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WinCDR 6.5 DVD Extensionとサードパーティ製ライティングソフト


●メリットが大きいWinCDR 6.5 DVD Extension

 前回予告した通り、今回はバージョンアップされたAplixのWinCDR 6.5 DVD Extensionと、サードパーティ製DVDライティングソフトについて取り上げることにする。

 実際に筆者の手元にあるのは、WinCDR 6.0 DVD ExtensionとWinCDR 6.5 DVD Extensionの差分(の最終ベータ版)。これに含まれるのはライティングソフトであるWinCDR 6.5 for DVDと、更新されたAplixエンコーダの2モジュールで、PacketManなど他のモジュールに変更はないようだ。このアップデータは15日から、http://www.logitec.co.jp/down/soft/dvdr/wincdr_dvd.htmlで公開されている。

 WinCDR 6.5 for DVDの改善点は、前回も触れた通り。中でも筆者が注目しているのは、新たに採用されたライティングエンジンによる書込みの高速化と、PCデータ書込みのサポートだ。これを確認するために、早速いつものデータ(1.7GBのMPEG-2データ)を用いてテストしてみた。テストに用いたシステムは、前回と全く同じ(表1)。ドライブも前回と同じロジテックのLDR-214AK(ATAPIインターフェイスの内蔵型)である。

左のメニューに新機能が DVD-ROMの作成

【表1: テストに用いたシステム】
・CPU: Pentium 4 1.7GHz
・Motherboard: Intel D850GB (i850)
・Memory: 256MB PC800 RDRAM
・HDD: Seagate Barracuda IV 40GB
・Graphics Card: WinFast GeForce3 TD
・LAN: Intel PRO/100+
・Sound: Yamaha YMF744
・OS: Windows 2000 SP2

 その結果は表2に示した通り。WinCDR 6.0 for DVDはPCデータの書込みをサポートしていなかったため直接の比較ができないが、DVDit! LEでオーサリングしたDVD-Video互換の書込みの結果を見れば、バージョンアップの効果は明らかだ。等倍速書込みのDVD-RWメディア、2倍速書込みのDVD-Rメディアともに、ほぼ予想通りの書込み速度が実現されている。転送レート(Lead-InやLead-Outの書込みといった、データ転送の発生しない書込みも含まれているため、あくまでも「見かけの」データ転送レートということになるが)の項を見れば、PCデータの書込みでも、ほぼ同じ速度が達成されていることが分かる。

 なお、ここで示された書込み時間は、WinCDR 6.0 for DVDの書込み時間から、終了処理時間を除いたものにほぼ等しい(WinCDR 6.0は終了処理としてベリファイでもやっていたのだろうか?)。ということは、書込み速度が速くなったというよりは、不要な終了処理がなくなったことが高速化のポイントのような気もするが、いずれにしても喜ばしいことではある。

【表2: データ(1.70GB)の書込みに要した時間】
メディア書込みソフトオーサリングDVD-Video互換実書込み量書込み時間転送レート
DVD-RWWinCDR 6.5 DVD Ext.N/ANo1.70GB24分15秒1.20MB/sec
DVD-RWWinCDR 6.5 DVD Ext.DVDit! LEYes1.97GB27分54秒※11.21MB/sec
DVD-RWinCDR 6.5 DVD Ext.N/ANo1.70GB12分14秒2.37MB/sec
DVD-RWinCDR 6.5 DVD Ext.DVDit! LEYes1.97GB14分03秒※12.39MB/sec

※1 DVDit! LEによるオーサリング/DVDイメージの作成に別途20分弱を要した

 もう1つ、今回のバージョンアップで注目されたのは、AplixエンコーダがMPEG-2の変換機能を備えたことだ。MPEG-2によるキャプチャやエンコードをやったことがある人ならご存知の通り、MPEG-2というのは実に柔軟性に富む規格で、様々なオプションが提供されている。だが、残念ながら、どんな設定のMPEG-2ストリーム(ファイル)であろうと、市販のDVDプレーヤーで再生可能というわけではないし、DVDオーサリングソフトと互換というわけでもない。端的に言ってしまえば、DVDit! LEと非互換のMPEG-2ファイルも存在する。

 もともとDVDit! LEというのは、ビデオキャプチャカード等のハードウェアにバンドルされることを目的とした、OEM専用のパッケージ。当然、DVDit! LEが添付されたキャプチャカードが生成するMPEG-2ファイルと、DVDit! LEとの間に互換性問題が生じる心配はなかった。しかし、DVD-R/RW/RAMドライブ等にバンドルされるようになると、困った問題が生じる。DVD-R/RW/RAMドライブを購入したユーザーがすでに所有しているキャプチャカードと、DVDit! LE間の互換性が保証できないのである。

 WinCDR 6.5 DVD Extensionに含まれるAplixエンコーダは、DVフォーマットからMPEG-2フォーマットへの変換に加え、DVDit! LE非互換のMPEG-2ファイルを互換のフォーマットへ変換する機能を備える。ちなみに筆者が、NECのSmartVision Pro2 for USBの6Mbps固定bitレートで作成した30分の動画(約1.29GB)を、画質最優先の設定で同じ6MbpsのMPEG-2ファイルにコンバートしたところ、所要時間は1時間43分だった(速度優先の設定も可能)。

 これが早いか遅いかはともかく、Aplixエンコーダがこの機能を備えたことで、上記の問題は解消したことになる。これで、パッケージとしてのWinCDR 6.5 DVD Extensionは、一通りの機能が完備したといって良いだろう。LDR-214AKとの組合せにおいても、これまで不可能だったDVD-Rメディアを用いたPCデータの2倍速書込みが可能になった。後は、DVD-VideoのオーサリングをWinCDR自身が行なえるようになれば、いちいちディスクイメージを作成する必要がなくなるのだが、おそらくこれが今回のアップデートが7.0ではなく、6.5になっている理由なのだろうと期待しておくことにしたい。

●各ライティングソフトの機能と性能

 さて、現在購入可能なDVDライティングソフトというと、株式会社イージーシステムジャパンが販売するPrimoDVDとDigiOn Videoが挙げられる。PrimoDVDは、エンタープライズ向けのバックアップソフトウェアで知られるVERITASの子会社であるPrassiが開発したDVDライティングソフトウェア。DVD-Videoのオーサリング機能は持たず、ただPCデータを書き込むだけのシンプルなライティングソフトだ。その一方で、サポートする書込みデバイスにDLTドライブがあるところなど、VERITAS風?な部分もある。

 一方のDigiOn Videoは株式会社デジオンが開発したDVキャプチャおよびビデオ編集ソフト。デジオンは、ジャストシステムから発売されているMegaViシリーズのソフトウェアの開発元でもある。ただし、DigiOn Videoの中心となる機能はあくまでもビデオの編集にあり、DVD-Videoの作成を目当てに購入すると失望するかもしれない。

 実際、ビデオの編集が機能豊富なのに対し、DVDのオーサリングは決め打ちになっている部分が多く、決して自由度が高いとは言いがたい。DVD-Video互換のMPEG-2ファイルへの書き出しをサポートする延長線上として、ライティングをサポートしたという印象だ。とはいえ、Cyber LinkのPower DirectorやUleadのVideoStudio5 Go! DVDなど、MPEG-2フォーマットへの書き出しをサポートした、DVビデオキャプチャおよびビデオ編集ソフトが発表されていることを考えると、差別化のポイントになっていることも間違いない(Uleadは年内にDVD-R対応の予定)。

 この2つのソフトウェアで、これまでと同じデータの書込みテストを行なった。その結果は表3の通り。

【表3: データ(1.70GB)の書込みに要した時間】
メディア書込みソフトオーサリングDVD-Video互換実書込み量書込み時間転送レート
DVD-RWPrimo DVDN/ANo1.70GB24分17秒1.19MB/sec
DVD-RWDigiOn VideoDigiOn VideoYes1.97GB27分54秒※21.21MB/sec
DVD-RPrimo DVDN/ANo1.70GB12分19秒2.36MB/sec
DVD-RDigiOn VideoDigiOn VideoYes1.97GB14分11秒※22.37MB/sec

※2 オーサリングに別途約1時間7分要した

 書込みに要する時間だけを見る限り、DVDit! LEやWinCDR 6.5 DVD Extensionとほとんど変わらない。おそらくいずれのソフトウェアも、こと書込みに関する限り、ハードウェアの所定の性能を発揮しているものと思われる。その一方で、DigiOn Videoではオーサリングに1時間以上を要しているのが気になるが、DigiOn Videoが単なるオーサリングソフトではなく、ビデオ編集ソフトであり、出力時にビデオのレンダリングを行なっていることを考えれば、この結果も無理もない。もし議論をするとすれば、ビデオ編集とDVD-Videoオーサリングは1つのソフトウェアでやるべきか、2つ以上のソフトウェアで分担するか、ということだろう。

 ところで、これまで一連のテストで筆者は、1.7GBのMPEG-2ファイルを使ってきた。が、このテストでは明らかにできないことがある。それは少量のデータを書き込んだ場合のDVD-R/RWの振る舞いだ。表4に示したのは、データがそれぞれ216MB、707MBの時の書込み時間である(表ではDVD-RWメディアを用いているが、DVD-Rメディアでも同じ現象が生じる)。

表4: 書込みデータが少量の場合

●データが216MBの場合
メディア書込みソフトオーサリングDVD-Video互換実書込み量書込み時間
DVD-RWPrimo DVDN/ANo216MB14分9秒※2
DVD-RWDVDit! LE *1DVDit! LE *1Yes250MB14分4秒※3
DVD-RWWinCDR 6.5 DVD ExtN/ANo216MB14分8秒
DVD-RWPacketManN/ANo216MB2分40秒

●データが707MBの場合
メディア書込みソフトオーサリングDVD-Video互換実書込み量書込み時間
DVD-RWPrimo DVDN/ANo707MB14分11秒※4
DVD-RWDVDit! LE *1DVDit! LE *1Yes1,004MB14分51秒※5
DVD-RWWinCDR 6.5 DVD ExtN/ANo707MB14分8秒
DVD-RWPacketManN/ANo707MB8分40秒

※1 アイ・オー・データ機器GV-MPEG2/PCIにバンドルのもの(Ver 2.3)
※2 終了処理10分10秒を含む
※3 別途オーサリングに2分14秒を要した
※4 終了処理4分09秒を含む
※5 別途オーサリングに11分19秒を要した

 これで分かるのは、パケットライトソフトであるPaketmanを除き、書込みに要した時間が変わらないことだ。こうした現象が生じるのは、現在のDVD-R/RWの規格上、1GB~1.1GBまで書き込む必要があり、少量のデータの場合、この条件を満たすよう、ダミーのデータを書き込んでいるからだ。この措置は、古いDVDプレーヤーやDVD-ROMドライブとの互換性を保つ上で必要とされており、ドライブやライティングソフトウェアの問題ではない(現時点で、パケットライトを除くほとんどのライティングソフトウェアが追記をサポートしていないのも、この影響かもしれない)。

 逆に言えば、こうした互換性を断ち切って構わなければ、1GB境界の問題を気にする必要はないわけで、パケットライト時はこの問題を無視していることになる。そもそもパケットライトは、それをサポートしたソフトウェア(専用のリーダーソフトウェア)を組み込んでいない状態では、読み出すことが不可能であり、互換性を気にしてもしょうがない側面がある。互換性より、1つの閉じた環境での使い勝手の良さを追求したのが現状のパケットライト、と言えるかもしれない。

 というわけで、これまで取り上げたライティングソフトの機能について、筆者独自の観点からまとめたのが表5だ。実際にはWinCDR 6.x for DVDとPacketManは1つのパッケージ(WinCDR 6.0 DVD Extension)としてバンドルされており、特にバージョン6.5になってパッケージとしての完成度が高まっていることが分かる。すでに述べたように、WinCDRがオーサリング機能を備えれば、ほぼ文句のないパッケージとなる(強いていえば、あとはPacketManのフォーマットが不要になれば良いのだが)。

 DigiOn VideoとPrimo DVDは、発売元が同じであり、この2つをセットにしたパッケージも存在する。汎用のPCデータライティングソフトとして、PrimoDVDはなかなか優秀だと思う。×印がついている項目は、規格上サポートが不可能だったり、全く異なる書込み方式をサポートする必要があったりするものが大半である。あとはパケットライトのサポートが欲しいところだ。それに比べれば、DVD-VideoオーサリングソフトとしてのDigiOn Videoは決して強力ではない。が、DigiOn VideoがそもそもDVキャプチャ/ビデオ編集ソフトであることを考えれば、無理もない部分がある。オマケとしてDVD-R/RWへの直接書き出しがサポートされたDVキャプチャ/ビデオ編集ソフトだと考えれば、納得がいく。

 残るDVDit LEは、現在ほとんどのDVD-R/RW/RAMドライブに添付されている、いわばDVD-Videoオーサリングソフトの定番的な存在だ。ハードウェアにバンドルされるという性格上、バンドルパッケージにより機能が異なる可能性がある点に注意が必要だが、ビデオ編集機能、MPEG-2ファイルのコンバート機能を持たない、良くも悪くもピュアなオーサリングソフトである。最大の難点は、どんなMPEG-2ファイルでもOKというわけではなく、場合によっては外部のコンバータソフトが必要になることだ。もちろん、DVD-RWのサポートも待たれる。

表5: 各ライティングソフトがサポートする機能
機能WinCDR 6.0 for DVDWinCDR 6.5 for DVDPacketManDVDit! LE *1DigiOn VideoPrimo DVD
ディスクイメージ作成の省略×○(PCデータのみ)×
DVD-Video互換書込み××
DVD-Videoオーサリング×(DVDit! LE付)×(DVDit! LE付)××
PCデータ書込み×××
パケットライト×××××
データの追記×××××
DVD-Rメディア対応×
DVD-RWメディア対応△ *2
1.1GB未満の書込みが可能×××××

※1 アイ・オー・データ機器GV-MPEG2/PCIにバンドルのもの(Ver 2.3)
※2 正式にDVD-RWをサポートしてるわけではないため、 メディアの消去等ができないが、書込みは可能

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【8月16日】ロジテック、自社DVD-R/RW用「WinCDR DVD EXTENSION」をアップデート
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010801/hot157.htm

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(2001年8月16日)

[Text by 元麻布春男]


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