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NEW PRODUCTS TESTREPORT

日立製作所
FLORA 220TX PC7NP4-REC47B110
柔軟な構成が魅力のCrusoe採用B5ノート
TEXT:水島伸行 Nobuyuki Mizushima


キーボードは一般的なB5ノートの中でも扱いやすいもの。タッチパッド左上にはスクロールボタンが位置する
 日立製作所のFLORA 220TXシリーズは、この秋のサブノートPC市場を賑わせているTransmetaの省電力CPU、Crusoeを搭載したビジネス向けサブノートPCだ。各社のCrusoe搭載機が横長の変形タイプであったり、反射液晶パネルを採用していたりと、個性的な仕様であるため、やや使用者を選ぶ傾向があったのに対し、この220TXシリーズはDVD-ROMやCD-ROMドライブなどをB5サイズのボディに搭載可能な、2スピンドル型サブノートのスタイルを取っている。このように書くとおもしろ味がないように思う読者もいるかも知れないが、クセのない汎用的な筐体で長時間のバッテリ駆動を実現してほしいという声は、既存のモバイルユーザーを中心に従来から多く聞かれていたもので、ようやく長年の要望がかなえられたという感が強い。

 今回試用したモデルは、CPUにCrusoe TM5400 533MHz、メインメモリ128MB、10GBのHDDを搭載し、Windows Meがプリインストールされた「PC7NP4-REC47B110」だ。バッテリは標準サイズのSバッテリで最大約1.7時間となっており、12.1型液晶やCD-ROMドライブを内蔵したノートPCとしては優秀な部類に入る。これは同社のモバイルPentium III 500MHz、10.1型液晶、CD-ROMドライブ搭載のB5サブノート「FLORA 220FX PC7NP3-PAC27B120」のバッテリ駆動時間が最大約1時間であることからも分かるだろう。さらに、本機にはオプションで約4.3時間の駆動が可能となる「Lバッテリ」と、約7時間の駆動が可能となる「LLバッテリ」、これらとは別にCD-ROMドライブなどを取り付けるドライブベイに装着する「ベイ内蔵バッテリ」が用意され、LLバッテリとベイ内蔵バッテリを組み合わせた際には10時間近くというバッテリ駆動時間が実現する。


本体左側面にパラレルポートやアナログRGB端子、右側面にモデム、LAN端子などを備える。試作機のためヒンジ部のバッテリは標準のSタイプではなく中型のLタイプ
 多彩なインターフェースを備える点も特徴の一つで、TypeIIのPCカードスロットやUSB、パラレル・FDD共用端子などのほか、外部ディスプレイ、ヘッドホン、マイクなどが用意され、ストレージやプリンタなど、さまざまな周辺機器が利用できる。また、モデム・10BASE-T/100BASE-TX対応LAN共用端子、携帯電話・PHS(H"対応)端子なども用意されているので、出先での通信手段に困ることもないだろう。

 使用感はIntel製CPUを搭載したサブノートと比較しても大きな違いはなく、ビジネスソフトやWebブラウザを使用する際の処理能力に不満を覚える場面はなかった。ただ、CrusoeはSSEに対応していないため、これを多用するMPEGエンコードや3Dアプリケーションなどの使用にはあまり向いていないと言える。キーボードに関しては、キーピッチ約18mm、キーストローク約2mmを実現しており、タッチタイプも問題なく行なうことができた。ディスプレイもB5ノートとしては大型の12.1型のため、XGA表示でも目が疲れにくく、長時間の連続使用にも十分耐えられる。また、Crusoeは発熱が少なく、膝の上などに載せて作業をしても気になることはない上に、ファンレス設計であるために動作音は時折聞こえるHDDのアクセス音だけと、極めて静粛だ。


B5サイズながらフロントベイにCD-ROMドライブを内蔵する。このほかDVD-ROMやバッテリパックなども装着可能だ
 また、日立のオンラインショップ「HITACHI Internet Shop」では220TXシリーズのカスタマイズが可能で、CPUをTM5600 600MHzに変更したり、CD-R/RWドライブやDVD-ROMドライブを選択したりできるほか、バッテリ容量や各種インターフェースの有無まで指定可能なため、予算や目的に応じて構成を変えてみるのもよいだろう。

 CD-ROM内蔵型のサブノートとして見た場合、本機はバッテリ駆動時間、液晶サイズ、使い勝手と、どれを取っても目立った欠点はなく、総合的な完成度は高い。ビジネス向けゆえにデザイン的なハデさこそないものの、実用性を最優先したいモバイルユーザーに最適な製品だ。


  • 製品名:FLORA 220TX PC7NP4-REC47B110
  • 希望小売価格:198,000円
  • メーカー:株式会社日立製作所
  • 問い合わせ先:0120-2580-91
  • URL:http://www.hitachi.co.jp/
  • CPU:Crusoe TM5400 533MHz
  • チップセット:Transmeta Crusoe TM5400+Intel FW82371MB
  • メモリ(最大):128MB PC100対応SDRAM(192MB)
  • HDD:10.0GB
  • CD-ROMドライブ:最大24倍速
  • ビデオチップ:Trident Cyber9525DVD
  • ビデオメモリ:2.5MB SDRAM
  • ディスプレイ:12.1型カラーTFT液晶
  • 最大解像度:1,024×768ドット/65,536色
  • サウンドチップ:Intel FW82371MB内蔵
  • モデム:56kbps(V.90、K56flex対応)
  • キーボード:87キー
  • 拡張スロット(空き):PCMCIA TypeII(CardBus対応)×1
  • インターフェース:パラレル/FDD(専用ケーブル用端子)×1、キーボード/マウス(PS/2)×1、USB×2、マイク×1、ヘッドホン×1、ディスプレイ(Dsub 15ピン)×1、携帯電話/PHS接続端子×1、モデム・10BASE-T/100BASE-TX共用端子×1
  • 電源:リチウムイオンバッテリおよびAC電源
  • バッテリ駆動時間:約1.7時間
  • 本体サイズ(W×D×H):270×222×25mm
  • 重量:約1.7kg
  • OS:Windows Me
  • 付属ソフト:Mcafee Viruscanなど

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □日立製作所のホームページ
    http://www.hitachi.co.jp/
    □製品情報
    http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/OSD/pc/flora200/flora200.htm#220tx
    □関連記事
    【10月25日】日立、「Crusoe」搭載の企業向けB5サブノート
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001025/hitachi.htm


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

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