Windowsアプリが使えるNCが続々登場?
●XターミナルメーカーがNC(Network Computer)で逆襲
Xターミナルっておぼえてる? Xターミナルの利点は低価格でありながら、UNIXワークステーションの代わりになること。Xターミナルにはハードディスクなどのドライブ類が不要で、CPUも低パワーなものですむ。それなのに、UNIXアプリケーションがワークステーションと同じように使えるわけだ。そのため、Xターミナルは一時期かなり注目された。ところが、パソコンの成功とともに、ビジネス市場への進出も狙ったXターミナルの夢はしぼみ、最近では、話題に上ることも少なくなってしまっていた。
ところが、NCブームでこのXターミナルが復活してきている。Xターミナルメーカーが相次いでNC市場に参入しているのだ。
XターミナルメーカーがNCに参入し始めたのは、それが簡単だからだ。ディスクレスのローパワーデバイスで、OSをサーバーからダウンロードするといったNCの仕組みは、Xターミナルにそっくり。Xターミナルメーカーにとって、NCというのはXターミナルにインターネット標準のサポートとWebブラウザを加えて、ラベルを貼り替えただけに過ぎないとも言えるわけだ。メーカーによれば、米Oracle社などが策定するNCのガイドライン「NC Reference Profile 1」への対応も難しくないという。 じつは、以前からXターミナルメーカーやサーバーソフトメーカーはWindows版Xターミナルと呼ぶべき機能を開発していた。そこへ、NCブームが来たために、にわかに脚光を浴びているわけだ。それどころか、Windows専用ターミナルを商品化したメーカーさえある。米Wyse Technology社などだ。WyseのWintermは500ドルの端末で、WindowsアプリケーションをX Windows方式で利用できる。Webブラウザをサーバー上で実行すればインターネットターミナルにもなるということで、昨秋のCOMDEXではNCの先駆けとして話題になった。WyseはNC Reference Profile 1のサポートも表明していて、6月21日には新製品も発売している。 さて、NCでは先陣を切って、Xターミナルメーカーが飛び出したわけだ。しかし、Windowsアプリケーションを使いたいのなら、わざわざこんなことをしなくても低価格になったWindowsパソコンを買えばいいのではという見方もある。はたしてWindowsターミナルNCは市場を見いだすことができるのだろうか。今は、NCという名前で騒がれているが、定着するかどうかはまだ見えない。
というわけで、最後は、Xターミナルで失敗したあるメーカーの開発者のぼやきで締めくくろう。
Wyse Technology“Winterm” ('96/7/1)
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[Reported by 後藤 弘茂]