という。また、音声録音やムービーも記録でき、ライブカメラとしても使えるなど、なかなか多機能だ。ただし、電池は単3型6本と多めだ。
スタイルは大きめのコンパクトカメラそのものだが、6本もの電池を収納するためにグリップ部が異様に大きいのが特徴。液晶ファインダーこそないが、これなら誰でもコンパクトカメラ感覚で撮影できそうだ。個人的には今後のデジタルカメラのなかで、CMOSの存在が次第にクローズアップされてくると思っていることもあって、スペック的にはなかなか興味深いモデルといえる。
【Vivitar ViviCam3000の主な仕様】
- 受光素子:CMOSセンサー(RGBT 4Color・30bit)
- 画像サイズ:1000×800ピクセル(ベストモード)/500×800ピクセル(スタンダードモード)
- 記録媒体:内蔵(2.5MB)、PCMCIA Type1/2
- レンズ:12mmF4
- フォーカス:固定焦点式(1m~無限遠)
- シャッター速度:1~1/2,000秒
- ストロボ:内蔵式
- ファインダー:光学式
- 外部出力:RS-232C or NTSC
- 電池:単3型電池×6
- 大きさ:約125×63×45mm
- 重さ:約170g
●メカっぽい雰囲気の「ペンタックス EI-C90」
ようやく登場したペンタックスのデジタルカメラ(日本のカメラショーでは参考
出品となる)。実物を見てみると、なかなか個性的でとってもメカっぽい雰囲気が
あって、昔のSF映画に登場しそうなデザインだ。
ボディー単体では、なかなかコンパクトで携帯性も良さそうだが、液晶ユニット
を付けると、結構横幅が広くなるのが気になる。また、昨年春に公開された参考出
品モデルからあまり進化していないように感じられる点も残念だ。スペック的にみ
ても、ちょっと中途半端な感じで、世界初が大好きな同社のモデルとしては、やや
おとなしいものとなっているのが残念だ。
【ペンタックス「EI-C90」の主な仕様】
- CCD:1/4インチ 41万画素CCD
- 画像サイズ:768×560ピクセル
- 記録媒体:内蔵(2MB)、PCMCIA Type1 or 2(ATA or SRAM)
- 記録フォーマット:TIFF or JPEG
- レンズ:5.2mmF2.8(35mmカメラ換算35mm相当)
- フォーカス:固定焦点式(マクロモード2cmから1m)
- シャッター速度:1/8~1/1,000秒
- ストロボ:内蔵式(ガイドナンバー6)
- ファインダー:光学式(液晶モニター装着可)
- 外部出力:NTSC
- 電池:リチウムバッテリー(CR2)×2
- 大きさ:107×81×27mm
- 重さ:180g
●899ドルのAF3倍ズーム付きモデル「SAMSUNG SSC-410N」
昨日一報した韓国・SAMSUNG初のデジタルカメラ「SSC-410N」。外観は結構大きめ
だけど、実際に手にしてみると、意外に軽い。3倍ズームレンズ内蔵式で、しかもオ
ートフォーカスの魅力的なスペック。会場ではNTSC出力経由で、テレビ画面に映し
てのデモを行っていたが、そこで見る限りではなかなか画質も良さそうだし、オー
トフォーカスの作動が速いのも大きな魅力。液晶ファインダーは周囲からの光を遮
るフードを内蔵したユニークなもので、比較的見やすかった。また、昨日は光学式
ファインダーもあると報じたが、確認したところ液晶式のみとなっていた。記録媒
体もコンパクトフラッシュを採用しており、なかなか便利そうなモデルだ。価格は
アメリカ国内のストレートプライスで899ドルを予定しているという。技術力があり
低価格化が得意なメーカーだけに、今後の動向が注目される。
【SAMSUNG SSC-410Nの主な仕様】
- 画像サイズ:768×494ピクセル
- 記録媒体:コンパクトフラッシュカード
- 撮影枚数:Fine 30枚、Normal 60枚、Economic 120枚(いずれも4MBカード使用時)
- 記録フォーマット:JPEGベース
- レンズ:3倍ズーム(焦点距離不明)
- フォーカス:オートフォーカス(無限遠~0.8m)、マニュアル(無限遠~0.4m)
- ストロボ:内蔵式
- ファインダー:液晶式/光学式
- 電池:単3型リチウムバッテリー
●<おまけ>フィリップス? デジタルカメラ
会場を回っていると、ときどき、見たことのないものに出会う。この写真はカシオブースにいた人が持っていた、フィリップスブランドのデジタルカメラ。どっかで見たようなスタイルだが、色が違うし、ボディー上面にはフィリップスの文字が……。やっぱり、世界は広い!
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【2/20】山田久美夫の「PMA前夜、デジカメレポート」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970220/pma.htm
('97/2/21)
[Reporterd by 山田 久美夫]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp