NEW PRODUCTS TESTREPORT

	EIZO
	ErgoColor C100
	オートカラーマッチングの可能なUSBカラーキャリブレータ
	TEXT：本間 文　Bun Honma

設定値を入力しておけば、キャリブレーションはすべて自動で行なわれる

　インターネットが日常的なものとして定着したことを受け、楽天市場などのショッピングサイトが急速に普及している。しかし、カタログショッピングなどではもっとも気が配られる写真の色の再現性も、インターネット上ではユーザーが使っているディスプレイごとに違った色が再現され、トラブルが生じることも少なくないようだ。とくに、これらのWebサイトを作るデザイナーやカメラマンなどのプロフェッショナルユーザーにとって、ディスプレイのカラーマッチングの重要性は日増しに高まっているとも言えるのだ。そこで、ディスプレイの色再現性を最適な値にチューニングする機器が、ここに紹介するカラーキャリブレータと呼ばれる製品だ。

　EIZOは、これまでもハイエンドユーザーやデザイナー向けの簡易カラーキャリブレータとして、93年からErgoColorシリーズを発売してきており、今回のモデルが4代目の製品となる。

キャリブレーションに必要な設定値を入力する設定画面。細かな設定が可能だが、ある程度の知識が要求される

　ErgoColor C100と名付けられた最新モデルは、色測定部にミノルタ製のセンサーチップを採用し、ディスプレイとのインターフェースは、RS-422準拠のシリアルポートをベースとしたEIZO独自のメンテナンスポートから、USBへと変更されている。このため、現状では対応製品がFlexScan F980/T962/T961/T761/T760の5機種のみとなっている。これらの製品は21型ならびに19型の歴代フラグシップモデルばかりであり、このことからも、本製品がプロフェッショナルユーザーをターゲットとした製品であることが分かるだろう。そのためか、従来製品にはカラーマッチングに関する基礎知識などを詳細に掲載してきたマニュアルが、ハードウェアのセッティングおよびソフトウェアのインストールのみを説明する簡素なものに変更されており、色管理などに対する一定レベル以上の知識が要求される。

キャリブレーション前（上）とキャリブレーション後（下）。輝度、コントラストが適切に調整され、潰れていた黒寄りの階調表現もきれいに再現されている

　実際の調整作業は、調整ソフトを起動した後は画面の指示に従って操作すればよいようにウィザード形式が採用されており、使い勝手の面は良好だ。しかも、作業前には必ず行なわなければならないセンサーの初期化も付属のセンサー収納ケースに入れたままでできるなど、長年カラーキャリブレータを作り続けてきたノウハウが活きている。その調整レベルもユーザーの利用環境に応じて細かく設定できるようになっており、ガンマ特性は1.0～3.0まで0.1きざみで、輝度は0.3～0.8、75～90cd/m2までの任意の値、そして色温度は4,000～10,000Kまで500Kごとの調整に加え、9,300Kなどよく使われる値も用意されている。

　これだけ豊富な調整項目を持っていれば、ディスプレイやビデオカードの違いはもちろんのこと、ディスプレイの経年変化などにも確実に対応できるはずだ。事実、その調整レベルの安定度は従来モデルとは一線を画すもので、5,500Kに設定しても画面全体が黄色がかることはなく、ホワイトレベルも忠実に再現できた。もちろん、調整後の設定はICCプロファイルとして保存することもでき、画面のプロパティなどで誤ってガンマ特性などを変更してしまっても、すぐにもとの状態に戻すことができる。

　対応OSはWindows 2000とWin dows 98SE、MacOS 9.0.4以降（PowerMac G4/G3）と、古めのOSはサポートされていない上、コンシューマOSを目指したWindows Meも対象外とされている。今回からパッケージもPC 5台分のライセンスが付属しており、追加ライセンスパック（5ライセンス）も用意されるなど、デザイン事務所などでの利用を想定しているようだ。このため、価格は89,800円とかなり高価な製品になってしまっているが、何よりも正確な色再現性を求める、こだわりのあるEIZOディスプレイユーザーには、ぜひ一度試してもらいたい製品だ。