【リレー連載 物欲道修行記】

リレー連載 物欲道修行記

第8講 気絶派 師範:スタパ齋藤

 毎日PC Watchをチェックしてくださる熱心な読者の皆様はご存じの通り、本コーナーは基本的に火曜日の午後に更新している。それで今週はどうして水曜日にもつれこんだのかというと、スタパ師範からの原稿が遅れたのではまったくなく、原稿は月曜日にいただいていたにかかわらず、編集担当が先週金曜日から風邪で休んでいたからなのである。スタパ師範は原稿はおもしろいし人気があるのにご本人はたいへん謙虚、しかも〆切を守るという素晴らしいお方なのだ(本当)。「スタパ氏の原稿を楽しみにして火曜日何回もアクセスしたのに」とお怒りの読者の方は、犯人の編集担当までメールください。ささやかなお詫びのしるしに編集担当が自腹で購入した気絶派の教書、「PC道(アスキー)」を抽選で3名様(クルマのローンで貧乏なもので少なくて恐縮ですが)にさしあげます。(編集部)


QVデジタル専用シールプリンタQG-100
VS
カラーネームランドKL-C100


  いつものことだが、俺が家電店に行くと、全然必要のないモノにソソられてしまう。先日はラベルライターにソソられてしまった。

 たまたま通りかかった電子文具売り場では、キングジムのテプラとカシオのネームランドが激しく戦っていた。「ああファイルやビデオテープに貼るラベルを印刷するアレか」と思ったうえに「まあ、俺はこんなスタンドアロンな装置買わないけどな」とまで思ってそれらを何となく眺めていたら、突如そのチラシが目に飛び込んできた。そのチラシにはカラー印刷ができるネームランドが登場したと書いてある。ビデオ画像をそのままカラーのシールにできると書いてある。むむッと思ってよく読んでみると、さらにオリジナルスタンプを簡単に作れるしQV-10などとつながるとも書いてある。むむむッと思ってさらに読み進めると、パソコンでネームランドを制御できるソフトも発売中だヨと書いてあるではないか!! むむむむむむむッ!! これはイカス!! 欲しい!! 欲し過ぎる!!

 ということでカラー版ネームランドKL-C100とパソコンリンクソフトFA-800(Macintosh版/Windows版としてはFA-700がある。どちらも定価12,800円)を速攻で購入して使いまくってケーブル分類ラベルやシリアル番号ラベルなどを作り、さらに目玉機能のシール印刷機能を使った瞬間、俺はハマってしまった。シール作りが異常に楽しくなってしまったのだ。


●カラーネームランドKL-C100●


 ご存じラベル作り専用電子文具だ。用途や使用可能ラベル幅、内蔵書体などが微妙に異なるラインナップが6機種ほどあり、このKL-C100は最新機種でカラー印刷が可能になっている。KL-C100は、ネームランドシリーズ用のラベルカートリッジ(6サイズで全172種類)の全てが使える。カラー印刷をする場合は専用のカラー印刷用カートリッジが必要になる。KL-C100単体でラベルを作る場合は、JIS/QWERTY配列のキーボードから文字を入力する。操作は簡単なので、慣れれば凝ったラベルが作れるが、やはりこのテの装置の小さな液晶画面(KL-C100の場合は6桁×4行、←でもネームランド中では最大)では見づらい。パソコンユーザーからすれば頭に来るほど見づらい。


●パソコンリンクソフトFA-800●


 パソコン上でラベルを作り、それをネームランド各機種で印刷できるというソフト。俺の場合はMacintoshのほうがフォントや画像処理環境が整っているので、Mac版を使っている(Windows版はFA-700)。ネームランド単体で使った場合よりも4096倍楽&複雑なラベルを作ることができる。画像を貼り込むのも簡単だし、何といっても使い慣れたパソコンのキーボードと編集機能を使ってラベルを作れるのが嬉しい。ちなみにKL-C100のプリンタ部分は熱転写方式で、印刷密度は200dpiだ。ネームランドシリーズの中で印刷密度がいちばん高い機種はKL-8000で、400dpiとなっている。なお、KL-8000はカラー印刷には対応していない。

 KL-C100はカラー印刷ができるネームランドなのだが、パソコンリンクソフトを使った場合には色の指定などができない。ネームランドの一般的なラベルは、あらかじめラベルの色と印刷される文字の色が決まっている。カラー印刷をする場合は専用のラベルカートリッジを使い、KL-C100で文字色と背景色の指定をするのだが、パソコンリンクソフトを使うとそれらの指定ができなくなるというわけだ。なので、ふつーのラベルカートリッジは使えるが、カラーラベルカートリッジは使用不可能。


●カラーネームランドKL-C100のシール印刷機能●

 KL-C100のシール印刷機能は、非常に簡単に使える。例えばQV-10の画像をシール化するなら、QV-10とKL-C100をビデオ出力用ケーブルでつなぎ、KL-C100側で数ステップの操作をするだけで、カラーのシールができ上がる。QV-10の代わりにビデオをつなげば、ビデオ画像の一部をシール化できる。なお、作れるシールのサイズは使用するラベルの幅によるが、一番幅広の46mmテープを使えば、基本的に大中小の3種類のサイズのシールを作れる。それから、画像の周囲がハート型や楕円などで囲われたシールも簡単に作れる。最近のゲームセンターで流行っているプリントクラブとまではいかないが、ファンシーなシールを作るのも簡単だ。

   ところで、何だかイマイチ腑に落ちないのが、QV-10とKL-C100の接続性だ。KL-C100には、QVシリーズやパソコンと接続するためのデジタル接続コネクタがある。QVシリーズをパソコンとシリアル接続する時と同様の働きをするポートだ。ちなみにQV-10もKL-C100も、このデジタルコネクタは同じ形状で、パソコンと接続するケーブルは流用できる。つまり、QV-10用の接続ケーブルがパソコンにつながっていれば、そのケーブルをそのままKL-C100で使えるのだ。

 で、腑に落ちないというのは、QV-10とKL-C100をこのデジタルコネクタを利用して接続した場合は、カラーのシール印刷ができないということ。カラーシールを作るためには、QV-10とKL-C100をビデオ出力ケーブルで接続しなければならない。QV-10とKL-C100をデジタル接続すると、モノクロのシールしか作れなくなってしまうのだ。

 他分野の製品なのにこれほど規格面の統一をしてるカシオさんなのに、どうしてQV-10とKL-C100を接続した場合は、カラーのシールは作れず、モノクロのシールができちゃうんですか? 値段が高くなっちゃうんですか? まあこれは仕様なので仕方がないのだが、どうしてこんな風な制限が!? 定価48,000円なのに。高い機械なのに。ちぇ。

 という疑問を抱いたのをすっかり忘れて家電店にラベルカートリッジを買いに行ったら、ななな何とQVシリーズ専用のシールプリンタが!!


●QVシリーズ専用のネームランド用シールプリンタ発見!!●


 QG-100!! 23,800円!! QVシリーズとデジタル接続して思う存分シールを作れる装置!! くわッ!! これが発売されるからQV-10とKL-C100をデジタル接続できないようにしたのか~ッ!? そうなのかーカシオ~ッ!? 違うのか~!? うおぉぉぉ~!! 違ってたらすいません~!!

 ともあれ、シールにハマってしまった俺としては、この、シールを作るためだけに存在しているプリンタを見逃すわけにはいかない。よくよく見てみると、この、シール量産機QG-100の用紙は、KL-C100のカートリッジとクリソツだ。シールを作る動作もでき上がったシールの感じも、ほとんど同じだ。これはさらに見逃せない。もしかしたらまったく同じ製品でイレモノが違うだけなのか~ッ!? 脳内に疑問が渦巻いた俺は突如気絶した。

 そして気づいてみると、俺の机上にはQV-10とKL-C100とQG-100が並んでいたっていうか本当は俺が衝動買いして何度見てもイイ感じになるように並べておいた。

 で、さっそくテスト。QV-10の画像をシール化したとき、KL-C100とQG-100のどっちがキレイかということである。


●KL-C100対QG-100、シール対決!!●

 テストの方法は、Macintoshで作った画像をQV-10Aに転送し、それをKL-C100とQG-100で印刷するというもの。

 元になった画像とQVに転送した後の画像(圧縮されるので少々汚くなる)を以下に掲載する。


元になった画像

QV-10Aに転送した画像

 また、双方で印刷できるシールのサイズが異なるため、ここではそれぞれで印刷できる各サイズのシールをそのままスキャンしたものを掲載する(JPEG、156KB)。スキャン条件が変わらないように、1枚の方眼紙上に両機種の各サイズのシールを貼り、1度にスキャンしている。各シールを一望するとわかるが、QC-100で印刷されるシールは、元の画像がほんの少しトリミングされてしまっている。1枚印刷時より、マルチ印刷時の方がよりトリミングが強くなる。端から端まで印刷してくれよという気がするが、まあほんの少しなのでよしとしよう。が、KL-C100の場合は、かなり強引にトリミングされてしまう感じだ。画像撮影時は、シール化することを考えて上下を広く撮っておかないと残念感溢れるシールになってしまうだろう。

 それから、KL-C100とQG-100のシールを比べると、コントラスト・色合いともにQG-100の方が元の画像に近い(JPEG、234KB)。なおKL-C100にもQG-100にも、画像を調整する機能があるが、KL-C100は画像を調整しない状態、QG-100はコントラストのスライドボタンを中央の状態で印刷している。テストを行ったり原稿を書いたりしたのが9月28~29日の土日だったので、カシオさんにQG-100の印刷密度(dpi)を問い合わせることができなかった。手際が悪くてすいません。が、この印刷結果の差は、プリンタのdpi値から来るような種類のものではないような気がする。気がするだけですいません。

 結果、俺の独断と偏見で、このシール対決はQG-100の勝利となった。

 何だか今回は偏った観点のレポートですみません的フィーリングである。PC Watchをお読みの方で「シールが作りたくて作りたくてしょうがない」という方はあまり多くないと思うが、いや、ほとんどいないと思うが、今月はとりあえずシール系の装置を2台も買ってしまったので、こんなレポートをしてみたというわけだ。


●その後のカラーザウルス●

  その後もカラーザウルスをゴリゴリ使っている俺だが、ちょっと感動したのがメール関係の機能だ。モノクロのザウルスの時はあまりネットワークやメールを使わなかったのだが、高速モデムカードが使えるようになったので、インターネットやパソコン通信などをカラーザウルスでやる気が出てきた。

 で、ウェブブラウザとしてや、パソコン通信の端末として使ってみたのだが、まあしっかり使えはするものの、やはりタッチペンだけでの"通信"はちょっと疲れる。が、メールの送受信は非常にいい。そんじょそこらのパソコン用電子メールソフトなどかなわない使い勝手だ。また、非常に合理的にメールを読んできてくれる。例えばニフティーサーブ専用のターミナルソフトのように、必要な送受信がない時は常にオフラインという感じで、最小限の通信費でメールを活用できる工夫がなされている。MIME形式のメールも送受信してみたが、JPEG画像を問題なく開くことができた。

 意外にすごく便利なのが、ホストをいちいち気にせずメールを使えるという点だ。俺はbekkoameとAIXとニフティーサーブとアスキーネットと草の根などけっこう多くのホストを使ってメールをやり取りしている。こんな感じだと、複数のアカウントを使い分けて、複数のホスト内の複数のメール相手を意識していないと、メールの送り忘れなどがあってけっこう混乱するものだ。また、多くのメールソフトは、複数のアカウントを同時に扱えないようなしくみになっていたりもする。この点、ザウルスのメール機能は秀逸だ。ホスト名がどこだろうといくつあろうと、どこから送られてきたメールだろうと、基本的にはザウルスくんが勝手に仕分けしたり送り分けたりしてくれるのだ。このままパソコン用のメールソフトとして移植して欲しいほど使いやすい。

 というわけで、もーパソコンでメールすんのめんどくさいからメールは全部ザウルスにしちゃおっかな~でもペン入力だと長いメールとかアレだしな~、とザウルスでメール一本化計画を発動しそうになったりしている昨今である。

 現在は、まだカラーザウルス専用のパソコンリンクソフトがない(画像を転送できるソフトならある)のでアレだが、パソコン上でカラーザウルスの全データを編集できるようなソフトが出たら、メールはザウルスだけに任せてしまってもいいような気がする。

[Text by スタパ齋藤]


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