【リレー連載 物欲道修行記】

リレー連載 物欲道修行記

第10講 業界通情報講座 講師:一ヶ谷兼乃


  「次回はROMライターにしようと思います」と一ヶ谷講師より予告をいただいた編集担当は、すっかりCD-Rドライブのことだと思いこんでいた。しかし、確か一ヶ谷講師はCD-Rはだいぶ前から持っていたはずなのに、また購入されたのだろうか……と思ったらこれが大間違い。ROMライターとはロムライタのことで、つまり、Read Only Memoryに書き込む装置のことであった。いや、あやしさが足りないなんてとんでもない。一ヶ谷講師に向かってそんなことを言うなんて、認識が足りませんでした。ご本人は心外なようだが、「ROMライターは一種の精神安定剤」という講師は、やっぱりあやしさ爆発だと担当は思う。(編集部)


ROMライターはPCユーザーの精神安定剤!

 先日、PC Watch編集部にいくと「最近あやしさが足りないんじゃないですか~」なんて言われたけど、どうも誤解があるようだ(笑)。一見、あやしいグッズであっても、購入するにはそれなりに理由がある。
 とりあえず、いいわけはこれくらいにして、今回紹介するのはROMライターだ。EP-ROMチップに情報を書き込みする機械である。一般人だと、パチンコの映画などで見かけることができるモノだ。
 もう一つは、週末秋葉原にいっておもしろいソフトを発見した。最近流行のCD Extra仕様の音楽CDなのであるが、内容がとてもおもしろかったので、番外編として紹介しよう。

●ROMライターを買ったきっかけ●

 筆者はこれまでも何度もROMライターを購入したいと思っていた。というのも、パソコンの周辺機器にはその機器の制御用としてROMが入っているモノが多いのだ。電気回路自体は同じでも、ROMの内容如何では、その機器の持つ本来の性能が出せなかったり、正常に動作しない。このあたりはプログラムと同じようなものだと考えてもらえばいいだろう。
 以前、BIOSで有名なAmerican Megatrend Inc.のEISAバス用のSCSIホストアダプタを使用してたときに、購入するときに期待していたパフォーマンスがなかなかでないことがあった。そのとき、互換機に詳しい友人からSCSIホストアダプタのBIOSなどの内容がバージョンアップしているとの情報を得た。それじゃってことで、AMI BBSのファイルシステムからROMのデータをダウンロードしてきて、友人にEP-ROMに新しい内容を書き込んでもらい、新しいバージョンのROMを手に入れた。SCSIホストアダプタ上のROMを新しいモノと交換し、試したところ確かにパフォーマンスがアップしたいきさつを記憶している。
 とうとう購入に至った今回も、きっかけはやはりSCSIホストアダプタだ。前回の私が取り上げたWide SCSIの記事を覚えているだろうか。その時に購入したSCSIホストアダプタはTEKRAM Technology社DC-390Fである。購入したときには「rev.1.57」のROMが搭載されていた。ドライバソフトが更新されていないかと、TEKRAM社のFTPサイトを覗いたところ、BIOSのデータがアップデートされている。とりあえず、データをダウンロードして、ドキュメントを読んだところ「rev.1.61」になっていた。
 毎日使っているSCSIホストアダプタのBIOS ROMの内容がバージョンアップしていることがわかると、どうも気分が落ち着かない。データ自体は手元にあるのだから、なおさらだ。


●ROMライター購入●


 ROMライターを物色するにあたってまず手に入れたのが「トランジスタ技術」。電子デバイス系の広告が最も多い月刊誌だ。目を通すと一流メーカーブランドの製品から、お手軽なものまで10種類程度の広告を見つけることができた。最初はどの製品がいいかどうかを比べたのだが、とりあえずROMライターの広告を掲載している秋葉原のショップに向かうことにした。DOS/Vパソコンとシリアルポート接続で使用できるもの、最低でも4MビットのEP-ROMに対応しているものが、購入の必須条件だ。
 向かったのは秋葉原の若松通商。すぐ持ち帰ることのできるROMライターは2機種あった。どちらも、購入条件はクリアしている。よくわからない時にはお店の人に質問してみるのが一番。「どちらも同じような製品だけど、こっちがよく売れてるよ」との答えで、ユニテク電子「RACO/82」を購入した。同時にDC-390Fで使う512K EP-ROMを1個購入しようとしたが、オマケにつけていただいた。
 RACO/82はAT互換機とシリアルポートで接続し、DOS版のソフトでROMライター部の制御を行う。パソコン側にデータファイルさえあれば、簡単にROMに内容を書き込むことができるのだ。


●ROMに書き込む●

 自宅に帰ってきて、早速 DC-390FのROMデータを書き込むことにした。通常モデムやTAを接続するケーブルでRACO/82と繋ぎ、付属のユーティリティを起動した。最初はROMの種類を指定して、以前ダウンロードしていたROMのデータをロードする。後は、RACO/82に買ってきたEP-ROMをセットして、ユーティリティから消去の確認、書き込み、書き込みのチェックの手順を選ぶだけだ。
 しばらく待っていると、作業はあっけなく終わった。EP-ROMはチップにもうけられた窓から紫外線を受けると、内容が消去されてしまうので、ROMの窓に紫外線を遮断するシールを張って、すべての行程が終了だ。


●DC-390FのROMを交換したけど……●

 早速、先ほど書き込んだROMと入れ替えたDC-390Fをマシンに装着し、試してみる。起動時の画面にrev.1.61の文字が現れると、意味もなく満足感がわき上がる。Windows95で作業したり、ベンチマークテストを行ったが、以前とあんまり違いは感じられない
 ここで大切なのは自分の気持ち。最新版を使っているというだけで、随分精神的に楽になったのは、他に代え難い重要なポイントだ。


●ROMライター効果●

 知り合いにROMライターを購入したことを話すと、決まって返ってくる言葉が「あやしい」である。どうして、世間では「ROMライター=あやしさ」という公式ができあがっているのだろうか。ROMライターを買ったっていうだけで、あやしい人物にされてしまうのだ。それとROMチップにデータを書き込むとこを、「ROMを焼く」と表現する。自分自身ではしっくりくる言葉なのだが、由来は知らない。ROMライターは筆者にとって一種の精神安定剤となっている。
 とりあえず当初の目的は果たしたが、手元にROMライターがあると何かしら焼いてみたくてしょうがなくなる。とりあえずインターネット上で探してみたところ、SCSIホストアダプタではAdaptec社が、モデム製品でもMultiTech Systems社などが、最新ROMデータを公開している。もしも、近くにROMライターを持った友人がいたら、自分が使っている機器を最新版のROMデータに更新してみてはいかがだろうか。


番外編:秋葉で見つけたイキなCD


 週末秋葉に行ったときに、とある楽器屋で音楽CDとVideoを手に入れた。どちらも同じ「Hz(ヘルツ)」というアーティストの作品だ。
 音楽CD「Amphibian(GPJC-01014)」は、Hzのセカンドアルバムで、ジャンルはテクノポップのエッセンスを取り入れたロック。もしも、あなたがYMOとかP-Modelといった名前に郷愁を感じるなら、是非聴いてみるといいだろう。CD Extraのデータ部分はWindows 95、Macintosh両方に対応しており、Hzのメンバー「秋元きつね」氏の見事なCG作品が鑑賞できる。アーティスト紹介のパートでは秋元氏のホームページをかたどったものになっている。
 ビデオ「BEFORE AMPHIBIAN せがれ(GPJC-01015)」は、秋元氏のCGキャラクタ「矢人」の子供「せがれ」が冒険していくさまが、意味のつかめないナレーションとともに進行していく。東京亀有から大宇宙、大海原に展開していく不思議なストーリだが、不思議と没頭してしまう。
 どちらの作品も、私の気分転換のネタとして、とても重宝している。息詰まったときの気分転換に使えるという点では一種の精神安定剤ともいえるだろう。
 秋元きつね氏はフジテレビ「うごうごる~が」や「アインシュタイン」で知られているCGアーティストだ。パソコン誌「EYE-COM」での4コマ漫画や東京トホホ会でご存知の読者も多いのではないだろうか。
 なお、今回はたまたまイベントがあったため店頭で購入できたが、これらの2つの作品を入手したい方は、販売元のグラパックジャパン株式会社 商品企画販売課(TEL:03-5213-5553)まで問い合わせてほしい。

[Text by 一ヶ谷兼乃]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp