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※初出時に「表1」、「表2」中でK7T266Proのメモリを「256MB PC2100 CL2.5」としていましたが、「256MB PC2100 CL2」の誤りでした。お詫びして訂正します。(編集部)
●リファレンスドライバの登場で再テスト
GeForce 3がデビューして、1カ月あまりが経過した。このコラムでもLeadtekのWinFast GeFroce3 TDを取り上げた( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010508/hot144.htm )のだが、1つだけ気になることがあった。おおむね順調に動作したにもかかわらず、KT133ベースのマザーボード(GA-7ZX Rev 1.01)で描画エラーが多発したのである。当時、ディスプレイドライバはまだ添付されたもののみで、NVIDIAのWebサイトからダウンロードできなかったし、チップセットドライバ(VIA 4in1ドライバ)もβ版であった。
それから1カ月、ようやくNVIDIAのWebサイトから、GeForce 3に対応したリファレンスドライバ(Detonator 3 Ver 12.41)がダウンロード可能になった。また、VIAの4in1ドライバも、Ver 4.31がβではない正式版としてリリースされた。今回は、こうしたオフィシャルリリースのドライバを用いて、もう1回テストし直してみよう、というわけである。
特に、前回はAthlonのマザーボードを1種類しかテストしなかったこともあり、あのテストを見る限り、まるでAthlonでは動かないような印象になってしまった。そこで、今回は逆にAthlon対応マザーボードを中心に、テストしてみることにした。テストに用いたマザーボードは、前回うまく動作しなかったGA-7ZXに加え、AOpenのAK73 Pro (A)(チップセットはVIA KT133A)、GigaByteのGA-7DXC(同AMD-761/686B)、MicroStar K7T266 Pro(同KT266)の4枚。さらに参考として、Slot A対応のMicroStar K7Pro(同AMD-751/AMD-756)、Intel製プロセッサに対応したマザーボードであるD815EEA(Intel815E)とD850GB(Intel850)の計3枚を加えてある。合計7枚のマザーボードによるテストとなった。
組み合わせたハードウェアは、いずれも筆者が標準的に用いているものばかり(詳しくは表を参照)。CPUは、FSB 100MHzがAthlon 850MHz、FSB 133MHzがAthlon 1.2GHzと不揃いだが、これは筆者の手持ちの関係で、了承していただきたい(いずれもThunderbirdコア)。また、マザーボードのBIOSは、特に断りのない限り、テスト時点で正式リリースされている最新版を用いてある。
テストプログラムとして用いたのは、問題の? 3DMark 2001と、SYSmark 2001の2つだ。SYSmark 2001は、実際のアプリケーション(英語版)を用いたベンチマークテスト。ビデオカードのテストのためというより、チップセットの差、サポートしているメモリの差が見られないかと思い、テストに加えてみた。SYSmark 2001は以前のSYSmark 2000と違い、フォアグラウンドで実行されるアプリケーションの裏で、音声認識やウイルスチェックなどのアプリケーションが実行されるため、SYSmark 2000に比べればFSBやメモリバスの帯域が結果に現われやすい(特にInternet Content Creation)。DDRに対応したマザーボードが2枚含まれているのは、PC133メモリとの差がわかるかもしれないという期待を込めてのことだ。
【表1:GeForce 3を用いたテスト】
マザーボード | Giga Byte GA-7ZX Rev 1.01 | AOpen AK73Pro (A) | Giga Byte GA-7DXC | AOpen AK73Pro (A) | MicroStar K7T266 Pro | MicroStar K7Pro | Intel D815EEA | Intel D850GB |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
BIOS (Version) | AMI (FEA) *1 | AWARD (R1.10) | AWARD (F3) | AWARD (R1.10) | AMI (Ver 1.2) | AMI (Ver 1.8) | P07 *4 | P13 |
チップセット | VIA KT133 | VIA KT133A | AMD-761/VIA 686B | VIA KT133A | VIA KT266 | AMD-751/756 | i815E | i850 |
チップセットドライバ | 4in1 4.31V | 4in1 4.31V | AGP 4.80/4in1 4.31V | 4in1 4.31V | 4in1 4.31V | AGP 4.80/IDE 1.32 | 2.90.007 | 2.90.007 |
ソケット | Socket A | Socket A | Socket A | Socket A | Socket A | Slot A | Socket 370 | Socket 423 |
CPU | Athlon 850MHz (FSB 100) | Athlon 850MHz (FSB 100) | Athlon 850MHz (FSB 100) | Athlon 1.2GHz (FSB 133) | Athlon 1.2GHz (FSB 133) | Athlon (K75) 600MHz | Pentium III 1B GHz | Pentium 4 1.7GHz |
メモリ | 256MB PC133 CL2 | 256MB PC133 CL2 | 256MB PC1600 CL2 | 256MB PC133 CL2 | 256MB PC2100 CL2 | 256MB PC100 CL2 | 256MB PC133 CL2 | 256MB PC800 |
3DMark 2001 | ||||||||
描画品質(著しい描画エラーの有無) | ○ | ○ | ○ | ○ | N/A *3 | ○ | ○ | ○ |
スコア | 4,483 | 4,375 | 4,732 | 5,144 | N/A *3 | 3,760 | 4,766 | 5,728 |
SYSmark 2001 | ||||||||
Rating | 94 | 94 | N/A | 128 | N/A *3 | 66 | 111 | 147 |
Internet Content Creation | 88 | 88 | 実行できず *2 | 121 | N/A *3 | 63 | 110 | 161 |
Office Productivity | 100 | 101 | 105 | 136 | N/A *3 | 70 | 112 | 134 |
【共通項目】
ビデオカード | Leadtek WinFast GeForce3 TD |
---|---|
ビデオドライバ | Detonator 12.41(オフィシャル) |
解像度 | 1,024x768/32bit/85Hz |
OS | Windows 98 Second Edition |
DirectXランタイム | DirectX 8.0a |
サウンド | YMF744 |
LAN | 3C905-TX |
HDD | DiamondMax Plus 60 |
●K7T266 Proでは相性問題が発生
さてテスト結果だが、前回うまく動作しなかったGA-7ZXについて触れておこう。前回のテスト時に用いたBIOSは、当時の最新版であったFCであった。テスト時点において、正式にリリースされている最新版はFDで、その次のリリースとなるFEの最初のβ版となるFEAが出た、という状況である。当初、BIOSをFCからFDに更新してテストを行なったのだが、前回同様、AGPテクスチャがうまく動作していないことを示唆する描画エラーが頻発した。画面を見ているだけで、この描画エラーがフレームレートに影響していることが明らかにわかるレベルのエラーだ(ちなみにFD版BIOSでの3DMark 2001のスコアは3,200前後)。
そこで、BIOSをFEAに更新したところ、この問題は解消してしまった。このFEA版BIOSには、筆者が常用するSuperDiskドライブの認識がおかしいという問題があるものの、おそらくこの影響を受けるユーザーは少ないハズ(SuperDiskはそれほどメジャーではない)。今回はこのBIOSを使ってテストすることにした。ちなみに、第2世代のSuperDiskドライブは、第1世代のドライブより高速化しているせいか(あるいはMultiWord DMAモードをサポートしたせいか)、第1世代のドライブで問題がないBIOSでも問題が生じることがある。Intel純正マザーボードであるD815EEAも、最近のBIOSではうまく認識できないため、ここではP07と少し古いBIOSを使っている。
GA-7DXにVer FDのBIOSを組み合わせても、改善は見られなかった。前回とシーンを変えてみたが、水面や太陽光線が全く描画されていないし、フレームレートやMadOnionのロゴが表示されていない | FEA版BIOSには、SuperDiskドライブにリムーバブルディスク(A:)と3.5インチFD(E:)の2つのドライブレターが割り当てられるという問題がある |
もう1つ、触れておかねばならないのは、KT266ベースのマザーボードであるK7T266 Proだ。残念ながら、今回のテストでGeForce 3のドライバを組み込んで、Windows 98 SEを起動することができなかった。ディスプレイドライバを組み込まない状態(VGAドライバで動かしている状態)では、特に問題はなく、OSのインストール作業は順調だったのだが、ディスプレイドライバを組み込むとうまくいかない。ログオンするダイアログが出る前の黒い画面で停止してしまったり(カーソルは砂時計)、ログオンダイアログが不完全に表示されたり、といった具合だ。今後のBIOSアップデートに期待しつつ、今回はGeForce 3の動作を諦めた(その結果、Athlon 1.2GHzのテストはAK73 Pro (A)のみとなってしまった)。
●KT133Aプラットフォームの枯れ具合
K7T266 Proを除く6枚のマザーボードは、すべて致命的な描画エラーを生じることなく、3DMark 2001のテストを完了することができた。その成績だが、もっとも動作クロックの高いPentium 4 1.7GHzの成績が良いのは当然として(実はそれほど「当然」ではないかもしれないことについては、後述する)、DDR SDRAMを用いたGA-7DXCの健闘が光る。3DMark 2001のテストを見る限り、PC133 SDRAMを用いたKT133/KT133Aに対して、明らかな差をつけた。その差は6~8%で、PC133メモリを組み合わせたAthlon 1.2GHzとAthlon 850MHzの差を半分埋めている。3DMark 2001のテスト結果を見る限り、DDR SDRAMを採用する価値はありそうだが、これが本当にメモリの帯域が拡大された結果なのか、このテストだけで判断することは難しい。
また、ここでは敢えてKT133AにFSB 100MHzのAthlon 850MHzを組み合わせて、KT133とKT133Aの違いについてもチェックしてみた。しかし、その差はわずかで、どうやらチップセットレベルでの違いはほとんどないものと思われる(差は測定誤差、あるいはBIOSによるちょっとした設定の違いによるものだろう)。一般にKT133Aは、KT133をFSB 133MHz対応させたものとされているが、それが裏付けられた格好だ。
3DMark 2001では、調子が良かったGA-7DXCだが、残念ながらSYSmark 2001ではテストを終了することができなかった。全部で5回実行したが、毎回Premiereのテスト中にフリーズしてしまうため、テスト全体の結果(Rating)を得ることができなかった。ここでは、Office Productivityのみを選択して実行した時の結果だけ記している。BIOSのアップデートに期待したいところだが、GA-7DXCは本来対応するハズだったFSB 133MHzをサポートできない、一種の限定品。BIOS以外に問題がある可能性がなくもない。テスト用として別のマザーボードに買い替えた方が良いのかもしれないが、North BridgeとSouth Bridgeでチップセットメーカーが異なると、個別にアップデートされるチップセットドライバのインストールが面倒だし、間違いも起こりやすい。それがいまだに買い替えていない理由だったりする(そう思って選んだKT266ベースのマザーボードでGeForce 3が動作しなかったのだから世話はないが)。
さて、SYSmark 2001の結果からわかるのは、ここでもKT133とKT133Aの間に大きな差がないことと、Pentium 4の性能が良いことの2点。やはり、KT133とKT133Aは、FSBのサポートを除けば、大きな差はないものと思われる。Pentium 4の性能については、それを支えているのはInternet Content Creation部門での性能の良さである。実際、Office Productivity部門では、Athlon 1.2GHzに遅れをとっている。
Internet Content Creation部門の性能が良いのは、この部門のテストに用いられているストリーミング系のアプリケーションに、メモリバスやFSBの帯域が現われやすいということに加え、用いられているアプリケーションそのものがSSE/SSE2に最適化されていることが大きい。これは、ある意味Intelのソフトウェアサポート力の現われであり、今後もIntel製プロセッサ(Pentium 4)に対するアプリケーションの最適化は進むだろう。これに対するAMDの回答がIntel互換路線の選択(3DNow! ProfessionalでのSSE互換命令の搭載)であり、HammerシリーズでもSSE2互換命令を搭載することが明らかになっている。自前でのソフトウェアサポート力が限られるだけに、常にIntelの後追いを余儀なくされるわけだが、ISVによるサポートにも時間が必要なことを考えると、実用上の問題は少ないということなのだろう。
話を元に戻すと、今回のテストでAthlonプラットフォームでもGeForce 3が動作することは確かめられた。ただ、GA-7ZXの例、あるいはK7T266 Proの例からもわかるように、完全に「枯れた」プラットフォームにはなっていない。最新の拡張カードを追い求めるユーザーは、慎重にマザーボードを選ぶ必要がありそうだ。
●K7T266 ProのビデオカードをRADEONに変えて追試
ほかのシーンでは大きな問題がないものの、このLobbyと呼ばれるシーンでは、このような描画エラーが散見される。ただ、フレームレートへの影響はあまりないようだ |
組み合わせた周辺機器類は、ビデオカードを除けば、GeForce 3のテストとすべて同じにしてある。ディスプレイドライバには、テスト時点において最新のβ版ドライバを用いたが、このバージョンは若干問題があるようだ。画面3で示したように、Lobbyと呼ばれるシーン(Game 3)で、描画エラーが見られる。ただ、フレームレートへの影響はほとんど感じられず、画面3でも95fpsが記録されている。
【表2:RADEON 64MB VIVOによるテスト】
マザーボード | MicroStar K7T266 Pro | AOpen AK73Pro (A) | Intel D850GB |
---|---|---|---|
BIOS (Version) | AMI (Ver 1.2) | AWARD (R1.10) | P13 |
チップセット | VIA KT266 | VIA KT133A | i850 |
チップセットドライバ | 4in1 4.31V | 4in1 4.31V | 2.90.007 |
ソケット | Socket A | Socket A | Socket 423 |
CPU | Athlon 1.2GHz (FSB 133) | Athlon 1.2GHz (FSB 133) | Pentium 4 1.7GHz |
メモリ | 256MB PC2100 CL2 | 256MB PC133 CL2 | 256MB PC800 |
ビデオカード | RADEON 64MB VIVO | RADEON 64MB VIVO | RADEON 64MB VIVO |
ビデオドライバ | Ver 4.13.7103 | Ver 4.13.7103 | Ver 4.13.7103 |
3DMark 2001 | |||
描画品質(著しい描画エラーの有無) | △ *5 | △ *5 | △ *5 |
スコア | 3,026 | 2,981 | 3,097 |
SYSmark 2001 | |||
Rating | 131 | 130 | 151 |
Internet Content Creation | 128 | 124 | 160 |
Office Productivity | 134 | 137 | 140 |
さて、このテストでわかったことは2つ。1つはPC133とDDRで、性能差がほとんど見られなかった、ということ。もう1つはAthlon 1.2GHzとPentium 4 1.7GHzの間にも、大きな性能差はない、ということだ。
まずPC133とDDR間の性能差だが、GeForce 3のテストでは、同じAthlon 850MHzを用いたPC133システム(AK73Pro (A)およびGA-7ZX)とDDRシステム(PC1600メモリを用いたGA-7DXC)の間に約6~8%の差が見られたのに対し、RADEON 64MBのテストではそうした性能差が見られない。それどころか、わずかではあるものの、PC2100メモリを用いたK7T266Proは、PC133メモリを用いたAK73Pro (A)に逆転を許している。このくらいの差は、測定誤差ということも考えられなくはないが、DDRに性能上でのメリットが見られないことも事実だ。GA-7DXCのメモリがPC1600メモリでピーク帯域が1.6GB/sec、K7T266 Proがピーク帯域2.1GB/secのPC2100であり、PC133メモリ(ピーク帯域1.06GB/sec)との帯域差が広がっていることを考えれば、メモリの帯域に、言われるほどの影響力があるのか疑わしくさえなってくる。
SYSmark 2001でも、両者の差は極めて小さい。メモリ帯域が現われやすいInternet Content CreationのテストではDDRメモリを用いたK7T266 Proの性能が上回るものの、Office Productivityテスト(比較的メモリのレイテンシの影響が現われやすい傾向にあるようだ)では結果が逆になる。トータルすると、どちらも大差ない、という結果になってしまった。
●広帯域のメモリはどこまで必要か
こうした結果を見ていると、GeForce 3のテストにおいてDDRメモリを採用したGA-7DXCの性能が良かったことも、果たしてメモリの帯域の差(PC133とPC1600の差)によるものなのか、チップセット自体の性能差(AMD-761とKT266)によるものなのか、わからなくなってくる。AMDには、PC133をサポートしたチップセットが存在しないため、比較のしようがないからだ(もちろん、メモリが何であろうと、今回テストしたチップセットのうち、おそらく現時点で最も高性能なものがAMD-761であることは間違いないし、そのAMD-761がDDRメモリのみをサポートする以上、DDRメモリに存在価値はあるとは思うが、その関係は現在のPentium 4とRDRAMの関係と同じ、ということになる)。少なくとも、同じVIAのチップセットで比べる限り、PC133とDDRの間に大きな性能差はないと言わざるを得ない。
ただし、こうしたことはAthlonやVIAのチップセットに限ったことではない。すでにPentium IIIプラットフォームにおいて、PC133メモリ(i815)が、帯域が広いPC800 RDRAM(Intel820)を打ち負かしている。ここにきて、ようやくRDRAMが市場で動き始めているが、それはPentium 4の価格が大幅に引き下げられたこと、供給量の増加に伴いRDRAM自体の価格が徐々に下がっているからであって、RDRAMの広帯域の恩恵が認められたからではない。今は、PC133をサポートしたPentium 4対応チップセットであるi845が登場するまで、勝負が保留されている状態だ。i845の性能いかんによっては、再びRDRAMが打ち負かされる可能性だって考えられる。
おそらくCPUから見れば、広帯域なメモリが必要だということに間違いはないのだろう。だが、アプリケーション(つまりはユーザー)から見る限り、メモリが広帯域である必然性は今のところあまり感じられない。もちろんこれは、現在使われているアプリケーションがメモリの帯域を有効に活用しない種類のアプリケーションである、ということの反映かもしれないが、それならそうで、そうしたアプリケーションが出てくるまで、あるいは広帯域メモリの価格が通常のSDRAMと同じ価格になるまで、ユーザーが移行を急ぐ必要はないことになる(そういう意味では、DDRの価格をSDRと同じにすると言い続けているMicronの主張は正しい)。
初めてのDDR対応チップセットであるAMD-760が発表されてから、すでに半年以上が経過した。サードパーティ製DDRチップセットも登場した。にもかかわらず、いわゆる大手PCベンダにDDRがほとんど採用されていないのは、チップセット等の安定性の問題もさることながら、性能差が必ずしも明確でないことも理由の1つだろう。DDRほどではないにせよ、Intel820の大手PCベンダによる採用率も低かった。メモリデバイスは、PCの性能を決める要素の1つではあるものの、現行のアプリケーションを前提にする限り、決定的な要件ではないということなのだろうか。それならメインメモリに求められるのは、帯域より価格、ということになる。
●拡張命令へのドライバの最適化
もう1つ、GeForce 3で10%以上あったAthlon 1.4GHzとPentium 4 1.7GHzの差が、このRADEON 64MBではほとんどなくなってしまったことについてだが、考えられる理由は1つ。NVIDIAのドライバはPentium 4に対する最適化が進んでいる、ということだ。GeForce 3のテストでPentium 4 1.7GHzの性能が良かった理由は、動作クロックが高いから当然だったのではなく、ドライバの最適化の占めるウエイトも大きかったのだと思われる。Internet Content Creationのテストでも明らかなように、高い性能の実現にはソフトウェアの最適化が欠かせない。その点において、自前でコンパイラやライブラリを用意し、開発ツールの提供を行なうIntelの優位性は明らかだ。
しかし、NVIDIA自身は、先日AMDとの戦略的な提携を表明したばかり。おそらく、IntelがプロセッサのバスライセンスをNVIDIAに提供しないこと、NVIDIAのチップセット(nForce)がHyperTransportを採用したことと無縁ではないハズだ。それを考えれば、今後AMD製プロセッサに対するNVIDIA製ドライバの最適化が進む可能性があり、Pentium 4の優位性がどこまで続くかはわからない。あるいは、Pentium 4に最適化されたNVIDIAのドライバは、SSE互換のAthlon 4で高い性能を示すため、特に最適化は必要ないのだろうか。注目されるところだ。
(2001年6月13日)
[Text by 元麻布春男]