Web + TV = WebTV?

●ソニーがインターネット端末市場に進出


 「WebTVって、なに」と先週は何回か質問された。でも、こんな明白な名前がついているのに、何か説明することがあるのだろうか。「Web + TV =WebTV」つまり、WebTVとは、テレビでWebにアクセスできるようにするためのデバイスだ。

 7月10日、米国のベンチャ企業WebTV Networks社は、TVに接続してWWWアクセスを行うためのSET-TOP BOX (STB、テレビの上などに設置する小さな機器)のデモを行い、合わせてパートナー企業を発表した。そして、先週は、これがビッグニュースとして、米国中を駆けめぐった。

 もっとも、TVに接続するインターネットSTBというシロモノは、これが初めてというわけではない。昨年11月に英ViewCall Europe社が発表して以来、米Teknema社や米Diba社、米American Interactive Media社などが相次いで発表を行っている。米Oracle社などが提唱するNetwork Computer(NC)でもSTBタイプが登場する予定だ。つまり、インターネットSTBに乗り入れる企業自体は、もうそんなに珍しいものではないのだ。その証拠に、WebTVが6月にSTBを開発していると発表した時には、それほど大きくは発表されなかった。

 では、今回は、何が違ったのだろう。WebTVには、テレビとの切り替えを簡単にしたり専用のサービスを提供するといった特徴はあるが、もっとも目立つのはパートナー企業だ。WebTVは、プロトタイプの発表と同時に、Sony Electronics社とPhilips Consumer Electronics社がライセンスを受けて製造することを発表したのだ。

 これまで、家庭向けインターネットSTBに名乗りを挙げた企業は多かったものの、その中には家電の超大手メーカーはまだ見あたらなかった。それが、インターネット端末の成功に欠けている"決定打"だったわけだ。インターネット端末が家電として普及するなら、そこに家電大手が進出して来ないはずはないし、また、それがなければ成功しないと見られていたのだ。

 そこへ、登場したのがソニーだ。米国でのソニーに対する恐れと尊敬は、日本では想像もつかないくらい大きい。「ソニーがウォークマンやCD-ROMプレイヤのようにインターネット端末を売ったら大成功するのでは」という期待と不安が、米国の産業界にはあるわけだ。実際に、海外のニュースサイトでも、ソニーとフィリップスの名前の方が前面に出ている。

 ところで、インターネットSTBというと、このところ話題が多かったNCの関係が気になるが。これは、現時点ではまったくない。じつは、WebTVだけでなくほとんどのインターネットSTBメーカーは、NCには興味を示していない。

 そもそも、Oracle構想のNCとその他のインターネットSTBの違いは、サーバーによるサービスをどれだけ重視するかにある。Oracle NCでは、専用サーバーがユーザー認証、ユーザーデータの保存、アプリケーションの提供などさまざまなサービスを提供することになっている。それに対して、ここで言っているインターネットSTBというのは基本的には専用サーバーは不要か、あっても補助的な役割でしかしない。Oracle NCのようなサーバーによる豊富なサービスはイントラネットでは必要不可欠だが、インターネットSTBメーカーはそれが家庭市場で求められてはいないと考えているわけだ。それよりも、自社独自の持ち味をつけて、差別化を図った方がいいという考えだろう。

 もっとも、NCのガイドラインであるNC Reference Profileはゆるい規格となりそうなので、準拠してロゴをもらうということ自体はそれほど難しくはない。NC Reference Profile自体には、現段階ではサーバーの規定はないので、Oracleからソフトのライセンスを受けない限り、縛られる心配もない。しかし、インターネットSTBメーカーにとって、まだ立ち上がってもいないNCのブランドロゴは魅力でもなんでもない。とりあえずは、それぞれの思惑で、WWWのさまざまなスタンダードをサポートしたインターネットSTBやNCが乱立するということになりそうだ。

 そして、その中でソニーという強力な援軍を得たWebTVは、スタートラインで一歩有利な位置に立った。

WebTVホームページ

('96/7/15)


[Reported by 後藤 弘茂]

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