NEW PRODUCTS TESTREPORT

	NEC
	MultiWriter 2800
	A4毎分28枚を可能にした両面印刷標準対応プリンタ
	TEXT：薮田織也　Oliya Yabuta

トナーカートリッジは両側のフックを掴んで着脱する。手順は単純で力も必要としないため、作業は非常に簡単だ

　NECのレーザープリンタ、MultiWriterに、毎分28枚のA4印刷が可能な2800シリーズが追加された。そのラインナップはスタンダードモデルの「MultiWriter 2800」と、これに100BASE-TX対応のLANアダプタボードを追加した2800Nだ。今回は前者を試用してのレポートをお送りする。

　幅広いラインナップで知られるMultiWriterだが、2800シリーズはビジネス向けモノクロレーザーとしてはスタンダードな位置付けで、昨年発売された2300のデザインを踏襲した、幅459mm、奥行き448mm、高さ319mmというコンパクトなA3対応プリンタだ。ただ、2800シリーズは2300の後継機というわけではなく、2300は引き続き販売される。

フロントの液晶パネルと操作ボタンは2300シリーズとほぼ同一。印刷の中断や方向指定などが行なえる

　両シリーズの違いは、2800シリーズが最大解像度600dpiでA4毎分28枚印刷が可能なのに対し、2300シリーズは最大1,200dpiでA4毎分20枚という点で、用途によって選択できるラインナップを増やした感じになっている。

　一般的な利用においては、印刷スピード以外に2300が見劣りするような機能追加や性能アップは見当たらない。CPUは2300シリーズがRV4640 150MHz、2800シリーズはRV4640 133MHz、ウォームアップ時間も2300シリーズは節電モードから8秒以下で起動するのに対して、2800シリーズは35秒以下といささか遅く、消費電力も2800シリーズのほうが大きくなっている。性能的に見ると2800シリーズは2300シリーズの下位機種のようにも思えるが、価格は2800シリーズのほうが40,000円高い。

インターフェースとしてパラレルポートを二つ備えている

　では、印刷スピード以外で何が2800シリーズのウリなのかと言うと、ランニングコストが低く抑えられている点だ。標準添付のトナーカートリッジを使用した際は、2300、2800それぞれA4紙1枚あたり約5円と同じだが、オプションの大容量EPカートリッジを使用した場合、2300は約4円、2800は約3円となる。つまり、1円ほど安くなったわけだが、ビジネスでの通常の利用では、半年もしないうちに本体価格の差はペイできるといったところだ。

　次に、2800の特徴としてWindows 2000やMeから搭載されたIPP（Internet Printing Protocol）に、標準で対応している点も挙げられる。IPPは、インターネットを経由して遠隔地にあるプリンタに直接印刷するプロトコルだ。

ゼロックスのDocuWorks（NECバンドル版）が添付。異なるアプリケーションで作成したドキュメントを、ひとまとめにして管理、印刷できる

　実際に使ってみると、毎分28枚というスピードは快感だ。用紙トレイからトナーカートリッジまでの用紙搬送部品の配置を最適化して用紙を送る時間を短くした効果で、2枚目以降の速さが抜群なのである。こうした印刷スピードの速さが、NECの提唱しているMOPYING（モピーイング）という概念をより実用的なものにする。これはオリジナルの印刷物をコピー機で複数部複写する従来のワークフローを、すべてプリンタで行ない、コストや手間暇を省略化するという概念だ。2800では、ジョブセパレート機能を使って両面印刷や仕分け印刷をすることで、コピーよりもきれいな書類を高速に印刷することが可能だ。

PrintAgentの印刷状態画面。音声と絵でプリンタの状態を知らせてくれる

　また、付属のPrintAgentを使えば、一度印刷したジョブファイルを保存しておき、後から部数を指定して何度でも印刷したり、別々に印刷したジョブを結合して一つの書類にまとめたりすることもできる。

　MultiWriter 2800シリーズは、TCO削減が叫ばれる現在のビジネスシーンにおいて、強力なツールになるレーザープリンタだ。