外付けTAを選ぶにはいくつかのポイントがある。デジタルポートはどの通信モードに対応しているか、アナログポートはいくつ必要か、どんな機能を利用するのかといった点だ。自分の環境に必要な機能を見きわめた上で、TAを選ぶようにしたい。
●V.110 / 38.4Kbps非同期通信モード
ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)で勧告されたV.110というプロトコルを拡張したもので、国内の業界標準となっている。主に日本とヨーロッパで採用されている。インターネット接続だけでなく、パソコン通信サービス接続にも使われる。NECがAtermシリーズで採用しているV.110 / 57.6Kbps非同期通信モードはこれをさらに拡張したものだ。
●V.120 / 64Kbps非同期通信モード
ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)で勧告されたV.120というプロトコルに準拠したもので、主にアメリカなどで使われている。国内では対応するプロバイダがほとんどない。
●PPP / 64Kbps同期通信モード
●128Kbps同期通信モード
●コールウエイティング機能
●通信中転送機能
●三者通話機能
●着信転送機能
●ダイヤルインサービス
[Text by 法林岳之]
業界標準のPPP(Point to Point Protocol)を使った同期通信モード。インターネット接続で最もよく使われている。
ISDN回線のBチャンネル2本を束ね、最大128Kbpsで同期通信を行なう方法で、一般的にバルク転送と呼ばれる。バルク転送は各社別々の仕様で実現していたため、相互接続性が確保されていなかったが、最近ではアメリカで業界標準と言われるMP(Multilink Protocol/RFC1717)という規格に準拠した製品が増えており、国内の業界標準になりつつある。DTE速度(パソコン―TA間の通信速度)を230.4Kbps以上に設定しなければ、十分なパフォーマンスが得られないが、ほとんどのパソコンが対応していないため、拡張シリアルカードが必要になる。
アナログポート
次にアナログポートだが、ほとんどの製品が電話機やFAXを接続するために、2つのアナログポートを備えている。2つあれば、電話機とFAX、あるいは電話機とモデムを接続できるわけだが、付いていれば同じというわけではない。
たとえば、INSネットではアナログ回線にない便利な機能が数多くサービスされているが、これらはTAが対応していなければ使うことができない。つまり、アナログポートの機能の差はISDN回線をどれだけ使えるかを左右するわけだ。代表的なものをいくつか紹介しよう。
●フレックスホン
電話機やFAXなどをアナログポートに接続して使うのならば、コールウエイティング機能とダイヤルインサービスは必須とも言えるだろう。ちなみに、ダイヤルインサービスは月々900円で利用できるが、実際には契約者回線番号といっしょにカウントされるため、月々1800円の出費となってしまう。これをTA側の機能で月々900円にしてしまうのがグローバル着信識別機能だ。この他にも、発信者から瞬時にコールバックさせるコールバック機能(アナログポートでもデジタルポートでも利用可能)などを持つTAもある。リモートアクセスを考えているユーザーは要チェックだ。
INSネットでサービスされるコールウエイティング機能、通信中転送機能、三者通話機能、着信転送機能の4つの機能の総称。
アナログ回線のキャッチホンに相当するもの。利用料の掛からない疑似コールウエイティングに対応したTAもある。
掛かってきた通話を切らずに第三者に転送することができる。
アナログ回線ではトリオホンという名前でサービスされているもので、同時に3人で通話ができる。
掛かってきた電話を指定した電話番号(携帯電話など)に転送することができる。
TAの特定のポート(デジタルポートでもアナログポートでも可)に契約者回線番号とは別の電話番号を設定できるサービス。1つの番号につき、月々900円の利用料金が掛かる。
TA選びというと、通信速度や価格ばかりに注目してしまいがちだが、電話機やFAXも利用するときはアナログポート回りの機能もチェックしておきたい。
サポート体制
最も注意したいのがサポート体制だ。パソコンにTAを接続してインターネットにアクセスするとき、Windows95環境ではモデム設定ファイル(.INFファイル)が必要になる。ところが、パッケージに設定ファイルを同梱していない製品も希に存在する。他の設定を応用することも不可能ではないが、本来、こうした製品は購入すべきではない。
また、アナログポートに電話機やFAXを接続し、ダイヤルインサービスを利用するとき、通常はATコマンドを使って設定をしなければならない。モデムの設定などでATコマンドを使ったことがあれば、それほど難解でもないが、初心者には少々荷が重い。そこで、いくつかの製品では簡単にTAの設定ができるツールを添付している。TAのセットアップが不安なときは、こうしたツールが添付された製品を選ぶようにしたい。
さらに、TAはモデムなどと違い、接続性や相性の問題はそれほど起きないが、トラブルが皆無というわけではない。モデムが壊れてもインターネットやパソコン通信ができなくなる程度の被害で済むが、TAは壊れると電話すらできなくなってしまうこともある。TAはライフラインに直結する重要な機器であることを忘れないでほしい。
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