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San Joseダウンタウンを走るLight Rail。写真は2両編成だが、通勤通学のピーク時には6両編成程度まで増結される。運賃は片道1ドル25セント均一だが、3ドルで1日券(バス共通)が買える |
実は筆者は、以前米国滞在中に、ホテルへの配達を指定して、メールオーダーでノートPCを購入したこともあるのだが、指定した日に届かずやきもきした経験がある(原因は、ホテル内での配送システムにあった)。今回はできれば、実際にショップに足を運んで、自分の手で持ち帰りたい、と思ったのである。
しかし、東芝のノートPCをその場で持ち帰れそうな販売店となると、かなり限定されてしまう。ある程度の在庫を常時持っていそうな大型量販店でないと、無駄足になる可能性が高い。IDFが開かれたSan Joseエリアで上の条件を満たすショップというと、Fry's Electronics、Comp USA、BestBuy、Micro Centerといったあたりがまず思いつく。
そのうちFry'sとBestBuyが家電も扱うのに対し、Comp USAとMicro CenterはPC関連専門という違いがあるものの、PC本体に関する品揃えや価格はあまり変わらないような印象がある。時間が半日と限られていることもあり、とりあえずSan Joseの中心から行きやすいComp USAのSan Jose店と、Fry's ElectronicsのSan Jose店に行くことにした(ちなみにMicro Centerはフリーウェイの101号線沿いのMercad Centerという、旧S3本社に隣接したモールにあり、BestBuyはSan Joseの北隣に位置するMilpitasのMcCarthy Ranch Shopping Centerにある)。
●Comp USAとFry's San Joseの位置関係
Fry's San Jose店の入り口。マヤ文明がテーマモチーフとなっている。バス停に背面を向けた格好なので、バス停からはお店の奥行き分だけ歩くことになる |
San Joseの中心からの直線距離という点では、Comp USA Santa Clara店の方が若干近いと思うが、Light Rail一本で行ける気軽さ、という点でSan Jose店の方に分がある。
一方のFry's San Jose店は、同じくLight RailのKarina駅が最寄駅(San Joseダウンタウンから見ると、Blossom Hill駅が南なのに対し、Karina駅は北で、逆方向になる)。ここから歩いて行くことも可能だが(距離的には1マイル程度)、平日はバスを使うことができる。
土日は運休となる59番のバスは、通勤用のため、朝と夕方以外は運行間隔が開くから、できれば事前に運行スケジュールを確認しておきたい( http://www.vta.org/schedules/SC_59.html )。時間が合わない時は、近くにあるマクドナルド等でヒマ潰しすることになるが、ここのマクドナルドには、客席の一部にノートPC用の電源コンセントが用意されており、ちょっとだけシリコンバレーを実感する。これなら、遠くない将来無線LANのサービスが提供されたとしても、なんら不思議はない。
さて、Light RailのKarina駅に隣接するバス停は、時刻表上の1St & Karina、Fry'sに最も近いバス停は時刻表にはないがBRKW(Brokawの略)& OAKL(Oakland Roadの略)よりも、さらに手前で1St & Karinaに近いから、だいたいの時間を推定するしかない(バスを降りるのは、1St & Karinaから3~4番目のバス停だが、Fry'sの看板が目印になるので、間違う心配はない)。帰りは道路(Brokaw)を渡った反対側の芝生の中に、ひっそりとバス停があるので、そこからバスに乗ることになる。ちなみに、このバス停の手前が、ALiの米国法人である。
Comp USA同様Fry'sも、San Jose店よりも、Santa Clara店の方がポピュラーなようだ。その理由としては、Santa Clara店のあるLawrence Expresswayの方が、近くに別のPCショップもあるため(Comp USAのSanta Clara店もLawrenceとEl Camino Realの交差点そば)、ショップ巡りしやすいという事情が挙げられる。
だが、それに加えて、以前はSanta ClaraとSan Joseで消費税率が異なり、Santa Claraの方が税率が低かった、ということからくる慣習もあると聞いたことがある(現在は、消費税率は変わらないハズ)。お店の規模としても、Santa Clara店の方がSan Jose店より大きいと思うが、大きいからといって置いているものの種類が増えるわけではない(量は多いかもしれないが)ので、特に困りはしない。
●目当ての3000-S353は見つからなかったが、下位モデルを発見
この2件を回ってわかったことは、お目当てのSatellite 3000-S353は、店頭には見当たらない、ということだ。その代わりに見つかったのが、Satellite 3005-S303というモデル。サイズや重量といったスペックは同等なのだが、CPUがPentium III 850MHzにワングレード下がる代わりに、DVD-ROM/CD-RWコンボドライブを搭載したモデルだ。
どうやら東芝アメリカは、コンボドライブ搭載モデルを売れ筋とみて、店頭販売はこのモデルに絞って展開しているらしい。Comp USA、Fry'sともにSatellite 3005-S303は店頭展示しており、持ち帰り可能だった。
CPUがワングレード下がるのはたいしたことではない。DVD-ROMドライブがDVD-ROM/CD-RWコンボドライブになっても(必要かどうかは別にして)、特に困ることはない。問題は、コンボドライブを搭載することで、システム価格が上がってしまうことだ。
前回、Satellite 3000-S353の価格を1,459ドルと書いたが、Satellite 3005-S303の価格は1,799ドル(2店とも)。買おうとしていたモデルより、300ドル以上高い。しかも、それは筆者が必ずしも必要としない機能ゆえに価格が上昇するのである(自宅でわざわざノートPCを用いてCD-RやCD-RWを作成するとは思いにくいし、米国出張中にCD-RやCD-RWを作成するとも考えにくい)。
というわけで、筆者は悩みに悩んだのだが、結局Satellite 3005-S303の購入に踏み切った。これまで使っていたノートPCが、サウンド機能が不調になるなど、いよいよ危なっかしくなってきたのが1つ。もう1つは、前回述べたように、日本のメインストリームと筆者の好みや希望が必ずしも一致しないため、日本に帰ったからといって、望ましいPCが買えそうには思えなかったからだ。
そして、最後に実際に動いているマシンのデバイスマネージャを開いて、チップセットがIntel 815EMであることを確認した上で購入した(サードパーティ製チップセットが必ずしも悪いとは思わないのだが、ちょっとひるんだかもしれない)。
さて、購入したSatellite 3005-S303は、液晶ディスプレイの基部に、CD再生に用いるボタンが設けられている。全体に、今の米国で流行りのデザインというか配色で、たとえばDELLのDimensionやCompaqのEvoにも通じるところがある。ただ、日本人にはちょっとアクの強いデザインかもしれない。
Satellite 3005-S303の外観。Satellite 300xシリーズに共通で、シルバーとメタリックブルーのツートンカラーになっている | Satellite 3005のキーボード。英語キーボードであることは言うまでもない。手前右側(DVD-ROM/CD-RWコンボドライブの右側)には、バッテリパックが収納される |
液晶ディスプレイを開くと、本体がいわゆるA4ファイルサイズであるため、キーボードにはかなり余裕がある。キーピッチがたっぷりしているだけでなく、比較的ストローク感があるのが嬉しい。本体左手前側にマルチデバイスベイがあり、ここにDVD-ROM/CD-RWコンボドライブを装着できる。
おそらく東芝の国内モデルで、この位置にDVD-ROM/CD-ROMドライブがあるものは、ほとんどないと思う(側面にドライブが用意されているものがほとんど)。パームレスト左側には、「Your perfect mobile solution - flexible, feature-rich, thin and light」という本機のキャッチフレーズが書かれたシールが貼られていることでもわかるように、この大きさでも米国では「薄型・軽量」で通じるわけだ。
表1に、このSatellite 3005-S303のスペックをまとめておいた。基本的には、これまで述べた通りだが、シリアルポートが廃止され、代わりにUSBポートが3ポート用意されていることが目立つ。USB接続の内蔵スマートメディアリーダと合わせ、ICH2がサポート可能な4ポートのUSBポートすべてがユーザーに提供されていることになる。工場出荷状態で、SO-DIMMソケットが1つ使われており(128MB)、空きスロットは1つだけだが、筆者はここに手元にあった64MB SO-DIMMをインストールすることにした(計192MB)。
【表1:Satellite 3005-S303のスペック】
CPU:モバイルPentium III 850MHz
メモリ:PC100対応SO-DIMMスロット×2(128MB DIMM×1装着済、最大512MB)
チップセット:Intel 815EM
Graphics:NVIDIA GeForce2 Go (AGP接続)+16MB DDR SDRAM
サウンド:Crystal CS4299A AC97対応オーディオCODEC
HDD:富士通 MHM2200AT(約20GB)
DVD-ROM/CD-RW:松下 UJDA710(8/8/4/24倍速)
PCカードスロット:TI PCI-1420 CardBus Controller×2スロット
リムーバブル(SmartMediaリーダ):STM(CMG) FlashCardReader(USB接続)
IEEE 1394:TI OHCI互換 IEEE 1394コントローラ
Ethernet:100Base-TX Realtek RTL8139
モデム:Toshiba Software Modem AMR(V.90互換56K)
USB:3ポート(側面1ポート、背面2ポート)
シリアルポート:なし
パラレルポート:EPP/ECP互換×1
その他:IrDA
サイズ(幅×奥行き×厚み):12.3×10.0×1.4インチ(312×254×35mm)
重量:5.7ポンド(約2.59Kg、DVD-ROM/CD-RWコンボドライブ搭載時)
●OSによって性能差のあるGeForce2 Goビデオドライバ
日本に持ち帰って必ずやらなければならない作業は、日本語OSのインストールだ。が、その前に、ベンチマークテストを行なってみることにした。実際の使用時には、Windows 2000をインストールしようと思っているものの、GeForce2 Goのドライバは、どうやらWindows MeとWindows 2000で性能差(特に3Dグラフィックス)があるようだ。たとえば、3DMark 2001のスコアでは500ポイント前後の差が生じた。
先日リリースされたばかりのNVIDIAの最新ドライバ(Detonator XP)では、Windows MeとWindows 2000でほとんど性能差がなくなっているのだが、GeForce2 GoはNVIDIAがリリースするリファレンスドライバのサポートリストに入っていない(ユニファイドドライバの対象外)ため、このドライバを用いることができない。そこで、ベンチマークテストの環境としては、ドライバによる不利が少ないWindows Me(日本語版)を選び、表2のような構成のデスクトップPCと比較してみることにした。本当は850MHzのPentium IIIシステムが用意できれば良かったのだが、比較的近いシステムということで、勘弁してもらいたい。
【表2:比較に用いたデスクトップPC】
CPU:PentiumIII 700MHz
Motherboard:Intel D815EEA
Memory:256MB PC100 DIMM
Graphics:WinFast GeForce2 MX
Driver:DetonatorXP (21.81)
HDD:DiamondMax Plus 60
Sound:YMF744B
Driver:OS内蔵
OS:Windows Me
DirectX:DirectX 8.0a
で、その結果が表3だ。さすがに3Dグラフィックス性能を測る2つのテスト(3DMark 2001およびQuake III)では大きく遅れをとっている。が、昔のことを考えれば、こうしたテストをノートPC上で実行する気になる、そしてその結果がそれほど惨めなものではない、ということだけでも、立派なもんだと思ってしまう。
【SYSmark 2001】
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Satellite 3005-S303 デスクトップPC |
【3DMark 2001】
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Satellite 3005-S303 デスクトップPC |
【Quake III Demo2】
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Satellite 3005-S303 デスクトップPC |
SYSmark 2001については、明らかにPentium III 700MHzのスコアを上回っている。CPUのクロックが高いのだから当たり前、といってしまえばそれまでだが、一般にノートPCは、低速な2.5インチハードディスク、省電力管理等が用いる多くの割り込み処理、デスクトップPC用に比べ見劣りするLCD対応のグラフィックスチップ、といった性能上のさまざまなハンディキャップを抱える。
今回のテスト結果を見ると、こうしたハンディキャップは少しづつ解消しつつあるのかもしれない。筆者が普段原稿を書いている仕事用のデスクトップマシンがPentium III 600EB MHzであることを考えると、性能だけをみればこのノートPCの方が高速だろう。ちょっと複雑な心境だ。そろそろ次期仕事マシンについて、考えるべきかもしれない。
(2001年9月19日)
[Text by 元麻布春男]