顕微鏡に続けるか?「Computer Sound Morpher」



 2001 International CESはXboxのデビューなどさまざまな話題が飛び出したイベントだった。前日に行なわれたIntel社長兼CEOのクレイグ・バレット氏の基調講演は、Intelがコンシューマ向けPC周辺機器事業に本腰を入れるという発表でもあり大きな注目を集めた。その1例が既に米国で販売が開始されており、Intelブースにも展示されていた玩具が今回紹介する「Computer Sound Morpher」だ。Computer Sound Morpherは、音声を録音しユニークな音声に変換して楽しむことができる。今回はこのComputer Sound Morpherを入手したので、その楽しさなどについてレポートしよう。



●本体だけでも4分間の音声を録音可能

 本製品のハードウェアは非常に単純にできている。ボディはQX3顕微鏡と同じように、青を基調としたトランスルーセントカラーになっている。電源は単3電池3本で、背面に収納される。本体の上部に集音フード付きマイク、中央にはボリュームを変更するためのジョグダイヤル、液晶パネル、そして4つのボタンを備えている。マイクには2カ所の可動部分が用意されており、角度を変えることができるようになっている。端子は2つ用意されており、1つは付属のヘッドフォンを接続し、もう1つはマイクアウトの端子で、PCのマイク端子に接続して利用する。つまり、デジタル端子は用意されておらず、PCへの転送はアナログのケーブルを利用して行なう。

 また、本製品は単体でも4分間録音できるボイスレコーダとして利用できる。録音は簡単で、本体にあるオレンジ色のマイクボタンを押すだけだ。すると、押し続けている間だだけ音声が録音され、内蔵のフラッシュメモリに記録される。録音した音声を消したい場合はゴミ箱のアイコンを押し続ければ、録音されたファイルが新しい方から削除されていく。フラッシュメモリに記録できるという意味ではICレコーダなわけだが、PCへの出力がアナログのみであり、新しいファイルからしか消せないなど、やはり玩具な仕様となっている。

PCとは付属のマイク端子用ケーブルを利用して接続する。ヘッドホンも付属し、本体に記録した音声を聴くことができる マイクは折り曲げても利用できる


●PCのマイク端子に接続して付属ソフトで転送する

 “Computer Sound Morpher”という名の通り、本製品はPCで音声を録音し、それを付属ソフトで加工して楽しむためのものだ。付属ソフトは英語版で動作保証はWindows 95/98となっているが、筆者の試した限り日本語Windows 2000 Professionalでも問題なく動作した(編集部注:Windows 2000での動作を保証するものではありません)。

 付属ソフトへの音声の入力方法は、4つの方法がある。

(1)Computer Sound Morpherに録音済みの音声をPCに転送する
(2)既に転送済みの音声や、Wave形式のファイルを呼び出す
(3)Computer Sound Morpherをマイクとして利用し、PCで直接録音する
(4)文字で文章を入力し、付属ソフトに読み上げさせる

 作成した音声は、付属ソフトを利用してモーフィングすることが可能になっている。そのプロセスは簡単で、ファイルを選択し、エフェクト(効果)を選ぶだけでよい。何度もエフェクトをかけているとおかしな音声になったりもするが、その場合は1つ前にアンドゥするボタンも用意されている。音声のうち必要のない部分をカットしたり、足したりすることも可能だ。エフェクトは数多くの種類が用意されており、玩具という本製品の性格を考えて、「Monster(怪獣)」、「ロボット(Robot)」などの子供向けのエフェクトが用意されている。

本体をPCのマイク端子に接続して音声を転送しているところ。転送は本体のPC転送ボタンを押すことで開始される PCに転送した音声ファイルは呼び出して、さまざまなエフェクトをかけることが可能。怪獣やロボットなど子供向きのエフェクトのほか、空港のアナウンス、お風呂の声なども可能で、複数を同時にかけることも可能 画像を呼び出して、それにアニメーションを張り付けて楽しむこともできる。画面では動いていないが、実際には目を瞬きするアニメーション画像

 また、音声再生時には、音声と一緒にスクリーン上に表示されているアニメーションも動いていく。このアニメーションもプリセットのほか、自分で呼び出した画像を加工して楽しむことができる。人の顔のアイコンを押すと、JPEG形式の画像を呼び出すことが可能になる。ここで人の顔の画像を呼び出したり、飼っているペットの画像を読み込んで、そこにアニメーションの眉毛や目などを置いていったりして楽しむことができる。

作成した音声と画像は、実行ファイル形式でメールに張り付けて送信することが可能 送られた実行ファイルは受信先で実行すると、作成した音声と画像が再生される。ただ、ファイルサイズは割と大きい。この再生ファイルは6KBのJPEGファイルと22秒の音声ファイルで作られているが、ファイルサイズは978KB。高速回線が普及している米国ではあまり問題にならないが、ダイヤルアップがまだまだ主流の日本では厳しいところ さらに入力した文章を読み上げさせて音声を作成することも可能。読み上げる音声の種類はロボット、男の人の声などが選択できる

 さて、完成した面白い音声やアニメーションは人に聴かせたり見せたりしたくなるだろう。本ソフトではそうした用途を意識しているようで、作成した音声入りアニメーションを添付してメールで送ることができる。しかも、本ソフト自体がメールクライアントになっており、希望すればユーザー登録時に送信専用のメールアドレス(正確には自分のメールアドレスの代理送信をしてくれる)が与えられ、作成した音声やアニメーションを送信できる。作成した音声やアニメーションはメールに添付して送信する際には、自動的に実行ファイル形式にされ、受信した側はそのファイルを実行するだけで音声とアニメーションを楽しむことができる。


●49ドルでこれだけ楽しめれば割とお買い得なグッズ

 最後に本製品の価格についてだが、米国のストリートプライスで49ドル(日本円で約6,000円程度)という価格になっており、米国のPCショップで買えるほか、IntelのオンラインショップであるShop Intelで購入することもできる。

 ソフトウェアが英語版のみであるため、すぐに日本で販売される可能性は低いと言える(Intelの日本法人によれば、現時点では本製品を日本向けに出荷する予定はないという)。そのため、米国で想定されているように親が子供に与えてPCに慣れさせるのに利用するといった用途に利用するのはやや難しいだろう。英語さえクリアできれば、友達におもしろい音声ファイルを作って送ったり、写真を加工して送ったりと、大人でも十分楽しめるようになっており、単にデジタルな玩具と割り切って購入するのであれば十分楽しめる。米国へ出張する機会などがある人で、PCショップなどで見かけたらちょっと試してみるとよいだろう。

□製品情報(英文)
http://www.intelplay.com/products/csm/index.htm

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(2001年1月19日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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