元麻布春男の週刊PCホットライン

Windows XPを「使える」ようにする


●Windows XPにアップグレードする理由はあるか?

 Windows XPが正式リリースされて、はや十日が経った。事前に予想されていた通り、不況のPC業界を救う起爆剤にはなっていないようだが、ある程度のインパクトは与えているように思う。少なくとも、ある程度のお客さんを、PCショップのソフトウェア売り場に連れ戻すことには成功しているようだ。

 すでにWindows 2000を利用しているユーザーに「Windows XPに14,000円~15,000円(Windows 2000ユーザー限定特別アップグレードパッケージの価格)を投じるだけの価値があるのか」と言われると、これは非常に難しい。たとえばDVD-RAMドライブ(あるいはDVD-RAM/Rドライブ)を持っているとか、S/PDIFコネクタからマルチチャネルのサウンドストリームを取り出したいとか、特別な(それもかなりピンポイントな)ニーズを持つユーザー以外に、出費を正当化させることは難しいような気がする。

 過去のバージョンアップのうち、文句無しに推奨できた(ある意味バージョンアップせざるを得なかった)のは、Windows 3.1からWindows 95へのバージョンアップだ。APIの大幅な変更(Win16からWin32へ)を伴ったこのバージョンアップを行なわないと、かなり近い将来、自分のマシンで市販のアプリケーションが動かなくなる可能性が高かったし、何より渇望されていたネットワーク機能を備えたOSだったからだ。

 また、Windows 95からWindows 98にアップグレードする1つの理由になったのは、USBのサポートである。Windows 98がリリースされるはるか前から、ユーザーのPCには使われることのない2つの穴っぽこが開いていた。この穴っぽこを意味のあるUSBポートにするためには、どうしてもWindows 98が必要だった。Windows XPではUSB 2.0がサポートされる予定だが、USB 2.0の穴っぽこは、多くのPCで今も標準搭載されていない。市販されているUSB 2.0のホストアダプタにはWindows 2000やWindows Me等に対応したドライバが添付されており、USB 2.0を使うためにどうしてもWindows XPへアップグレードする必然性はない。それどころか、Windows Updateで提供されるWindows XP版のUSB 2.0ドライバは、まだベータ版のままなのである。

 というわけで、Windows XPへの移行、あるいはアップグレードを急ぐ必然性はそれほど高くはない。が、今後新たに購入するPCにプリインストールされるOSとして、あるいは新たに組み立てるPCにクリーンインストールするOSとして、Windows XPを拒む理由もそれほど多くはない。Windows 2000 Service Pack 3と揶揄されようとも、Windows 2000に対してWindows XPが改良されたものであることや、アップデートされたものであることも間違いないからだ。


●Lunaになじめないなら2000ライクに

 筆者の場合、現時点で使っているPCは、相変わらずWindows 2000ベースのものである。が、いくつかのマシンにはWindows XPを入れてみたりしながら、次の仕事マシン(できれば年内に移行したいと思っている)をWindows XPベースにする可能性を模索しているところだ。

 この過程でハッキリしたのは、やっぱり筆者はLunaにはなじめない、ということである。今までのWindowsが、頻繁に使うものは1アクションで、あまり使わないものは3アクションで使うGUIだったとしたら、Lunaはすべてが2アクションで使えるGUIであるような気がしてならない(これはあくまでも「たとえ」であって、現実にマウスを何回クリックするか、ということではない)。これは、ある意味わかりやすくなったのかもしれないが、今までのWindowsに慣れた身からすると、どうもまだるっこしい印象が否めない。

 これをどうやって「使える」ようにするか。まずやらねばならないのは、GUIを極力Windows 2000ライク(?)にすることだ。デスクトップテーマ(この概念もWindows NT系のOSとしてはWindows XPで初めて取り入れられたものではある)を「Windowsクラシック」に変え(画面1)、スタートメニューも「クラシック」に変えてしまう(画面2)。ついでにタスクバーのプロパティで、「クイック起動」を表示するようにしておけば、よりWindows 2000ライクだ。

 それから筆者的に欠かせないのは、「フォルダオプション」の「表示」タブにあるファイルとフォルダの表示の詳細設定で、「すべてのファイルとフォルダを表示する」をチェックすると同時に、「登録されている拡張子は表示しない」と「保護されたオペレーティングシステムファイルを表示しない」のチェックボックスをクリアすることだ(画面3)。誤って、大切なファイルを消さないように、という親心だろうが、余計なお世話である(余計なお世話であることを自分でもわかっているから、無効にする方法を用意しているのだろうが)。

 さらにコントロールパネルもクラシック表示に変え、ついでにシステムのプロパティで、自動更新を止めてしまう(画面4)。システムの復元については、止めてしまうか、生かしておくか、まだ結論を出していない。今のところ、生かしておこうかと思ってはいるのだが。

画面1 画面2
画面3 画面4


●おせっかいなバルーンを消す

 これで、筆者的にはWindows XPはずいぶん使えるようになったのだが、まだやり残したことがある。それは、バルーン表示を止めることだ。Windows XPをインストールすると、何日以内にアクティベーションしろだの、.NET Passportの登録をしろだの、画面右下、タスクバーのインジケーター部分から、うるさいバルーンが現れる。アクティベーションについては、これはライセンス契約なので、ハッキリいってどうしようもない。イヤだったら買わない、使わないことだ。Windows XPを使うのであれば、アクティベーションを行なうしかないし、アクティベーションすることで、バルーンは表示されなくなる。

 問題は.NET Passport登録の方だ。Microsoftの役員は、独禁法訴訟にからみ、.NET Passportに登録するかどうかは、あくまでも任意である、という発言をしている。しかし、こうしょっちゅう.NET Passportへの登録を促すバルーンが表示されるというのは、筆者には.NET Passport登録を強要しているようにしか思えない。パスポートに個人情報を登録し、万が一情報の漏洩など何か問題が生じた場合、Microsoftが全面的に賠償責任を負ってくれるのであれば.NET Passport登録を検討しないではないが、どこにもそんなことは書かれていない。ハッキリ言ってお引取り願いたい余計なお世話の1つだ。

 実はこのうっとうしい.NET Passportのバルーン、表示されるのは2回まで。2回とも、バルーン右上のクローズボタンをクリックして閉じておけば、3回目以降は表示されない。

 もし、1回で表示させないようにしたければ、1回目に次のようにする。

1. .NET Passportのバルーンが表示されたら、バルーンをクリックし「.NET Passportウィザード」を表示する(画面5)
2. 「キャンセル」をクリックする

画面5

 さらに、.NET Passportのバルーンだけでなく、バルーンの表示を全面的に禁止することもできる。レジストリを変更するのでやや危険を伴うが、次のようにする。

1. レジストリエディタ(regedit.exe)を起動する
2. 「HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced」のサブキーを開く
3. 右側のウィンドウを右クリックし、「EnableBalloonTips」というDWORD値を作成する
4. このDWORD値が0になっていることを確認したら、レジストリエディタを終了し、再起動する

 これで、.NET Passport以外のバルーンの表示もなくなる。アクティベーションを促すバルーンも表示されなくなる(したがって、もしアクティベーションを行なっていないと、警告無しにいきなりWindowsが使えなくなるかもしれない)し、新しいプログラムの追加や自動更新のバルーンも消えてしまう。筆者はいずれも必要としないし、そもそも自動更新なんぞ止めてしまえという、原始的な人間である。これで何の問題もない。

 実は、このバルーン表示を消す方法は、MicrosoftのKnowledge Baseに登録されている方法であり(文書番号JP307729)、別に筆者が見つけたものでもなんでもない( http://www.microsoft.com/japan/support/kb/articles/JP307/7/29.asp )。それだけ、このバルーンを鬱陶しく思う人間がいるのだと、筆者はむしろ嬉しくなるのだが、まさかMicrosoftは、こうした無表示にする情報を提供しているから、.NET Passportへの登録は任意だなどと言うのではあるまいな、とも思ってしまう。

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(2001年11月29日)

[Text by 元麻布春男]

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