UNIXノリが楽しいJava Day
●Java産みの親ゴスリング氏来日 コンピュータ業界で、パソコン人種とUNIX人種という分け方がまだ通用するとしたら、米Sun Microsystems社の“伝説”の一人ジェイムズ・ゴスリング氏は間違いなく後者の代表のひとりだ。スピーチにしても、ビジネスが先に立つパソコン系企業の幹部とは、“ノリ”が違う。どことなく浮き世離れしているようなイメージが、UNIXっぽいというと怒られるだろうか。 さて、海外ニュースなのに、国内の話というのもどうかとは思うが、今回はゴスリング氏が来日したJava Day SUMMERがそれなりに面白かったので、ちょっと触れたい。Java DayはJava開発者向けのセミナで、7月10日~12日に東京ビッグサイトで開催されたSPARC/UNIX COSMOSと抱き合わせで開催された。目玉は、Javaの産みの親であるゴスリング氏によるJava開発のバックグラウンドと、JavaOneで発表した今後のJavaの展開についてだ。 たとえば、Javaの将来展開について、「Detail...」と映し出されると、その下には「Don't ask me」と続く。このところ、しかめっつらしいパソコン業界のスピーチばかり聞いてると、こうしたUNIX系ノリ(?)というのは、それなりに楽しめる。 もっとも、スピーチの内容自体は、少なくとも開発の背景のパートに関してはJavaOneとほとんど変わらなかった。プレゼンシートもほぼ同じで、これならJavaOneのトランスクリプトを読んでも同じかも知れない。 それから、インパクトという面でも、昨年のJava Dayと比べると弱かった。というか、昨年が強力すぎたのか...。なにしろ、昨年のJava Dayは、日程があまりによかった。12月8日のパシフィコ横浜は「素晴らしいニュースがある、数時間前にMicrosoftがJavaをサポートすると発表した」という劇的な出だしで、一気に盛り上がったのだ。 Sunの代名詞となりつつあるJavaは、SPARC/UNIX COSMOSの展示会場の方もかなり侵食していた。きっと、来年にはSPARC/UNIX/Java COSMOSと改名されているのではないだろうか。そもそも、日本サン・マイクロシステムズのステージで、ホスト-端末の時代がクライアント/サーバーに代わり、今度はJavaコンピューティングだと描いていた。ちなみに、Javaコンピューティングというのは、UNIXサーバーとUNIXワークステーション、それに年内発表予定の低価格端末Javaデスクトップを主体に構成される新しいパラダイムだ。 ところで、JavaDayの会場で、帰りに知り合いに出会った。もちろん、コンピュータ関係のカンファレンスで知り合いに会うこと自体は珍しくないのだが、今回ばかりはちょっと愉快だった。というのは、米国系大手コンピュータ系企業の日本法人に勤めているその人物は、つい昨年まで、あるオブジェクト指向技術の開発を担当していたからだ。そのプロジェクトは、結局、ようやくこれからというところで頓挫してしまった。そして、彼は「今、Javaをやっているんです」という。 なるほど、結局、SmallTalkからTaligentにいたるまで、オブジェクト指向技術の残党は、今こうやってJavaに結集しているわけだ。それだけの期待を背負い、Javaは果たしてどこまで行けるのだろう。 ('96/7/15)
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[Reported by 後藤 弘茂]