元麻布春男の週刊PCホットライン

DVD-R/RWドライブ「ロジテック LDR-214F」を試用する


●DVD-R2倍速書き込みや、CD-RW書き込みにも対応した「LDR-214F」

パイオニアDVR-103を採用したLDR-214F

 3週間前、このコラムで松下電器のDVD-RAM/Rドライブを取り上げた。今回は、パイオニアのDVD-R/RWドライブユニットDVR-103を用いたロジテックの「LDR-214F」を取り上げたい。DVR-103はDVD-Rメディアに対する2倍速書き込み、DVD-RWメディアに対する等倍速書き込みに加え、CD-Rメディア(8倍速)とCD-RWメディア(4倍速)への書き込みをサポートしたユニットだ(読み出し速度はCD-ROMが最大24倍速、DVD-ROMが最大4倍速)。DVD-R/RWメディアに対しては、バッファアンダーランの防止機能も備える。

 LogitecはDVR-103を用いた製品として内蔵タイプ「LDR-214AK」とIEEE 1394インターフェイスを採用した外付けタイプ「LDR-214F」の両方を用意しているが、ここで用いたのはIEEE 1394インターフェイスに対応した外付けユニットであるLDR-214F。背面に6ピンコネクタと4ピンコネクタの両方が用意されており、どちらのケーブルを用いることもできる(2つのコネクタを用いたデイジーチェーンも可能)。

LDR-214F上面 IEEE 1394インターフェイスを採用し、4ピンコネクタと6ピンコネクタを備える

 添付されているソフトウェアは、書き込みソフトウェアであるWinCDR 6.0 DVD Extensionと、ソフトウェアDVDプレーヤーであるPowerDVDの2種。WinCDR 6.0 DVD Extensionは、WinCDR 6.0 for DVD、DVDit! LE、Aplixエンコーダfor DVD、PacketManの4つのソフトウェアで構成される。Aplixエンコーダfor DVDは、AVIフォーマットの動画をMPEG-2にコンバートするアプリケーション。DVD-Videoの素材を作成するためのものだ。


●DVD-Rへのデータ書き込みをサポートするソフトは添付されない

 松下電器製DVD-RAM/RドライブにもバンドルされていたDVDit! LEは、DVDのオーサリングソフトである。ただし、松下電器製ドライブにバンドルされていたDVDit! LEがDVD-RAMメディアやDVD-Rメディアに対する書き込みまでサポートしたものであったのに対し、WinCDR 6.0 DVD Extensionに含まれるDVDit! LEは、書き込みをサポートしない。書き込みは、もっぱらWinCDR 6.0 for DVDが受け持つ。つまり、DVDit! LEでオーサリングとディスクイメージの作成を行ない、WinCDR 6.0 for DVDが書込むというわけだ。

 もちろん、WinCDR 6.0は、Windows用のCD-Rライティングソフトだけに、本機でCD-RメディアやCD-RWメディアへの書き込む際にも利用できる。注意しなければならないのは、WinCDR 6.0 for DVDで、PCデータの書き込みを行なうことはできない、ということだ。要するにWinCDR 6.0 for DVDがサポートしているのはDVD-Video互換の書き込み(DVD-RおよびDVD-RW)のみで、CD-RにPCデータを書き込むようにDVD-Rメディアにファイルの書き込みを行なうことはできない。

 PCデータの書き込みには、専らパケットライトソフトであるPacket Manを用いることになる。ただし、Packet ManがサポートしているのはDVD-RWメディアのみ。つまり、倍速の書き込みがサポートされたDVD-Rメディアに、PCデータを書くためのソフトウェアは、本製品には標準添付されていないことになる。このあたりはちょっと残念なところで、最近登場しつつあるサードパーティ製のライティングソフトの入手を検討する必要があるだろう。

ドライブレターは1つとして認識される

 本製品を実際に評価システム(表1参照)に接続して気づいたのは、DVD-RAM/Rドライブと異なり、このDVD-R/RWドライブは1つのドライブレターのドライブとして認識されている、ということだ。これは通常のCD-R/RWドライブと同じであり、読み出し側と書き込み側のそれぞれに計2つのドライブレターを割り当てるDVD-RAM系のドライブより、わかりやすいと思う。

【表1:テストに用いたシステム】
 CPU: Pentium 4 1.8GHz
 Motherboard: Intel D850GB (i850)
 Memory: 128MB PC800 RDRAM
 HDD: Maxtor DiamondMax Plus 60
 IEEE1394アダプタ: ラトック REX-PCIFW1-L
 Graphics Card: WinFast GeForce3 TD
 LAN: Intel 82557
 Sound: Yamaha YMF744
 OS: Windows 2000 SP2


●DVD-RWへの書き込み速度は早いが終了処理に時間がかかる

 まずDVD-RWメディアへの書き込みを行なってみた。以前、松下電器製ドライブを取り上げた時と同じ、1.7GBのMPEG-2データを、PacketManとWinCDR 6.0 DVD Extensionの両方で書き込んでみた。前者による書き込みは単純なデータファイルのコピーでありPC以外の環境では読み出せないのに対し、後者はDVD-Video互換のオーサリングが施されているため、物理的にDVD-RWメディアを読み出せるドライブ/プレーヤーであれば再生できるという違いがある(この工程により若干データ量が増える)。

フォーマットには2時間近くかかってしまう
 もう1つの大きな違いは、DVD-Video互換の書き込みが事前のフォーマット等を必要としないのに対し、PacketManのようなパケットライトをするには、事前にメディアをフォーマットしておかねばならない、ということだ。このフォーマットに要する時間が、初回時(物理フォーマットと論理フォーマットの両方が必要)では2時間近くかかってしまうというのが、PacketManの泣き所だ。物理フォーマットを省略できる2回目以降も、やはり論理フォーマットに1時間近くかかる。標準フォーマット(デファクトスタンダード)が決まってしまえば、フォーマット済みのメディアが販売されるようになるのかもしれないが、現時点では辛いところだ。ちなみにPacketManは、常駐してDVD-RWメディアの挿入を監視しているため、WinCDR 6.0でDVD-RWメディアへ書き込むには、PacketManを無効にしておく必要がある。

 さて、実際に書き込みを行なってみた結果だが、PacketManによる単純コピーが21分18秒(1.36MB/sec)、WinCDR 6.0によるDVD-Video互換の書き込みが34分12秒(0.98MB/sec)となった。PacketManによる書き込みは松下電器製ドライブによるDVD-RAMメディアへの書き込みに比べて高速だが、WinCDR 6.0での書き込みは同ドライブによるDVD-Rメディアへの書き込みを若干下回る(松下電器製ドライブではDVD-RAMメディアもDVD-Rメディアも書き込み速度は1.16MB/sec)。WinCDR 6.0による書き込み中、表示されるメッセージを見ていると、データの書き込みが終わった後の終了処理に時間をとられている印象があるのだが、これが本来必要な処理を真面目に? 行なっているからなのか、ほかに何か理由があるのかは良くわからない。

【表2: データの書込みに要した時間】
1.70GBに要する
書き込み時間
転送レート
DVD-RWPacketMan21分18秒1.36MB/sec
DVD-RWWinCDR 6.0 DVD Ext.34分12秒 *1 *20.98MB/sec
DVD-RWinCDR 6.0 DVD Ext.22分10秒 *1 *21.53MB/sec
*1 DVDit! LEを用いたDVDイメージの作成に別途21分強を要した
*2 実際に書き込まれたデータ量はオーサリング等により増え1.97GB

 また、ここで示した数字には、オーサリングに必要な時間が含まれていない。松下電器のDVD-RAM/Rドライブでは、ディスクイメージを作成しない、オンザフライの書き込みだったため、オーサリングに要した時間は16分程度だったが、WinCDR 6.0 DVD ExtensionではDVDit! LEがディスクイメージを作成する時間も含まれるため、オーサリング時間が21分程度かかった(前回に比べれば0.1GHzとはいえ、CPUが高速化していることを考えるともう少し差が大きくなるかもしれない)。オーサリング時間を合わせると、松下電器製ドライブを用いてDVD-RメディアにDVD-Videoを作成する場合より、本ドライブでDVD-RWメディアにDVD-Videoを作成するのにかかる時間は、さらに長いことになる。


●DVD-Rメディアへの書き込みは松下電器製の1.5倍程度

 このドライブ(LDR-214F)ではDVD-Rメディアに対する倍速の書き込みがサポートされている。これならDVD-Videoの作成時間を短縮できるハズだ。というわけで、早速DVD-Rメディアに対して書き込んでみたところ、転送レートは1.5MB/secを超える結果が得られた。2倍速というより1.5倍速に近い数字だが、これも上述した終了処理に時間をとられていることが理由の1つだ。とはいえ、同じDVD-Rメディアを使えば、LDR-214Fの方が、わずかではあるものの、DVD-Videoの作成時間のトータルで上回ることになる。DVD-Videoの作成にはDVD-R、PCデータの書き込みにはDVD-RWと、メディアを使いわけることが、本製品を生かす道のようだ。

 DVD-RWでDVD-Videoを作成することのもう1つの問題点は、互換性にある。DVD-Rメディアで作成したDVD-Videoは、ほとんどのDVD-ROMドライブ、民生用DVDプレーヤーで再生することができるが、DVD-RWメディアで作成したDVD-Videoは、再生する環境を選ぶ。筆者の手持ちのドライブ/プレーヤーで、DVD-RWメディアの再生が可能かどうか、調べてみた結果が表3だ。いずれのドライブも新品ではない(若干はピックアップ等が汚れている可能性がある)が、少なくともDVD-Rの再生が可能なことは確認している。ポータビリティを重視するのであれば、やはりDVD-Rメディアを使った方がベターだ。なお、余談になるが、GD-7500は、DVD-RWとDVD-RAMの両方が問題なく読めるのだが、動作音がうるさいのが玉にキズである。

【表3: DVD-RWで作成したDVD-Videoの再生】
PC DVD-ROMドライブ
リコーMP9120A可能 *1
MP9060A可能 *1
CreativeDVD1242E不可 *2
東芝SD-M1102可能
SD-M1212不可
パイオニアDVD116可能
日立GD-7500可能
民生機
ソニーPlayStation 2不可
DVP-M30不可
*1 VIDEO_TSフォルダの内容が読めたり読めなかったりと不安定
*2 いつまでもアクセスランプが点滅

 LDR-214Fは、Plug and PlayをサポートしたIEEE 1394対応の外付けDVD-R/RWドライブユニットとして、登場間もない製品だ。が、ハードウェア的には不安を感じる部分はほとんどなかった。やはり問題はソフトウェアの完成度にあるように思う。たとえば、付属のWinCDR 6.0 DVD Extensionは、その手順上、必ずディスクイメージを作成して書き込みを行なうが、この仕様はDVR-103がバッファアンダーラン防止機能を内蔵するという利点を生かしきれていないように感じる。ソフトウェアのバージョンアップが待たれるところだ。

 なお、来週はDVR-103を用いた内蔵タイプであるLDR-214AKが手元に届く予定だ。そのタイミングで、サードパーティ製のライティングソフト、あるいはDVDit! LE互換のMPEG-2キャプチャカード等も合わせて紹介することにしたい。

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【5月22日】ロジテック、IEEE 1394対応外付けDVD-R/RWドライブ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010522/logitec.htm
【7月3日】ロジテック、実売9万円を切るATAPI内蔵型DVD-R/RWドライブ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010703/logitec.htm

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(2001年8月1日)

[Text by 元麻布春男]


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