【周辺機器】

プロカメラマン 山田久美夫が見たCAMEDIA

オリンパス CAMEDIA発表会インプレッション

'96/8/27 発表
CAMEDIA 連絡先:オリンパス販売株式会社
Tel. 03-3251-8940(ダイレクトイン)

いよいよ今年後半の台風の目となる“81万画素・12万8000円”の液晶モニターつきモデルをフラッグシップとした「オリンパス・CAMEDIA」が発表された。スペックの詳細は発表会レポートやオリンパスのホームページをご覧いただくとして、ここでは発表会場で実機に触れた感触などをレポートしよう。

違和感のないコンパクトカメラ風デザイン

CAMEDIACAMEDIA  オリンパスのデジタルカメラに対する基本的な考え方は、「デジタルカメラはカメラである」という明快なもの。だがこの点は現在のパーソナル機にもっとも欠けている部分であり、この点をクリアできるかどうかが、今後のデジタルカメラの発展を大きく左右する、きわめて重要なポイントといえる。分かりやすくいうと、デジタルカメラがPCへの画像入力機器を中心に発達するか、将来”普通のカメラ”となるどうかの鍵を握っていると言い換えてもいいだろう。
 そのため、CAMEDIAは、まず、迷わず同社のヒット作であるコンパクト機の「ミュー」で好評を博しているデザインや操作性を採用した。そのかいあって、発表会の半ばで各記者の手元にカメラ(C-400L)を配られたときでも、ほとんどの人がなんの違和感もなく、レンズバリアを開けてスイッチをいれ、光学式ファインダーを覗いてシャッターを切っていたことで、早くもその成果が立証された。もっとも、液晶表示や画像再生など、従来のフィルム式カメラにない機能は説明が必要だったが、これは仕方のないところだろう。
CAMEDIA おそらく液晶なしの「C-400」あたりを普通の人に貸して、「フィルム入ってるよ」といったら、誰もデジタルカメラだと思わずに旅行にでも持ってゆきそうだ。その意味ではデザインこそ違うがコダックDC20に相通じる雰囲気を備えている(さすがに、エプソンのCP-100じゃムリだろうなあ~)。しかも、この凝った(金のかかる)デザインのカメラを、49,800円で発売しようというのだから、これはかなりの冒険だ(C-800Lだけのデザインなら納得できるけどね)。
 もっとも、さすがに最近の超小型コンパクトカメラほど小さくはなく、ちょうどQV-100をグラマラスにしたような感じで、結構大きく感じる。そのため、ポケットに入れて持ち歩ける感じではなく、携帯性はまずますといったところ。
 操作性は良好。とくに、レンズバリアを開くと撮影モード、閉じると再生モードに切り替わる点が実に分かりやすい。しかも、操作ボタンがモードごとに、1ボタン1機能になっており、撮影モードは黒、再生モードは緑で表示された機能になる点も明快だ。

ファインダーは光学式、液晶は再生用がメイン

CAMEDIACAMEDIA  発表会で手にして印象的だったのは、光学ファインダーの見やすさで、実に明るくクリアでシャープ。もちろん、写りには関係ないが、このあたりの作り込みは、カメラメーカーらしいこだわりを感じさせる。
 もちろん、発表会で手にした「C-400L」は液晶モニター付きだが、撮影モードではカメラ背面の表示ボタンを押している間しかモニターが作動しない仕様で常時点灯しファインダーとして使うタイプではない。これはおそらく、電池の消耗(単3型4本)を懸念した省エネ設計のためだろう(電池はアルカリ以外のニッケル水素やリチウムでも大丈夫)。これまでの液晶式デジタルカメラとは、やや感覚が異なり、賛否両論意見がわかれるところだろう。
 もちろん、撮影した画像はその場で即座に液晶で見ることができる。表示速度はまずまずで、QV-100に比べるとのんびりした感じだが、インデックス表示(9枚)がカシオより遥かに早く、見たいコマを探すのは楽チンだ。これは撮影時にサムネール画像(インデックス表示専用の小さい画像)も作っているからだ。液晶はTFT式の1.8インチタイプだが、見る角度によって結構明るさが変わり、QV-100やDS-7ほど見やすくはなかった。また、液晶表面の処理は艶消しタイプで、明るい屋外でも反射が少なくて見やすいことが予想されるが、その半面、指紋が目立ちやすいのが気になった。
 また、記録速度は1コマあたり5~6秒と標準的だが、本機が将来的なターゲットにしているデジタルカメラに慣れていないユーザーにとってはこれでも長く感じるかもしれない。

クラスを越えたドキッとするほどの写り

 問題の写りだが、かなりハイレベル。とくに筆者が注目したいのは、フラッグシップの81万画素モデルもさることながら、35万画素モデルの画質のクォリティーの高さだ。会場で配られたサンプルプリント(たぶん、同時発売のA6判昇華型プリンターによるもの)では、他社の某25万画素機と、某40万画素クラス(ノイズのでかたから推察するとR社のもの?)と、CAMEDIAの35万画素、81万画素で同一被写体を撮影したものだったが、35万画素モデルでも、他社の40万画素クラスより明らかにワンランク上の実力に見えた。しかも、解像度、発色、階調のいずれも良好で、このバランスの良さは大きな魅力になりそうだ。ただし、400と400Lで画像の圧縮率が異なるので、画質が異なる可能性はある。

81万画素のC-800Lの高画質は従来のパーソナル機のレベルを越えた世界

SAMPLEもっとも会場にあった昇華型プリンターでの出力では、35万画素モデルより明らかに解像度が高いことは確認できた。また、PC Watchから落としたサンプルデータ(左に再録)を愛用の富士フイルム・ピクトログラフィー3000でA5判に出力してみたが、会場で見た昇華型プリントよりもさらに高画質にみえる。しかし、35万画素モデルがデジタルカメラ用の正方画素(しかも原色)CCDなのに対して、81万画素モデルはビデオ用(補色長方画素)CCDを採用し、メカニカルシャッターを併用してフレーム画像を得ているという仕組みの違いのせいか、また圧縮率の関係か、ベータ版のせいか、若干ノイズっぽい感じもあった。サンプル画像を見る限りは、手元にあった100万画素モデル「ポラロイド・PDC-2000」に比べ、一歩譲る感じだ。もっとも、価格が3倍以上違うが……。
 なかには「メーカーのサンプルカットなんて信じられない!」という人や、画像処理ソフトでバリバリにサンプルを調整しているのでは……と思う人がいるかもしれない。だが、編集部に送られてきた「C-800L」のデータを見ると、RGB各色ともにヒストグラムの乱れがなく、少なくとも、明るさやコントラスト、色調を後で補正した形跡はないので、筆者はこのサンプル画像をまずは信用できるものと判断した。
 もちろん、ベータモデルで、サンプル画像が他にないため、画質評価ができるレベルではないが、画質に関しては相当な実力を秘めていそうだ。

周辺機器やソフトも楽しめそう

 また、オリンパスは今回、PCを介さずに直結し、プリントできるA6判昇華型プリンターを49,800円で同時発表した。もちろん、PC用プリンターとしても使える魅力的な製品だ。これを買えば、PCが使えない人でも、自分の家で、簡単にデジタルカメラからのプリントができるというスグレモノだ。このプリンターは、デジタルカメラが単にPCへの入力機器としてではなく、より多くの人に、気軽に使える存在になるきっかけとなりそうで、今後の動向が大いに注目される。
 CD-ROM版の取り込みソフトは、「フォトデラックス」がついて12,800円と大バーゲン価格だ。
 年内に「フォトジャグラー」というソフトが登場Quick Time VRのように、撮影した画像を張り合わせてパノラミックな画像が作れる、ダイナミックレンジの調整もできるという。これも登場が楽しみなソフトだ。

ネックは内蔵メモリーとビデオ出力

 発表会で見ただけでも、完成度の高さを感じさせる本機にも、いくつかのネックがある。まず、記録媒体が内蔵メモリー専用であること、さらに、ビデオ出力機能がないためテレビで見ることができないことという2点だ。そのため、撮影枚数も制限されるし、画像の転送は基本的に、ケーブル転送となる。まあ、内蔵メモリーが2MBの「C-400L」でVGA画像が20枚、6MBの「C-800L」ではXGA画像が30枚撮影できるわけだが、やはり枚数の少なさは否めない。一応、通信アダプターを使えばPCカードへの記録もできるが、アダプターが49,800円と結構するし、通信に使わなければ割高過ぎる。
 また、仮に6MBすべて撮影した場合には、転送にかなりの時間を要する。このあたりの使い勝手は、やはり記録メディア交換式の機種が有利だ。
 また、今回のCAMEDIAシリーズのように非PCユーザーまで取り込もうというならば、テレビで見られるという機能は重要なポイントになるだろう。
 しかし、発表会で見た印象を総合すると、かなり高いポテンシャルを秘めた機種であることは容易に想像がつく。高画質な81万画素も魅力だが、どうやらメインはコストパフォーマンスの35万画素モデルになりそうだ。もちろん、発表会だけの感触でランクを決めるようなことはしないし、ベータ版と製品版で画質や操作感(操作性ではない)の違いがある場合もある(ごく最近もあった……)。しかし、今回のモデル、なかでも液晶付きの35万画素モデル「C-400L」は、デジタルカメラ・ランキングのベスト3入りは確実では……という感触を得た。もっとも、超激動期のデジタルカメラの世界だけに、少なくとも、“今日、8月29日午後現在は”という限定付きだが……。

注:「山田久美夫が選ぶデジタルカメラ・ランキング」への正式なランクインは製品版チェック後になります

【8/27】オリンパスが81万画素CCDのデジタルカメラを発売

【8/21】山田久美夫が選ぶデジタルカメラ・ランキング(8/21版)

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('96/8/30)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp