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山田久美夫の見た

WORLD PC EXPO 96 新着デジタルカメラレポート

'96/9/4~7 幕張メッセにて開催

連絡先:
WORLD PC EXPO事務局 03-5210-8287

 今年のPC EXPOで一番人気となったデジタルカメラ。昨年のカシオQV-10の登場が火付け役となり、ここに来て一気に開花した感のある(実はまだ3分咲きという説も……)、今回のショーでは発売されたばかりのカシオQV-100を筆頭に、発表直後のオリンパス、ソニー、ミノルタなどを始め、今回初お目見えのコニカまで、各社の意欲作が出そろった、なんとも賑やかなショーとなった(ほんの数ヶ月前だって、こんな状況は想像もつかなかったよね、普通の人には……)。


小さい、楽しい、カッコイイと三拍子そろった「SONY DSC-F1」

DSC-F1DSC-F1  デジタルカメラの世界にもようやく、現時点での決定打にかなり近い製品がSONYから登場した。発表時からスペック的に魅力を感じていたが、現物を実際に手にしてみると、まだ製品前のモデルながらも、これまでのデジタルカメラとは一線を画すような完成度の高さを感じさせるレベルの仕上がりを見せており、思わず「さすがだあ~!」と唸ってしまった。

 もちろん、会場での人気も上々で、カメラを手にするのに順番待ちをしなくてはいけないほど。詳しいレポートは実機を入手してからお届けするが、とにかく、これまでのデジタルカメラとは基本的な発想が違うという印象を得た。つまり、ビデオで培った技術や考え方をスチルの世界で実現すると、こうなる。という見本のような感じで、カメラ&フィルムメーカーや他の家電メーカーにはない、“楽しさ”を感じさせる製品だ。

DSC-F1DSC-F1  とにかく、写真で見るよりも遥かに小さく、遥かにカッコイイ。しかも、「デジタルカメラだから、こんな楽しみ方ができるんですよ」という遊び心のある機能が満載されている点が、オタク心をくすぐる。それでいて、製品としては決してオタッキーなものではなく、誰でも普通に使える実用性と気軽さを兼ね備えている。

 特徴や機能を説明し始めると、きっとスクロールするのに疲れるほどになってしまうので、詳細はSONYのホームページに譲るが、いま、デジタルカメラを買おうと思っている人が欲しいと感じている機能はほぼ完全に網羅されている。まあ、メモリーが内蔵のみ(4MB)だったり、レンズがズームレンズじゃなかったり、AFじゃなかったり、電池の消費が結構多そうだったりするけれど、「だから、どうしたの?」という感じ。

 この調子だと、ランキングでは発売されて、いきなりNO.1なんて可能性もありそう。他社がこれに追いつくのには、かなりの時間を要しそうなほどの完成度で、いま、一番発売が待たれる機種という感じだった。

DSC-F1DSC-F1  また、SONYは、アメリカですでに発表済みの12倍ズームつきモデル「DKC-D5PRO」も展示。こちらはF1に比べるとあまり人気がなかったが、スペック的には相当なポテンシャルを備えている。受注生産であり、価格も20万円近いが、本格的にデジタルカメラで作品つくりを楽しみたい人にとっては、かなり魅力的な製品といえそうだ(実は、国内発売されなかったら、取材用機材としてアメリカで買ってこようかな?と思っていたんですね……)。

 両機ともまだ製品版ではないので、画質に関してはまだコメントできないが、少なくとも「F1」の画質は結構ハイレベル。「DKC-D5PRO」はまだ未知数という感じだった。

○お問い合わせ先
連絡先:お客様ご相談センター
Tel.東京:03-5448-3311、名古屋:052-232-2611、大阪:06-539-5111

○ソニーホームページ
http://www.sony.co.jp/index-j.html

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アクリル越しの対面に終わった「ミノルタ Dimage V(ディマージュ・ブイ)」

Dimage VDimage V  ショーの前日に技術発表されたミノルタ初のパーソナル機「Dimage V」。ショーの会場にも、ほんの数台しなかく、すべてがアクリル越し。説明用としてステージ上にもあったが、手にすることさえも、担当者からのOKは、でなかった(QVの件で警戒されているかな?)。

 けれど、アクリル越しでも、そのユニークな発想と、使いやすそう(だけど、持ちにくそう)な雰囲気は十分に伝わってきた。もちろん、いまやスタンダードな仕様となった、液晶ファインダーつきモデルだが、2.7倍ズームレンズを採用しており、記録媒体にSSFDCを採用している点は、やはり注目される。しかも、レンズ部分が独立しており、さらに回転させることができるし、延長ケーブルを使えばレンズ部分だけをカメラから離して使えるところがユニーク(この手で、受光部が回転するというカシオの特許から逃れたのね)。

Dimage VDimage V  また、ボディー本体はかなりの薄型で、このあたりにも苦労の後が見られる。もちろん、実際に手にしていないので、重いのか軽いのか(実際の重さではなく、どう感じるかが問題だからね)、使いやすいか、操作しやすいかどうかは、定かではない(イイ線いってると思いますけど)。写りだって未知数だ。このあたりは、興味津々なのだが、とにかく実機を手にしてからのお楽しみとして取っておこう(せめて、触りたかったなあ~)。まあ、価格も発売時期も未定だが、当然、年末商戦用なので、あまり遠くない将来に発表されるようだ。

○お問い合わせ先
ミノルタ お客様商品相談窓口
東京:03-5423-7555
大阪:06-271-2641

○ミノルタホームページ
http://www.minolta.com/

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“?”な外観と真面目で楽しめる機能の「コニカ・Q-EZ」

Q-EZ  モックアップだと思ったら、どうやら、このサイズとスタイルで製品化されそうな、同社初のパーソナル機「コニカ・Q-EZ」。このモデルは、「パソコンでのポストカード作り」のターゲットを絞った製品だ。

 外観はなんだか”オモチャのカメラ”のようカメラ的なデザインだが、カメラらしい”質感”が感じられず、サイズも「エプソン・CP-100」よりちょっと小さいけれど、結構大きい部類だ(持ちやすいといえば、持ちやすいけどね)。

 けれど、中身は結構な本格派。まず、レンズはF2.8と明るい単焦点レンズを採用し、きちんとオートフォーカス機能も搭載されており、7cmまでの接写もAFのままでOK。露出も画面内を分割して明るさを図って露出値を決定する多分割測光を採用している。もちろん、露出補正もOKだ。ストロボも常時フル発光するものが多いなか、必要な光量だけを発光させて充電時間を短くできる調光式。光源にあわせて自動的にカラーバランスを調整するオートホワイトバランス機能もちゃんと採用されている。しかも、記録媒体はたぶん世界初になりそうな、インテルのミニチュアカードを採用している(2MBカードで、ノーマルモードで32枚、ファインモードで16枚、スーパーファインモードで4枚)。

 さらに、コニカのホームページからダウンロードできるカスタマイズソフトを使えば、セルフタイマーの作動時間、オートシャットオフの時間、自動露出やピントの検出範囲、輪郭の強調レベル、画像のガンマなどまでも、自分好みにカスタマイズできるというもの。また、PCと接続しておけば、絞りやシャッター速度をPC側で指定・制御して撮影することもできる。ここまでできる機種は、他に例を見ないほどだ(でも、ここまでカスタマイズできる人って、そんなにいるのかな? ぜひ、私はやりたいけど……)。

 これだけ機能が充実しているのに、この外観はいかにもアンバランス。機能を考えれば、予価65,000円は十分に納得できるし、お買い得かもしれないけど……。う~ん、正直に言って、私にはこのアンバランスさが理解できなかった。こ、こまったなあ~。

○お問い合わせ先
コニカ(株)お客様相談室 Tel.03-5269-9748
コニカホームページ
http://www.konica.co.jp/


81万画素モデルでの水着ギャル撮影会を開催したオリンパス「CAMEDIA」

CAMEDIA  とにかく、発表と同時に「81万画素・128,000円」という驚異の世界(だよね、いまは)を実現したオリンパス。それだけに、今回のショーはこの81万画素モデル「C-800L」をずらりと揃えて、恐竜と水着ギャルの撮影会を大々的に開催。さすがに、恥ずかしくて参加できなかったけど、発売前のモデルをこれだけ大量に揃えて、しかも、来場者に撮影させるのだから、これは凄すぎる。

 まだ、テスト機の貸し出しが始まっていないため、画質の評価はできないが、少なくとも35万画素モデルは相当な実力のようだ。81万画素モデルも日に日に成熟しているというから、発売時が大いに楽しみだ。

○お問い合わせ先
連絡先:オリンパス販売株式会社
Tel. 03-3251-8940(ダイレクトイン)

オリンパスホームページ
http://www.olympus.co.jp/

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QV-100をメインにしたカシオブース

QV-100SAMPLE  カシオは新製品のQV-100を前面に押し出し、さかんにアピール。もちろん、多くの来場者はこのショーで初めて実機を手にした人が大半であり、QV-10やQV-10A片手にショーを巡っている人もかなり多く、注目度は結構高い。しかし、展示機は(番号から判断する限り)例のリコールとなった初期ロットモデルで、液晶画面で見る限り(写真右参照)、とくに対策品というわけではないようで、以前レポートしたようないくつかの欠点が見受けられた。できれば、真っ先に購入したユーザー向けに、対策品での展示デモをして欲しかったのだが……。

○お問い合わせ先
カシオ計算機株式会社
Tel.03-3347-4811(大代表)

カシオホームページ
http://www.casio.co.jp/

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ハンディーサイズでノートユーザーに便利な「ニコン・クールピクス100」

COOLPIX 100  ニコンは今回、ショー直前に正式発表したPCカード型カメラ「クールピクス100」を展示。さらに、上位機種の「クールピクス300」の展示とデモも行われていた。形態や機能から見て、完全なパーソナル向けという寄りも、やや業務用途寄りのカメラだが、手にした感じはなかなかよく、スナップ機やメモ用機として日常的に使いたくなるようなモデルだった。もっとも、デザイン的にはあまりオシャレな感じではないが、ニコンならではの真面目さがひしひしと感じられる、なかなかの逸品だ。

 「クールピクス100」のデモを見ると、その画質は結構良好でキレイ。操作感もなかなかよく、完成度も高そうだ。今回正式発表されたクールピクス100」は実写デモも行われており、その場で撮影し、ノートPCを使いPhotoshopで切り抜き・合成をして、クールプリントで出力していた。この昇華型プリンターでプリントした画質を見ると、クセがなく、階調や色再現性も必要十分に高いようだ。

COOLPIX 300 年内発売予定の液晶つきモデル「クールピクス300」も便利そうで、こちらはレイヤー構造で画面上にメモや印を書き込めたり、音声を同時に保存できるのがメリット。これなら、画像と文字データや指示データが簡単に保存できるため、取材用機材としては結構便利そうだった。

○お問い合わせ先
ニコン電子画像機器 インフォメーションセンター
Tel.03-3829-3052

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このほかにも、コダック、フジ、リコー、キヤノンなどがデジタルカメラを積極的アピールしたのが印象的だった。どうやら、今年の年末にかけて、さらにいくつかの製品が発表され、まだまだ来年後半までも激動期となりそうな気配になってきた。今回は意外に家電メーカーの参入が少なかったし、他業種からの参入も噂されているが、今回のショーではその姿を見かけることはなかった。しかし、今回のSONYの参入で、デジタルカメラは第3世代に突入し、新たな火蓋が切って落とされたようだ。まだまだ、デジタルカメラは一刻なりとも目が離せない世界であることだけは、疑い余地のない事実のようだ。

○参考記事 【9/4】World PC Expo '96出展企業ホームページリンク集

('96/9/7)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp