【リレー連載 物欲道修行記】
リレー連載 物欲道修行記
第6講 業界通情報講座 講師:一ヶ谷兼乃
一ヶ谷講師に教えていただいて編集部で購入した中古DELL XMT590(85,000円、税込み)は好調である。結局4台購入したのだが、PC Watchメール配信マシン、バイト作業マシンなどで活躍しており、いまのところなんの問題も出ていない。やっぱり業務マシンは枯れたアーキテクチャに限りますな、などと編集部でも満足しているのだ。しかし講師ご自身はまったく枯れていないというか、もともとハードディスクは1年で捨てて買い換えるというお方。容量不足をきっかけに、Wide SCSIを導入された。導入を考えている方は必読です。(編集部)
ハードディスクは速いが偉い!? (Wide SCSIってほんとに速いの?)
最近、凝っているのがハードディスク。Windows上でSoundデータをエディットしたり、その結果をCD-Rで焼いたりするためにいまのシステムのハードディスク容量が足りなくなったのがそもそものきっかけだ。
CD-RやSoundデータを扱うためには、高速で安定したデータの読み書きが要求されるため、できるだけ高速なハードディスクという観点で物色していたところ、頭に浮かんだのがWide SCSIだ。現在、手に入れることができるSCSI-2仕様のハードディスクでも充分高速なモデルはあるが、これがWide SCSIになると、どれだけ速くなるのかが気になった。あくまでWide SCSIはハードディスクとSCSIホストアダプタのデータ転送方法が変わるだけなので、それほど期待はしなかったものの、物欲がふつふつと沸いてきたのはいうまでもない。
店頭で選んだ基準
今回、購入したのはWide SCSIに対応したSCSIホストアダプタとWide SCSIインタフェースを持ったハードディスクだ。最初に機種は決めずに、秋葉原に行って店頭にあるものから選択することにした。
Wide SCSIに対応したSCSIホストアダプタは、Adaptec AHA-2940UW、AHA-3940WやTEKRAM DC-390Fの中から、TEKRAM DC-390Fを選択した。低価格ということの他に、SYMBIOSのSCSIチップを採用していたからだ。SYMBIOSはこれまでNCR製のチップを供給していたメーカーで、信頼のおける技術力を持っている。また、TEKRAMはインターネット上でBIOSやDriverを公開しているので、あとあとのサポートに心配がないといったところも重要なポイントであった。
ハードディスク選択の条件として、
- WideSCSIであること
- メディアの回転数が7200rpmであること
- 1インチハイトであること
などの条件を考えた結果、Seagate社のST32550Wを選択した。定評を得ている Barracuda 2LPシリーズのHDである。
Wide SCSIは速かったか?
自分のメインのシステムのハードディスクを入れ替え、Windows 95を起動してみた。あまり劇的な変化はみられない。これまではSCSIホストアダプタにBuslogicのKT-930、ドライブはQuantumのVP32210を使っていた。VP32210はSCSI-2の5400rpmのドライブだ。ベンチマークテストを行ってみても、思ったほど向上していない。もう一度、ST32550Wをチェックしたところ、デフォルトではWrite Cacheがoffになっていることが判明した。そこで、Write CacheをONにしてみた。ベンチマークテストの結果も若干良くなり、気分的にも速くなったような気がするようになった。しかし、Wide SCSIの実力はこの程度のものなのかと、逆に疑問が湧いてきた。
数日後、今度はQuantumのXP32150Wを購入し、同じように組み込んでみたが体感ではST32550Wより若干速い感じを受ける。ベンチマークではXP32150Wのほうがいい結果がでているが、実作業上でどれだけ効果が出るのかはかなり疑問だ。
パフォーマンス以外で気になったこと
こうしたパフォーマンスとは別に、気になったのがWide SCSIホストアダプタの使いにくさだ。Wide SCSI対応SCSIホストアダプタには、内蔵用としてWide SCSIのコネクタとNarrow SCSIのコネクタが2つ用意されている。外付け用にはWide SCSIのコネクタがあり、内蔵・外付け用と合わせて、3つコネクタがある。実はこの3つのコネクタは同時には使用できない、同時使用できるのは2つまでなのだ。今回購入したWide SCSI仕様のハードディスクには内蔵Wide SCSIコネクタを利用し、SCSI-2仕様のMOドライブやCD-ROMドライブを接続するには内蔵のNarrow SCSIのコネクタを使用することになるため、外付け用のコネクタは使用できないのだ。
また、今回購入した7200rpmのドライブは回転音が大きく、音質も耳障りで、お世辞にも静かとは言いがたい。面白いのはこの音にメーカごとの傾向があることだ。Seagateは低く落ち着いた音質で、アクセス時も「コリコリ」という感じである。Quantumはもっと乾いた感じの高い音質で、アクセス時には「ゴリゴリ」という感じの音がする。
体感ではそれほど違いは感じられない
ちょっとした回り道はあったが、最も重要なHDDの増設という目的を果たすことはできた。結果的に2GBのWideSCSI対応ドライブを2台とWideSCSI対応ホストアダプタを購入したが、特別WideSCSIで無くてもよかったという結論を下すにいたった。というのも、現在ボトルネックになっているのはドライブそのものの速度で、ドライブとホストアダプタ間はそれほどネックになっているとは思えないからだ。また、確かに数MB程度の画像データやSoundデータの読み書きでは体感できる程度の向上はあったが、ベンチマークの結果に見られるほど、体感では速度の変化は感じることができなかった。
ただ、確実にいえることは7200rpmドライブの動作音で、パソコン環境が前にもましてうるさくなってしまったことだ。次の課題は遮音性の高いケースを探すことになりそうである。
各ドライブのベンチ結果
最後に、各ドライブのベンチマークの結果を公表する。Narrow SCSIは同じ7200rpm回転のドライブのXP34301Sと、平均的なE-IDEドライブのサンプルとしてQuantumのFB1280ATの結果も合わせて掲載する。
【Coretest 2.91】
ドライブ
| Data Transfer Rate(KB/sec)
|
ST32550W
| 14786.6
|
XP32150W
| 16313.9
|
XP34301S
| 7752.9
|
FB1280AT
| 6041.4
|
【Qbench 1.3】
ドライブ
| Data Access Time(ms)
| Data Transfer Rate(KB)
|
ST32550W
| 5.1
| 6670
|
XP32150W
| 5.1
| 10050
|
XP34301S
| 6.1
| 5110
|
FB1280AT
| 6.2
| 5290
|
参考URL
[Text by 一ヶ谷兼乃]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp