AMDからDuron 850MHz登場 ~ベンチマーク速報~



 昨年末のこの連載ではまだ発表前だったIntel Celeron 800MHzのパフォーマンスをお伝えした。そのCeleron 800MHzは1月3日(米国時間)に発表されたのだが、その数日後の1月8日(米国時間)にはAMDがクロックでCeleronを上回るDuron 850MHzを発表し、バリューPCの分野においても実クロックでIntelを上回る状況をキープすることに成功した。今回、このDuron 850MHzを入手することに成功したので、そのレポートをお届けしよう。


●ベンチマークの結果ではバリューPC用CPUとしては最速

 今回のDuron 850MHzは、既に販売が開始されているDuron 800MHzとクロックが異なるだけで、ほかのスペックに関しては何も変わっていない。キャッシュは128KBのL1キャッシュ(命令64KB+データ64KB)と64KBのL2キャッシュがオンダイで搭載されており、システムバス(いわゆるFSB)のクロックも従来と同じように200MHz(100MHzのDDR)である。そうした意味では変更点はクロックだけと言ってよい。

 果たして、処理能力の方はどうなのかと、複数のベンチマークを実行してみた。今回もCeleron 800MHzを試験した時と同じように、ベンチマークとしてBAPCOのSYSmark2000、MadOnion.comの3DMark2000 Version1.1、Video2000の3つのテストを行なった。

 SYSmark2000は実在のアプリケーションのコードを利用してシステム全体のパフォーマンスを計測するベンチマークで、実アプリケーション環境におけるユーザーの体感に比較的近い結果がでると定評がある。結果は、全体の結果を意味するOverall Rating、インターネット向けのコンテンツを作るアプリケーションの総合であるInternet Content Creation、オフィスアプリケーションを利用するときの総合であるOffice Productivityの3つがある。このほか、アプリケーションごとに1つ1つ結果を出してくれる。

 3DMark2000 Version1.1は3Dゲームにおけるパフォーマンスを計測し、Video2000は動画再生や作成などにおける性能を計測する。3DMark2000は解像度ごとに計測し、640x480ドットから1,280x1,024ドットまで16bitカラー(65,536色)、32bitカラー(1,677万色)の2つのモードで計測している。Video2000はクオリティなどを計測する項目もあるがテスターが手動で判断するのでそれは利用せず、動画再生・作成のパフォーマンスを計測するPerformanceとMPEG-2の作成性能を計測するMPEG-2 Encoding Performanceの2つを採用した(数字はいずれも大きいほうがパフォーマンスが高いことを示している)。なお、動作環境は以下の通りだ。

【動作環境】
マザーボード:
 Intel D815EEA(Celeron、Intel 815E)
 ASUSTeK COMPUTER A7PRO(Duron、Apollo KT133)
メモリ:
 PC100 SDRAM(Celeron、100MHz、CL=2)
 PC133 SDRAM(Duron、133MHz、CL=3)
ビデオカード:
 GeForce2 GTS 64MB DDR SDRAM
ハードディスク:
 IBM DTLA-30730(30GB、Ultra ATA/100)

 結論から言えば、SYSmark2000のExcel2000とPhotoshop、Video2000のMPEG2 Encording Performance以外のすべての項目においてDuron 850MHzはDuron 800MHzはもちろんのこと、Celeron 800MHzも上回った。

【SYSmark2000】
Overall Rating 147
150
155
Internet Content Creation 149
153
159
Office Productivity 145
148
152
Bryce 4 137
179
187
CorelDraw9 161
178
184
Elastic Reality 3.1 179
185
195
Excel 2000 151
142
145
NaturallySpeaking Pref 4.0 132
127
132
Netscape Communicator 147
148
151
Paradox 9.0 141
151
155
Photoshop 5.5 133
105
110
PowerPoint 2000 150
157
158
Premiere 5.1 152
160
167
Word 2000 133
142
144
Windows Media Encoder 4.0 148
149
154

Celeron 800MHz Duron 800MHz Duron 850MHz

【3DMark2000】
640x480/16 5,089
6,695
6,828
640x480/32 5,000
6,430
6,522
800x600/16 5,043
6,513
6,631
800x600/32 4,838
5,921
5,979
1,024x768/16 4,848
6,072
6,166
1,024x768/32 4,357
4,780
4,808
1,280x1,024/16 4,472
4,999
4,958
1,280x1,024/32 3,202
3,263
3,271
Celeron 800MHz Duron 800MHz Duron 850MHz

Performance 492
497
516
MPEG2 Encording
Performance(fps)
24.12
20.95
21.70
Celeron 800MHz Duron 800MHz Duron 850MHz


●実クロック、性能ともDuronが大きくリード

 以上のような結果からバリューPC向けCPUとして見た場合、Duron 850MHzが現時点で最速であることは疑いの余地はないと言える。

 価格の方だが、既にバルク版のDuron 850MHzは秋葉原で流通しており、先週末のAKIBA PC Hotline!「Duron 850MHzバルクとCeleron 800MHzリテールが同時デビュー」によれば、11,980~15,500円となっている。これに対して先週から出回りはじめたCeleron 800MHzのリテールボックスは20,799~22,800円となっている。Duronの方はCPUクーラーレスのバルクで、Celeronの方はCPUクーラー付きのリテールパッケージであるため、CPUクーラー分(高いもので3,000円程度)を考慮しないといけないが、それでもDuron 850MHzの方が安く、クロックも上で、処理能力も高いといえる。既にPGA370用マザーボードを持っているユーザーはともかくとして、これからマザーボードも含めてCPUを購入しようと考えているのであればDuronの方がお薦めと言える。

 ただし、Duron 850MHzはその上位モデルと言えるAthlon 850MHzとの価格差がほとんどない。先週末のAKIBA PC Hotline!の調査によれば、両者の平均価格の差は千円程度でしかない。この程度であればAthlon 850MHzの方がお買い得である。ただ、Duron 850MHzは現時点では先週末に登場したばかりの新製品であり、今の価格は「初物価格」である可能性が高い。そのため、すぐに値段が現在のDuron 800MHz並の、1万円強まで下がる可能性もあり、そうなればかなりお買い得なCPUだといっていいだろう。

□Akiba PC Hotline!関連記事
【1月13日】Duron 850MHzバルクとCeleron 800MHzリテールが同時デビュー
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20010113/etc_duron850.html

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(2001年1月15日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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