|
●16インチ2台で大画面の代用を狙う?
FlexScan L461 |
前回のSDM-M81に続き、筆者の手元に2台目の液晶ディスプレイが届けられた。今回のディスプレイはナナオのFlexScan L461。16インチのTFT液晶パネルを採用したSXGA (1,280×1,024ドット)解像度対応の液晶ディスプレイだ。
L461の最大の魅力は、その価格にある。本稿執筆時点における、新宿西口のカメラ量販店での実売価格は89,800円。同店がメンバーズカードによるポイント制を実施しており、10%がポイントとして還元されることを考えると、実質8万円ぐらいで売られていることになる。前回筆者は、SDM-M81の魅力は認めながらも、やはりSXGA解像度に物足りなさがあること、かといって2台買って並べるにはちょっと手が出ない価格(1台約16万円)であると述べた。しかしL461なら、2インチほど小さくなるものの、同じ予算で2台買える。仕事で使うことを前提にすれば、このL461を2台買うのも「あり」かな、と考えたのである。
もちろん、価格を低く抑えるには、高価格モデルと同じ仕様を盛り込んではいられない。当然、押さえるべきところは押さえた上で、削らなければならない仕様も出てくる。たとえばL461の場合、スピーカーやUSBハブといった、最近のディスプレイが備えている機能を持っていない(必ずしも必要だとは思わないが)。また何より、本機の入力が1系統のみである、というところに、L461がバリューモデルであることがうかがえる(ただし、その1系統はアナログとデジタルの両方に対応したDVI-Iである)。
入力はDVI-Iによる1系統のみ | 電源は本体に内蔵される |
さてL461だが、SDM-M81と違って、梱包から取り出した時に、重さに驚くことはなかった。カタログによるとL461の重量は5.7Kg(スタンド含む。ディスプレイ部のみなら4.3Kg)と、SDM-M81と2Kgしか違わないのだが、印象的にはかなり違う。SMD-M81と違って、電源を内蔵している(ACアダプタ方式ではない)ことを考えれば、やはり軽いと言って良いのかもしれない。
実際に見るまで不安だったのは、16インチという画面サイズで1,280×1,024ドットは実用になるのだろうか(文字やアイコンの表示サイズが小さすぎはしないだろうか)、ということだ。が、実際に表示してみると、16インチでの1,280×1,024ドット表示は、筆者が常用する21インチでの1,600×1,200ドット表示と、ほぼ同じ大きさで文字やアイコンが表示されることが分かった(ちなみにテストは前回同様、DVIによるデジタル出力をサポートしたRADEON VE、All In Wonder RADEON、WinFast GeForce3 TDの3枚のグラフィックスカードと組合せて行った)。
画質の点でも、輝度やコントラストは十分で、特に不満を感じない。問題はSDM-M81に比べて、視野角が若干狭く感じられることだ。1台で使用するのであれば、特に問題はないと思うのだが、目の前に2台並べると端の方が見にくくなってしまう。今回、L461を2台ではなく、L461とSDM-M81を並べてみたのだが、SDM-M81が端の方まで問題なく見渡せたのに対し、L461は端の方が見えにくくなる。このあたりにも、L461がバリューモデルであることが現れているようだ。
ただ、2台を正面に一直線に並べてしまうと、目の前が表示部ではなくベゼル(2台のディスプレイの境目)になるため、あまり現実的ではないことも分かった。2台用いる場合は、2台を同レベルで扱うのではなく、1台をプライマリとしてユーザーの正面に設置し、2台目をサブとしてサイド寄りに角度をつけて配置した方が実用的なようだ。角度をつけて配置するのであれば、L461の視野角でも実用上は問題ないと思われる。実際に2台の液晶ディスプレイを試用した上で、1台のSDM-M81と2台のL461のどちらを選ぶか、といわれれば、筆者は2台のL461を選ぶだろうと思う。
●まだ問題があるデュアルディスプレイ環境
今回、筆者の仕事環境に実際に2台の液晶ディスプレイを設置し、使ってみて分かったもう1つのことは、ディスプレイだけ2台あってもダメだ、ということである。現状ではグラフィックスカードやOSサポートといった部分にも問題があり、必ずしも2台のディスプレイが使いやすいとは限らない。
筆者が一番注目していたのは、仕事マシンに使っているRADEON VEがデュアルディスプレイ環境で、本当に使いやすいか、ということであった。2つのディスプレイ出力(1つはDVI-I、もう1つはアナログRGB)を備えるRADEON VEには、HydraVisionと呼ばれる複数のディスプレイを管理するためのユーティリティ(提携したAppian製)が付属している。このユーティリティを使うことで、複数のドキュメントをそれぞれのディスプレイにフルスクリーン表示したり、ディスプレイごとに異なる解像度やリフレッシュレートに設定することが可能だ。たとえば、解像度の異なる2台のディスプレイで、1つのデスクトップを表示する、といったこともできる。
しかし、残念ながら現時点では、Windows NT 4.0やWindows 2000の場合、複数のディスプレイで1つのデスクトップを構成するにはすべてのディスプレイの解像度とリフレッシュレートを揃えなければならない。上述したように、2台のディスプレイを用いる場合、現実的なのは1台をメインにして、もう1台をサブにする使い方だ。この時、メインは16~18インチのSXGAディスプレイ、サブは安価な14インチのXGAディスプレイ、といった使い分けができれば良いのだが、こうした使い方は現時点ではサポートされていない(将来サポートする予定はあるようだ。ちなみにMatroxはデュアルヘッドモデルで、こうした使い方を独自にサポートしている)。ただ、この問題は、OSにも責任の一端があるらしく、MicrosoftはWinHECで、Windows XPの改良点の1つに、デュアルディスプレイサポートの強化を挙げていた。
RADEON VEで感じたもう1つの問題は、デュアルディスプレイ構成にした時の性能低下である。筆者の使い方だと、メインディスプレイで仕事をするかたわら、サブディスプレイにTVやDVD Videoを表示する、といった使い方が想定される。だが、サブディスプレイのDVD Videoは、メインディスプレイでマウスを動かすだけで画面が止まってしまう。多少のコマ落ち程度なら止むを得ないかとも思うが、これではパフォーマンスの低下が激しすぎて、実用性が低い。2台のディスプレイを用いるには、2つの出力をサポートした1枚のAGPグラフィックスカードより、AGPグラフィックスカードにPCIのグラフィックスカードを併用するべきなのだろうか。機会があればテストしてみたいテーマが増えてしまった。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□関連記事
【1月30日】ナナオ、実売10万円の16インチSXGA液晶ディスプレイ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010130/nanao2.htm
(2001年6月6日)
[Text by 元麻布春男]