NEW PRODUCTS TESTREPORT

	アドテック
	AD-AD15R
	コンパクトで自然な発色が魅力の15型アナログ液晶ディスプレイ
	TEXT：本間 文　Bun Honma

ディスプレイ本体は非常に薄いため、スペースを確保したい場合にも最適だ

　アドテックと言えば、サードパーティとしては一早くデジタル液晶ディスプレイをラインナップしたことで有名だが、アナログ液晶ディスプレイのラインナップも充実している。とくに14型、15型には低価格なモデルが数多く揃えられており、大手家電店やカメラ量販店でも常に売れ筋製品として取り扱われているので、読者の方々も目にする機会は多いだろう。そのアドテックの15型液晶ディスプレイの最新モデルがAD-AD15Rだ。

　この製品は、東芝製の15インチTFTパネルを採用したXGAモデル。アドテック自らがニュースリリースやカタログで液晶製造メーカーを明かしていることからも分かるように、本製品最大のウリは東芝製の液晶パネルを採用していることと言ってもよいだろう。東芝はノートPCに一早くTFT液晶を採用したメーカーの一つであり、画質面ではシャープとともに業界をリードしてきたメーカーでもある。しかし、これまで同社の液晶パネルはDynaBookシリーズなどの自社製ノートPCへの採用が優先され、ディスプレイ単体で発売されることは少なかった。むろん、液晶パネルのコストとしては台頭著しい台湾メーカー製パネルを採用した同クラスのモデルに比べると、スピーカーやUSBハブなどを装備しないスタンダードな作りながら、実売価格が75,000円前後とやや高めであることは否定できない。

明るさやコントラストは標準的だが、色の再現性はこの価格帯としては優れている部類に属すだろう

　そのスペックは、ピクセルピッチ0.297×0.297mm、最大輝度200cd/m2、コントラスト比250：1と、競合他社の15型液晶と大差のないものだ。しかし、本製品に採用されたパネルでは、液晶の発色特性を決定付けるカラーフィルタの純色度が高められている。これにより、ディザリングによる1,619万色表示にもかかわらず、より自然な色再現性を実現しており、画質面では低価格液晶パネルとは一線を画すクオリティを誇る。

　AD-AD15Rのもう一つの魅力は、何と言ってもそのコンパクトさだろう。丸みを帯びた個性的なデザインもさることながら、液晶パネルを固定する枠の面積が小さく、本体サイズも幅370mm、奥行き177mm、高さ369mm、重さ約4.0kgと実にコンパクトにまとめ上げられている。これは、スピーカーのあるなしという違いはあるものの、同社のマルチメディア対応14.1型モデルのAD-AA14R（388×175×381mm/6.1kg）よりも小さいサイズだ。ただし、本体サイズの小型化のために電源ユニットまでは内蔵することができず、小型の外付けACアダプタでの対応となっている。

2本の柱は本機のスタイリッシュなデザインを作り出しているとともに、座りをよくするという役目も持っている

　なかには四角い外付けACアダプタが床に転がることになることを気にする方もいるだろうが、本製品のように小型で台座部も小さな液晶の場合、細い電源ケーブルが利用できることで取り回しの自由度が上がるメリットのほうが大きいだろう。しかも、一般に液晶ディスプレイでは、台座部に電源ユニットやRGB端子などを備えることである程度の重さを持たせたほうが、液晶パネルの角度を調整する際などにぐらつきがなくなり、使いやすい場合が多いが、このAD-AD15Rでは2本の支柱で液晶パネルを固定することで、外付けACアダプタを採用した軽量モデルにありがちな、液晶パネルの角度変更時などのぐらつきを抑えている点も見逃せない。

OSDのメニューは項目分けされているほか、日本語化表示されるため非常に分かりやすい

　OSDメニュー表示も、これまでのアドテック製品とは異なるもので、シンプルながら日本語で分かりやすいものになっている。しかも、オートアジャスト機能も付いているため、色温度などの細かな設定以外は、ほとんどディスプレイまかせでOKだ。実はこの製品、9月末には発表されていたのだが、パネルの生産が比較的タイトなためか、昨年末まではほとんど流通しておらず、最近になってようやく店頭に並び始めたばかりである。しかし、ショップによってはすでに在庫僅少という札が貼られているところもあるだけに、低価格さよりも画質を優先したいというユーザーならば、早めにチェックしておきたい製品だ。