IDF Fall 2001レポート

モバイルNorthwoodやXeon MPの実物を公開
~McKinleyの詳細な仕様も公開

 Intel Developer Forum Conference Fall 2001は2日目を迎え、さまざまな技術トラックなどが行なわれている。本日プレス向けに、Intel Labsによるパッケージや製造技術などを説明するプレスカンファレンスなどが行なわれ、この中でモバイルNorthwoodと思われるCPUや、Xeonのキャッシュ容量を増やしたXeon MP、さらにはIA-64のItaniumの後継となるMcKinleyのCPUコアと詳細が明らかにされた。


●モバイルNorthwoodが突然公開される

デスクトップPC向けのPentium 4(左)ではIHSがついているが、モバイルNorthwoodでは、IHSがついていない形状になる
 パッケージのセッションの終了後、さまざまなパッケージを採用したCPUの例として、いつかのパッケージが公開された。

 そこで、モバイル向けCPUとして、μFC-PGAのパッケージのモバイルPentium III-Mと表示されたCPUが2つあったのだが、実際にはこの2つはCPUコアの大きさが異なっており、明らかに片方はモバイルPentium III-Mではなかった。

 モバイルPentium III-MよりもCPUコアが大きいモバイル向けCPUと言えば、Intelが2002年の第1四半期に出荷を予定しているモバイルNorthwoodしかあり得ない。

裏側。左がモバイルNorthwoodで、右側がデスクトップPC向けのPentium 4。ピンがない位置が異なることがわかる モバイルPentium III-Mとの比較。ダイサイズがモバイルPentium III-Mよりも大きいことがわかる

 モバイルNorthwoodは、明日開催されるフランク・スピンドラー副社長の基調講演で詳細が明らかになるとされており、情報筋によれば第1四半期の登場時に1.6GHz、1.5GHzで登場し、第2四半期に1.7GHzが追加、第3四半期には1.7GHz以上のクロックが追加されると見られている。

 パッケージはμFC-PGAで、ピン数は478ピンとなっている。モバイルNorthwoodは製造プロセスルールが0.13μmになっており、512KBのL2キャッシュが搭載されているのが特徴だ。チップセットは、これまでBrookdale-Mのコードネームで知られてきたIntel 845MPとなる。以下は現時点で複数の情報筋が伝えるIntel 845MPのスペックだ。

【Intel 845MPの推定スペック】
・システムバス:400MHz
・メモリ:DDR SDRAM(200MHz動作、最大1GB)
・AGP:2X、4X(1.5Vのみ対応)
・サウスブリッジ:ICH3-M(USB1.1×6、UltraATA/100)
・省電力機能:拡張版SpeedStep、DeeperSleepなど

 となっている。要するにコードネームBrookdale-DDRで知られるIntel 845のDDR版に、モバイル向けのICH3-Mを組み合わせたバージョンとなる。

 IntelはこのモバイルNorthwoodを、フルサイズノートPC向けと位置づけているという。明日行なわれる予定の基調講演などでどこまで情報が公開されるのか注目が集まっている。


●Hyper-Threadingに対応したXeon MPも公開

 また、同時にXeon MPと書かれたCPUも公開された。このXeon MPは、Intelが2002年の第1四半期に出荷を予定しているサーバー向けCPUで、L3キャッシュがオンダイで搭載されているのが特徴だ。

 Xeon MPが利用されるような4ウェイ、8ウェイのサーバーではキャッシュ容量がシステム全体の性能に大きな効果を与える。このため、キャッシュ容量は非常に重要で、例えば、現行のPentium III Xeon 900MHzには、2MBのL2キャッシュを搭載した製品が用意されている。

 基本的にXeon MPは大容量キャッシュを搭載したPentium III Xeonのリプレースとなるもので、情報筋によれば2002年の第1四半期に1.6GHz以上のクロックでの出荷が検討されており、L3キャッシュの容量は512KB版と1MB版が存在するということだ。

 実際、Xeon MPは単なるXeonに比べて見るからに大きいことがわかる。ピン数などはXeonと同じ603ピンで、基本的にはXeonにL3キャッシュが追加されたものだと考えればいいだろう。

Xeonの比較。手前(右)に見えるのが現在のXeon(Xeon DPと呼ばれる)。これに対して奥に見えるのがXeon MP。1MBまたは512KBのL3キャッシュを搭載しHyper-Threading Technologyに対応している Xeon MPとXeon DPの裏側の比較。どちらも裏側は同じ

 なお、このXeon MPはこれまでコードネームJacksonと呼ばれてきたHyper-Threading Technologyが搭載される。このHyper-Threading Technologyは、1つのCPUでOSやソフトウェアに対してCPUが2つあるように見せかける技術であり、CPUの余っているリソースを2つに上手く振りわけて、マルチスレッドに対応したアプリケーションなどの性能を向上させるのだ。

 つまり物理的なCPUは1つでも、論理的には2つのCPUがあることになる。このため、物理的に2ウェイのXeon MPはOSやアプリケーションから見ると4ウェイに見え、4ウェイの場合は8ウェイに見える。Intelエンタープライズプロセッサマーケティング共同ディレクター トム・ガリソン氏は「Xeon MPを搭載したサーバーなどでは、Hyper-Threadingに対応していない場合よりもWebトランザクション数の向上、接続ユーザー数の向上などを期待できる」と、そのメリットを説明している。


●McKinleyは3MBのL3キャッシュをオンダイ搭載、クロックは1GHz

McKinley。1GHzで動作し、実行ユニット数の増加などの改良によりItaniumに比べて1.5~2倍の処理能力を発揮する
 また、昼食時にはサーバーに関するプレスカンファレンスが行なわれ、初代IA-64であるItaniumの後継となるMcKinleyに関する詳細が公開された。

・システムバス:128bit幅、400MHz、(6.4GB/sec)
・実行ユニット:6ALU、1クロックあたり2ロード/2ストア、11命令ポート
・キャッシュ:3MBL3キャッシュ(オンダイ)
・アドレス:50bit物理アドレス、64bit仮想アドレス、最大ページサイズ4GB

 性能面でもっとも影響を与える変化としては、実行ユニットが追加され6(Itaniumは4)になったことと、システムバスのクロックが3倍の400MHzとなったことにより帯域幅が6.4GB/secへと向上、さらにはL3キャッシュがオンダイ化されたことによりキャッシュのレイテンシが低減された、クロックが1GHzになったこと(Itaniumは800MHz)などが挙げられる。

Itanium(右)との比較。ItaniumではL3キャッシュがオフダイとなっていたが、McKinleyではオンダイとなっている 裏側。Itanium(右)と比較すると、ピン数が増え、ピンの密度が高まり、配置も変更されている

 Intelエンタープライズプロセッサマーケティング共同ディレクターのリサ・ハンブリック氏によれば「これらの改良によりMcKinleyは従来のItaniumに比べて1.5~2倍程度の処理能力を発揮できる」と述べており、実際にspec int2000で、Itanium上でコンパイルして実行してみると、70%程度McKinleyが高速な結果を叩き出すという。

 McKinleyのサンプルもパッケージのセッションで公開された。McKinleyは、Itaniumが2MB、または4MBのL3キャッシュをオフダイで搭載していたのに対して、3MBのL3キャッシュがオンダイで搭載されているため、ダイサイズはItaniumに比べて大きくなっている。今回公開されたサンプルにはIHS(Integrated Heat Spreader)が付いていたため、実際のダイのサイズはわからないが、IHSもかなり大型になっており、ダイサイズはかなり大きいことが予想される。

 McKinleyはパイロットリリースが今年の終わりまでに開始され、2002年には製品として出荷される予定だ。

□Intel Developer Forum Conference Fall 2001ホームページ
http://www.intel94.com/idf/index2.asp

(2001年8月29日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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