【リレー連載 物欲道修行記】

リレー連載 物欲道修行記

第11講  テレコム道 家元:法林岳之


  法林家元の自宅には、4台のナナオがあるという。デザイナーである美しい奥方は、20インチのナナオ68TでMacをお使いだという。
 しかし、法林家元にひとつお知らせしておきたいのは、Macの人はかならずしも20インチでもナナオでもないのだ。実際、このコラムの編集担当は、20インチどころか、17インチですらない、いつ購入されたかも不明のアップル純正13インチモニタとQuadra 610(素のまま)で、日々お仕事しているのである。ま、仕事はテキストベースだし、いちおうトリニトロン管だし、虹色林檎マークだってついてるし……しかし気のせいか、この原稿を読んだら急に目の疲れを感じたのであった。(編集部)


いいディスプレイを使おう

●目が悪くなるのは……

 この業界で仕事をしていると、メガネを掛けてる人コンタクトを付けている人が多いことに気づく。ひょっとしたら半数以上かもしれない。画面に向かってる時間が圧倒的に長いのだから仕方がないのか……。ただ、幸いなことに、ボクは未だにメガネをかけていない。こんな生活をするようになって8年ほど経つけど、多少、視力が落ちたように感じることもあるものの、とりあえず裸眼で生活をしている。免許証の書き換え時の視力テストも難なくパスしている。

 よくコンピュータを使い続けると目が悪くなると言われているけど、実際にどの程度、ディスプレイに気を使っているのか、あやしいところもある。たとえば、ディスプレイのセッティングひとつにしてもそうだ。よくあるパターンとしては、

  • ディスプレイのコントラストを強すぎる。
  • ディスプレイが明るすぎる。
  • 色がどぎつい。
なんてのがある。特に、ディスプレイの明るさについては、いつも気になる。特に、編集部のような場所では、部屋が明るいため、どうしてもディスプレイを明るくしすぎてしまい、結果として早々と目が疲れてしまう。個人の好みもあるけど、ちょっと暗いかな、と思う程度でとどめておいた方がいいようだ。

 また、個人が使う範囲であれば、部屋の明るさや照明にも気を付けたい。たとえば、蛍光灯の明るさを一段落とすディスプレイを蛍光灯が反射しない位置に置くといった感じだ。もちろん、画質のいいディスプレイを使うのは言うまでもない。


●いつかはナナオ

 我が家にはボクがこういう商売である上、家内がMacintoshでデザインの仕事してるもんだから、パソコン本体が多く、ディスプレイの数も多い。2人が仕事をしていると、常時4台のマシンが稼働していることになる。なんと不経済なことか……。

 ボクがはじめて17インチディスプレイを買ったのはもう3年以上前。当時、安くてデザインの良かったMAG MX-17Sだ。安いと言っても、当時は17インチディスプレイが20万円をようやく切った頃だったので、15万円くらい払った記憶がある。MX-17Sは主にAT互換機用のディスプレイとして使っていた。

 その後、98でもWindows3.1を使うようになり、17インチディスプレイを買うことになった。このときに買ったのが三菱電機RD17Yだ。こちらは入力が1系統しかないため、価格も安く、9万円程度だったと記憶している。所詮98だから、この程度で十分だという判断があったのも事実だ。

 ところが、昨年あたりから新しいビデオカードをテストしたり、Webを広い画面で見たくなることが多くなり、MX-17Sでは力不足になってきた。そこで、17インチディスプレイを買い換えることにした。いつかは買おうと考えていたナナオのディスプレイを選んだ。

E57T  今回購入したのはナナオのE57Tという製品で、同社の17インチディスプレイでは最上位モデルに相当する。海外市場で使われていたEIZOブランドの国内展開第1弾モデルでもある。購入価格は約12万円。8万円前後が中心の最近の17インチディスプレイにしては、少々高い部類に入る。

 スペックなどは雑誌やホームページに譲るとして、気に入ったのはやはり画質。以前からテストをする度に、ちょっと違うなと思ってたけど、確かにクッキリ、カッキリの画面だ。画面の四隅がしっかり表示されているのはもちろん、ディスプレイのコーティングも良く、写り込みが少ない。MX-17Sに比べると、奥行が浅くなったため、机の上も広く使える。気になったのは、オンラインで設定が変更できるScreenManagerの階層が深いことくらいだ。

 特に驚いたのがDOS/V PowerReport11月号で格安ビデオカードを4枚ほど触ったときだ。ビデオカードの画質はこんなに製品によって違うのかを思い知らされた。自分が使ってるビデオカード(NumnberNine社製Motion771)の画質がなかなかであることも再確認できた。

 ちなみに、ナナオのディスプレイについては、とある業界関係者から面白い話を聞いたことがある。あるメーカーのサポートに「おたくのビデオカード買ったけど、ある解像度でノイズが乗る」という電話があった。メーカー側の環境ではノイズを確認できなかったため、ユーザーに使っているディスプレイをたずねたら、ナナオの88Fだと言う。そこで、メーカーは88Fを入手してチェックしたところ、ノイズを確認することができ、対策を講じることになったという。メーカーの人は「ナナオじゃなきゃ気にならないのに……」とぼやいていたとか。何とも恐ろしい話だ。



●調子に乗って……

 人間、物欲に火が付くと、そう簡単に止められるものではない。E57Tを使い始めると、どうもRD17Yの画質が気になり始めてしまった。RD17Yも決して悪いディスプレイではないが、元々、価格帯が違う上、購入から1年半が経過しているため、どう逆立ちしても勝ち目がない。また、入力が1系統しかなく、コネクタが直付けであるため、今ひとつ使い勝手が悪いというのもあった。今後、WindowsNT4.0のβ版を入手し、他のマシンでテストすることを考えれば、せめて入力が2系統あるものが欲しいところだ。

 そこで、秋葉原で出向いて購入したのがE53Fだ。当初、まったく同じものにしようと考えたのだが、それではあまりにも芸がない。違うメーカーのものも考えたが、ナナオで揃えたらウケるかもしれないと思い、結局、1クラス下のE53Fを選んだ次第だ。購入価格は8万円強。E53Fは画質などではE57Tに譲るものの、今まで使っていたRD17Yに比べれば、明らかにいい。何より、机の上に、EIZOデザインのディスプレイが2台乗っているのはうれしい。

 なんて言ってたら、今度は家内のPowerMacintosh 7500に20インチのディスプレイが付くことになってしまった。これまたナナオの68T・Sだ。ちなみに、家内はナナオの旧モデルのF557に2台のMacintoshを接続していたが、PowerMacintosh 7500にNumberNine社製Imagine128 for MacというPCIバス用ビデオカード(これはお勧め)を導入したのに伴い、20インチのディスプレイを入手した次第だ。「EIZOデザイン2台だ」なんて喜んでたら、向こうはドカンと20インチと来たもんだ。これだからMacintoshの人は怖い(笑)。

 かくして我が家には、ナナオばかり4台ものディスプレイが並ぶことになってしまった。いくら環境に優しい設計とは言え、さすが4台分も電磁波を浴びちゃマズいよな(笑)。

E57TロゴE53Fロゴ
68TSロゴ
 ボクの例はあまりにも極端だけど、やっぱり、オールインワンなどに添付されているディスプレイと市販のディスプレイでは明らかに画質が違う。標準添付のディスプレイを使っている人は、ぜひパソコンショップなどでその画質を見比べて欲しい。ナナオ以外にもソニー三菱のように高品質なディスプレイを販売しているメーカーはいくつもあるので、冬のボーナス商戦に向けて、検討してみてはどうだろうか。


[Text by 法林岳之]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp