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ATAPI内蔵型DVD-R/RWドライブ「ロジテック LDR-214AK」を試用する


●ATAPI内蔵型DVD-R/RW「LDR-214AK」をテスト

ロジテック「LDR-214AK」

 前回取り上げたロジテックのLDR-214Fは、パイオニア製のDVD-R/RWドライブ(ATAPI対応のDVR-103)をIEEE 1394の外付けユニットに仕立てたものだった。今回取り上げるのは、ATAPI対応のストレートな内蔵モデル、LDR-214AKだ。

 LDR-214AKは、DVR-103にLDR-21Fと同じ構成のソフトウェアを組み合わせたもの。すなわちライティングソフトウェアのWinCDR 6.0 DVD Extensionと、ソフトウェアDVDプレーヤーであるPowerDVDの2種を添付したパッケージである。現時点での実売価格は8万5,000円前後と、外付けのLDR-214Fより1万円~1万2,000円程度安価だが、外付けユニットにケース、電源、ATAPI-IEEE 1394ブリッジといったコストアップ要因があることを考えれば、納得のいくところだ。



●IEEE 1394モデルとの比較テスト

 早速、下記のPentium 4システムにインストールしたが、サポートする最大のデータ転送モードは、MultiWord DMA Mode 2と出た。DVD-ROMの読み出し速度が4倍速、CD-ROMの読み出し速度が24倍速の本ドライブは、これで十分ということなのだろう。なお、以前取り上げたDVD-RAM/Rドライブと異なり、DVR-103が占有するドライブレターは1つだけだ。

【表1: テストに用いたシステム】
・CPU: Pentium 4 1.7GHz
・Motherboard: Intel D850GB (i850)
・Memory: 256MB PC800 RDRAM
・HDD: Seagate Barracuda IV 40GB
・Graphics Card: WinFast GeForce3 TD
・LAN: Intel PRO/100+
・Sound: Yamaha YMF744
・OS: Windows 2000 SP2

 さて、まず行なったのは、添付のライティングソフトウェアによる書込み速度のチェックだ。ATAPI-IEEE 1394変換を行なう外付けのLDR-214Fと、ストレートにATAPI接続するLDR-214AKで、果たして性能差があるかどうか、というのは誰しも気になるところだろう。その結果は、表2に示した通り。前回の結果と比べて大差ないことが分かる。

【表2: データ(1.70GB)の書込みに要した時間】
メディア書込みソフトオーサリングDVD-Video互換実書込み量書込み時間転送レート
DVD-RWPacketManN/ANo1.70GB21分22秒1.36MB/sec
DVD-RWWinCDR 6.0 DVD Ext.DVDit! LEYes1.97GB36分
※1 ※2
0.93MB/sec
DVD-RWinCDR 6.0 DVD Ext.DVDit! LEYes1.97GB22分06秒
※1 ※2
1.52MB/sec

※1 DVDit! LEによるオーサリング/DVDイメージの作成に別途20分弱を要した
※2 終了処理の約8分を含む

【前回の結果】(LDR-214F)
1.70GBに要する
書き込み時間
転送レート
DVD-RWPacketMan21分18秒1.36MB/sec
DVD-RWWinCDR 6.0 DVD Ext.34分12秒 ※1 ※20.98MB/sec
DVD-RWinCDR 6.0 DVD Ext.22分10秒 ※1 ※21.53MB/sec
※1 DVDit! LEを用いたDVDイメージの作成に別途21分強を要した
※2 実際に書き込まれたデータ量はオーサリング等により増え1.97GB

 テスト前は、ATAPI-IEEE 1394変換によるオーバーヘッドはないのか(この場合ATAPIの方が性能が良いハズ)、いや逆に負荷がATAコントローラとIEEE 1394コントローラに分散されるからIEEE 1394の方が有利になるのではないか(この場合はIEEE 1394の方が性能が良いハズ)、などいくつかのシナリオを考えていたのだが、テスト結果を見る限り大きな違いは見られなかった。なお、WinCDR 6.0 DVD Extensionによる書込み時間には、約8分間の終了処理が含まれるが、これを除くと、DVD-RWメディアに対する書込みが28分、DVD-Rメディアに対する書込みが14分で、ほぼ倍速になっていることが分かる。


●DVDit! LEに感じる不自由

 これまで、パナソニックのDVD-RAM/Rドライブ、外付けDVD-R/RWドライブのLDR-214F、内蔵ATAPIのLDR-214AKと、DVD-Video互換の書込みができる3製品を見てきたが、すべてに共通しているのが、オーサリングソフトとしてDVDit! LEを採用している、ということだ。DVDit! LEがサポートする機能、あるいは上位版であるDVDit! SEやDVDit! PEとの機能差( http://www.sonicjapan.co.jp/store_new/233_editions.html )をどう考えるかは、ユーザーによって異なるものと思うが、筆者にとって一番辛かったのは、DVDit! LEがどんなMPEG-2ソースでもライティングできるわけではない、ということだった。

 基本的にDVDit! LEはキャプチャカードなど、サードパーティ製品に添付されるOEM専用の機能限定パッケージであり、これが添付されているキャプチャカードとの間で互換性が生じることはない。しかし、DVD-R/RAMドライブやDVD-R/RWドライブに添付されたDVDit! LEの場合、互換性を持つキャプチャカードは必ずしも明らかではない。一連のテストで筆者が用いてきた1.70GBのデータは、カノープスのMTV1000で作成した30分余りの動画データで、DVDit! LEと互換性を持つが、たとえば現在普及している安価なソフトウェアMPEG-2エンコーダで作成したMPEG-2ファイルはDVDit! LEと互換性を持たない。NECのSmartVision Pro2 for USBで作成した動画データも、音声のサンプリング周波数の問題で、そのままではDVDit! LEで利用することができなかった(以前、テスト用のデータをSmartVision Pro2 for USBで作成したと書いたのは誤り。ここに訂正し、お詫びさせていただく)。

 結局、ドライブに添付されるDVDit! LEで利用できるMPEG-2ファイルを生成可能なキャプチャカードを見つける最も確実な方法は、DVDit! LEがバンドルされたキャプチャカードを探す、ということになる(すでに述べたようにMTV1000はDVDit! LEがバンドルされていないものの、DVDit! LE互換だと分かっている。が、こうしたカードを探すには、片っ端からテストしてみるしかない)。ここではDVDit! LEがバンドルされたキャプチャカードとして、I/Oデータ機器のGV-MPEG2/PCIを使ってみた。


●GV-MPEG2/PCIバンドルのDVDit! LEでテスト

GV-MPEG2/PCI
 GV-MPEG2/PCIは、C-Cube製のハードウェアエンコーダチップを採用したMPEG-2キャプチャカード。MTV1000と異なり、TVチューナーユニットを搭載していない。ということは、タイムシフト再生や予約録画といった機能は当然搭載していないことになる。

 製品としての性格も、MTV1000以上に、キャプチャやキャプチャしたビデオの編集にウエイトが置かれている。筆者が表1のシステムにインストールし、短時間試用した範囲でも、単にビデオを表示しているだけなのに、リップシンクがずれる現象が見られるなど、単にビデオやTVを表示する、という目的には不向きだ。もちろん、キャプチャしたビデオ(当然DVDit! LE互換)のリップシンクはちゃんとしているし、キャプチャしたビデオの画質も悪くないのだが、この種のデバイスを初めて購入したユーザーはちょっと驚くのではないか、と思う。

 このGV-MPEG2/PCIに添付されていたDVDit! LEは、WinCDR 6.0 DVD Extensionのものと異なり、スタンドアロンでDVD-Rドライブに対して書込みを行なうことができる。そこで、これまで用いてきた1.70GBのデータを用いてベンチマークテストを行なってみた。その結果が表3だ。1つのソフトウェアでオーサリングと書込みが完結するため、事前にディスクイメージを作成する必要がない。そのため、WinCDR 6.0 DVD Extensionと比べて、オーサリング時間が6分程度短縮されている。書込み時間そのものも短縮されており、ほぼドライブのスペックに近い数字になっているようだ(WinCDR 6.0の書込み時間から終了処理に要した時間を除くと、ほぼ同じ結果となるのだが)。

【表3: 添付以外のライティングソフトによる書込み】
メディア書込みソフトオーサリングDVD-Video互換実書込み量書込み時間転送レート
DVD-RWDVDit! LE※1DVDit! LEYes1.97GB27分43秒 ※21.21MB/sec
DVD-RDVDit! LE※1DVDit! LEYes1.97GB13分59秒 ※22.40MB/sec
※1 I/Oデータ機器GV-MPEG2/PCIにバンドルのもの(Ver.2.3)
※2 DVDit! LEによるオーサリングに別途14分前後を要した

 と、書いていたら、WinCDR 6.0 DVD ExtensionがWinCDR 6.5 DVD Extensionにアップグレードすることが判明した。この新バージョンでは、新しいライティングエンジンの採用による書込みの高速化、DVDデータ書込みのサポート、プロテクトされていないDVD-ROMのコピー、DVD-VideoとPCデータの混在書込み、付属のAplixEncoderによるDVD非互換MPEG-2ファイルのDVD互換フォーマットへのコンバートといった、新しい機能をサポートするという(既存ユーザーには無償でダウンロードによるアップデートが提供される予定)。筆者の手元にも、間もなく、このWinCDR 6.5が手元に届くことになっている。次回は、サードパーティ製ライティングソフトと共に紹介したいと思っている。

□関連記事
【8月1日】DVD-R/RWドライブ「ロジテック LDR-214F」を試用する
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【7月3日】ロジテック、実売9万円を切るATAPI内蔵型DVD-R/RWドライブ
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【2000年8月23日】アイ・オー、ハードウェアMPEG-1/2キャプチャカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000823/iodata.htm

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(2001年8月9日)

[Text by 元麻布春男]


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