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山田久美夫の

オリンパス CAMEDIA C-400L試作機 実写レポート

OLYMPUS C-400L '96/8/27 発表
'96/10/5 発売予定

標準価格:74,800円

連絡先:オリンパス販売株式会社
Tel. 03-3251-8940(ダイレクトイン)

 デジタルカメラ秋の陣の先頭を切って登場した「オリンパス・CAMEDIA」。カメラ風デザインと高画質レンズを搭載した新鋭機として、その実力は大いに注目される。そこで今回は、前回の発表会レポートに続き、いよいよ試作機の実写レポートをお届けしよう。

 今回使用したのは、35万画素モデルで液晶付きの「C-400L」。一般には81万画素モデルの「C-800L」の方に話題が集中しているが、実質的にはこちらが主力機種となるうえ、こちらはデジタルカメラ用の正方画素・原色CCDを採用しているだけあって、その画質は大いに期待できる。


とっても綺麗な見栄えのする絵作り

 このページのサムネール画像(元画像の1/4サイズに縮小)を見て、我が目を疑った人がきっといるのではないだうか? そう、この「C-400L」は、実に明快で綺麗な写りをするデジタルカメラだ。おそらく、現在市販されている35~40万画素クラスのなかでもトップクラスの写りといっていい。

 よくよく見ると、若干解像度が不足気味にも見えるが、これは35万画素の原色CCDとしては良好なレベルといえる。また、レンズはC-800Lと同じとはいえ、こちらはAFではなくピント合わせ機構を省略したパンフォーカスタイプという機構上の制約もある。

 これほど綺麗に見えるのは、まず、階調の再現域がきわめて広いことがあげられる。つまり、ハイライトからシャドーまで、キッチリと再現されているため、実に自然に見えるわけだ。さらに、色再現性も良好で、現物よりも鮮やかな発色になっているが、人間は一度見たものを記憶したときには、現物よりも鮮やかなものとして覚えているという特性があるため、これくらい鮮やかな方が心地いい。

 若干、画像の輪郭をソフト的に強調しているようだが、さほど違和感はない。また、建物を撮影しても、レンズによる直線の歪みが感じられないのはとても立派だ。

クリアなファインダーと汚れが目立つ液晶モニター

 基本的な機能や操作感は、以前お届けした「発表会ファーストインプレッション」の通りで、とくに発表後の仕様変更はないので、そちらをご覧いただきたい。

 今回実写して、まず気になったのは、ボディーサイズだった。なにしろ、DC-2Lに合わせて購入した、いつもデジタルカメラを入れているベルトケースに入れて持ち歩いたのだが、見た目以上に横幅が広くて、このケースぎりぎり。しかも、人気コンパクトカメラ「ミュー」譲りの水滴型デザインで、ホールディング性はいいものの、凹凸があるため、結構嵩張る。もう一回り小さくならないものかなあ~というのが素直な感想だ。

 光学ファインダーの見え味は明るくクリアで、実に気持ちいい。しかし、背面の液晶モニターをファインダー代わりに使おうとすると、背面の再生用ボタンを押していなければならず、長時間では指がつりそう。もちろん、基本設計は光学ファインダーで撮影するようにできているが、やはり液晶があると、最初は使いたくなる。けれど、しばらく使ううちに、だんだんデジタルカメラであることを意識しなくなり、光学ファインダーだけで撮影するようになってくるから不思議だ。

 もっとも、光学ファインダーの視野と液晶モニターでは、液晶の方がふた回りくらい広い範囲が写る。もちろん、実写結果も液晶モニターと同じ範囲だ。そのため、正確なフレーミングが必要なときには液晶を使い、日常的なスナップはクリアな光学ファインダーを使うというのが、このカメラの作法のようだ(こうすれば、電池だってかなり持つぞ)。

 ちょっと気になったのは、液晶モニターの汚れで、ちょうと鼻の頭にあたるため、結構鼻の油が付く。しかも、表面処理の関係で、この油が結構気になるので、撮影中も頻繁に液晶を拭きたくなって困った。どうせなら、撮影時にバリアができるといいのだけれど……。

やはり20枚しか撮れない点がネック

 さて、光学ファインダーで撮るとなると、いつもの液晶式デジタルカメラと違って、すいすいと撮影できる。この軽快感はなかなか素敵だ。そうなると、とたんに気になってくるのが撮影枚数。

 なにしろ、このC-400LはVGAモードで20枚しか撮影できないのだ。そのため、今回は京都での講演前に嵯峨野をスナップしようと意気込んででかけたものの、結局、撮影中に何度もパソコンを広げて画像を転送する羽目になった。お寺の境内でThinkPadのバタフライ(701c)を広げてケーブル転送する姿は、やはりこのスタイリッシュなカメラに相応しくない。とはいえ、通信アダプターは高価だし……。ここは早急に、メモリーカード採用モデルを登場させて欲しいところだ。

 ……結局、この惨めな経験のあと、SONYのサイバーショットのIrDA転送や、ニコンのクールピクス100のレポートを考えて、東芝のリブレット20を買ってしまった……。でも、HDの容量が全然足りないぞ!


カメラらしいデジカメだが、もう一息のところも

 この「C-400L」。カメラメーカーとして、“カメラらしさ”にこだわったデザインや操作感は、個人的に大賛成だ(まだ成熟してはいないけど)。また、写りに関しては、現時点ではほとんど文句のないレベルになっている。まあ、”素人受け”する、ややクセのある絵作りともいえるが、綺麗なものは素直にキレイと認めてしまおう。

 しかも、レンズに力を入れたことをアピールするだけあって、解像力や歪みの少なさは立派なものだ(実をいうと、解像度以外はエプソンCP-100とほとんど同じで、一緒に撮ると、発色や階調では見分けがつかないんだけどね。やってみると分かるけど……)。

 その半面、大きめのサイズと、20枚しか撮れない内蔵メモリーは、その魅力を大きくスポイルしている。なにしろ、オリンパスはこれまでも業務用デジタルカメラを長年作ってきたメーカーなのだし、コンパクトカメラで培った技術と経験があるので、そのあたりは百も承知しているはず。けれど、各社とも、デジタルカメラがこれほどまで急激に成長し、ユーザーの要求レベルが日に日に高まっており、しかも自社デバイスだけでは対応できないというジレンマを抱えている。そのなかでの、CAMEDIAシリーズ第一弾としては、とりあえず成功しているのではないかと思う。もちろん、いくつかの欠点はあるものの、それは第二弾で必ず解消してくるだろう。

ランキング入りは確実? そしてまだ未知の強豪も

 さて、デジタルカメラ・ランキングだが、発売までまだ日があり、ほぼ同時期に強敵も登場するものの、ランク入り、しかも上位は確実かな?と現時点では思っている。

 また、近々には話題の81万画素モデルC-800Lの実写レポートや、C-400Lの最大のライバルなりそうな「SONY・サイバーショット」のレポートもできる限り早く掲載する予定だ。

 また、16日から世界最大の写真機材ショー「フォトキナ」(18~23日)に取材にゆくが、現地からの最新レポートもお届けしようと思う。どうやら、あっと驚く新製品が登場しそう。こちらも、乞うご期待! ではでは。


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このレポートは試作機によって行われたものであり、最終的な製品とは仕様が異なることがあります。

('96/9/15)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp