←ErgoColor C100 ↑今月のインデックスへ RW-02USB→

NEW PRODUCTS TESTREPORT

キヤノン
BJ F870PD
PCカードインターフェースを内蔵し、スタンドアロン出力に対応した
デジタルカメラコンパニオンプリンタ
TEXT:本間 文 Bun Honma


スタンドアロンで操作するため、液晶パネルも搭載されている
 キヤノンのBJ F870PDは、BJ F870をベースに、99年末に発売されたBJプリンタ専用外付けデジタルカメラインターフェースユニットのBJ A10の機能を内蔵した、スタンドアロン動作可能なカラーインクジェットプリンタである。もちろん、プリンタの基本性能は2,400×1,200dpiの高精細出力、6色独立インクカートリッジの採用など、BJ F870と変わりはないが、PCMCIA TypeIIスロットが付く代わりに、PCとのインターフェースはUSBのみとなり、パラレルポートは省かれている。今回はデジタルカメラと組み合わせたスタンドアロンでの使い勝手を中心にその使用感をお伝えすることにしよう。

 メモリカードスロットを持ったスタンドアロンプリンタとしては、98年に発売されたエプソン販売のPrintonが最初の製品であるが、その後デジタルカメラが急速に普及したことを受けて、コンパクトフラッシュメモリなどに記録された画像データをPCを介さずに手軽にプリントアウトしたいという要望は数多く寄せられていた。しかしながら、各社のフラグシップモデルをベースにメモリカードスロットを設け、さらにPC単体で画像処理ができるように画像処理エンジンを内蔵することは、画質向上とともに低価格化が進むインクジェットプリンタ市場を戦っていくには、価格が高くなり過ぎるという問題があった。そのため、Printonでは1世代前のエンジンを採用したり、99年末に発売されたキヤノンのBJ A10ではPCカードスロットと画像処理エンジンを外付けユニットとして、プリンタにパラレル接続したりと試行錯誤が繰り返されてきた。


本体前面下部にPCカードスロットを装備。これによりデジタルカメラで撮影したデータをダイレクトに印刷できる
 さらに、これらのプリンタにはそれ以上に難しいハードルが存在した。それは、300万画素オーバーのデジタルカメラの登場などにより、肥大化するデータをプリンタ内部で処理するには、ローエンドPCと同等のCPU性能とメモリ容量が必要とされるという問題である。むろん、処理時間をかければプリンタ性能を最大限に活かした出力ができるのは確かだ。事実、前述のBJ A10では、BJ F850に接続して200万画素クラスのデジタルカメラで撮影したデータを最高品質でプリントアウトした場合、画像処理とともにパラレルでのデータ転送に時間がかかり過ぎ、出力に15分以上かかることもめずらしくなかった。その反省からか、このBJ F870PDでは基本的にBJ A10の操作性を継承しながら、画像処理エンジンをプリンタに内蔵することでデータ転送にかかる時間を短縮させようとしたようだ。これにより、このBJ F870PDでは同社の一眼レフデジタルカメラEOS D30で撮影したデータを最高画質でA4用紙に四つの画像を同時に出力した場合でも5分前後と実用性の面では十分なスピードを実現している。ただ、2,400×1,200dpiのプリンタエンジンの性能を活かし切るには、画像処理エンジンの性能が不足しているようで、PCで処理する場合よりもラスタライズの解像度は低くなってしまい、ドットがまばらになり、階調の似かよった部分では肉眼でもメッシュが見えてしまう。


エンジンはBJ F870相当。6色インクによりフォトクオリティの印刷結果が得られる
 とはいえ、めんどうな設定抜きに同社のフチなし用紙にデジタルカメラの画像をプリントアウトできるという使い勝手のよさは見逃せない。しかも、データをファイリングする前にメモリカードの内容をインデックス出力しておき、画像整理に役立てるといった使い方もできる。その意味では、BJ F870の高精細写真出力を堪能するためにはPCからの出力が不可欠であることは事実だが、デジタルカメラの画像を手軽に楽しみたいというニーズには十分応えられる機能を持った製品と言うことができるだろう。


  • 製品名:BJ F870PD
  • 標準価格:69,800円
  • メーカー:キヤノン販売株式会社
  • 問い合わせ先:0570-01-9000
  • URL:http://www.canon-sales.co.jp/
  • 最大解像度:2,400×1,200dpi
  • 印刷方式:ノンインパクト・シリアルカラーバブルジェット
  • 用紙サイズ:A4~A5、レター、リーガル、ハガキ、封筒、バナー紙
  • 給紙枚数:普通紙100枚、ハガキ40枚、BJ専用バナー紙2~6枚
  • インターフェース:USB×1、PCMCIA TypeII×1
  • 本体サイズ(W×D×H):450×343×227mm
  • 重量:約7.0kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □キヤノンのホームページ
    http://www.canon-sales.co.jp/
    □製品情報
    http://www.canon-sales.co.jp/Product/BJ/f870pd.html
    □関連記事
    【2000年10月2日】キヤノン、BJシリーズプリンタに8機種を投入
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001002/canon.htm


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

    Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.