余震続くNC連合

●続報相次ぐなかで、NC担当副社長辞職のニュース

 業界の話題をさらった先週のNetwork Computer(NC)規格発表。その余波はまだ続いている。
 まず、米Oracle社など5社のNC規格をフォローする発表が相次いだ。赤井電機や伊Olivetti社、米SunRiver社は、すぐにNC開発や発売を発表。なかでも、赤井電機は積極的で、テレビに接続する300ドル以下のNCを今年の第4四半期に発売すると明確にした。また、米Motorola社や英Advanced RISC Machines社、三菱電機、NECなどはデバイスでのNCサポートや関連デバイスを発表した。
 だが、Oracleにとって気になるニュースも流れてきた。San Francisco Chronicleによると、OracleのNetwork Computer担当副社長のAndrew Laursen氏が辞職したというのだ。詳細はまだ不明だが、もし本当なら、昨年辞職したNew Media部門担当の上級副社長Farzad Dibachi氏に続き、NCに関連する上級幹部が辞めたことになる。
 さて、そのDibachi氏は退社後、ベンチャ米Diba社を設立、独自の情報家電アーキテクチャ「IDEA (Interactive Digital Electronic Appliances) 」を開発した。そして、NC連合発表の直後にぶつけるように、米国の大手家電メーカーのZenith Electronics社が、IDEAを採用したインターネットアクセステレビ「NetVision」を公開したのだ。この、NetVisionは、WebブラウジングやEメール、Javaの実行機能を持つというNCライクのシロモノだが、NCとは規格が異なる。また、米American Interactive Media社も、テレビ接続用の端末を発表したが、こちらもNCをサポートしていない。それは、限定された機能で十分な家庭用端末では、NC対応サーバーにより多様なアプリケーションやストレージなどを提供するNC構想は、それほど魅力ではないからだ。つまり、NCはインターネット端末になだれ込もうとする企業全ての支持を集めることには成功しなかったわけだ。
 さらに、パソコン業界からもNCへのカウンターパンチが飛んだ。それは米Compaq Computer社と大手テレビメーカー米homson Consumer Electronics社の提携だ。両社は共同でパソコンとテレビを融合させた新しいデバイスを開発、97年前半に投入すると発表した。これは、パソコンをリビングに持ち込むというコンセプトの製品で、ホーム市場ではNCと対立することになる。
 しかし、NCに対するもっとも強烈なリアクションはMicrosoftのサイトで見つけることができる。ここには、現在、ビル・ゲイツ会長によるインターネット端末ブームへの反論が掲載されている。「It's easy to paint a rosy picture when details aren't in focus.(詳細が明瞭でない時、バラ色の絵を描くのは簡単だ)」と手厳しくNCなどインターネット端末を斬るこの文章は、なかなか強烈。もし時間があれば一読をおすすめしたい。

関連サイト
San Francisco Chronicle
※言及している記事は「Key Player In Oracle's NC Resigns」というヘッドラインでサーチしてcgi経由でないと表示されない。

赤井電機のリリース
Sunriverのリリース
Olivettiのリリース
Compaq Computerのホームページ
Dibaのホームページ
ビル・ゲイツ会長のエッセイ

('96/5/27)


[Reported by 後藤 弘茂]


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