NEW PRODUCTS TESTREPORT

	富士通
	FMV-DESKPOWER C5/86WL
	17型ワイドTFT液晶を採用した多機能コンパクトPC
	TEXT：清水理史　Masashi Shimizu

本体背面部にはシリアル、パラレル端子など、前面部にはPCカードスロットやIEEE1394などが装備されている

　C5/86WL最大の特徴は、17型のワイドデジタルTFT液晶ディスプレイが付属する点にある。1,280×768ドットという横長の解像度に対応しているため、デスクトップを広く使えることはもちろん、標準搭載されているDVD-ROM・CD-R/RWコンボドライブでDVD-Videoを楽しむ際、縦横比16：9の映画などをそのままの比率で画面一杯に再生できることもメリットと言える。

　しかも、このディスプレイには静止画と動画を自動認識し、ガンマ、色合い、色の濃さを変更する機能が備えられており、表示中の画面に最適な画質に自動調整することが可能だ。従来のPC用ディスプレイでのDVD-Video再生は、テレビでの再生と比べると、どうしても暗めになってしまう傾向にあるが、本機では自動調整機能のおかげでそういった印象は受けなかった。また、台座部にはステレオスピーカー、背面部には二つのUSBポートも装備されており、さまざまな用途に対応できる。さらに、USB、スピーカー、映像信号、電源に必要な配線は、1本にまとめられて本体背面の専用端子へと接続されるため、ケーブルの取り回しが煩雑にならない点もありがたい。

1,280×768ドット表示の可能なワイド液晶により快適な作業環境を確保している

　このほかにも注目したい機能は多い。IEEE1394インターフェースを標準で装備し、DV映像などの編集が可能となっていたり、MDなどのオーディオ機器をデジタル接続するためのS/P DIF光出力端子も標準で装備されていたりする。さらに、TypeIIのPCカードスロット、10BASE-T/100BASE-TX対応LANカードも内蔵と、現在の家庭用PCに必要と思われる機能はほとんど標準搭載されていると言ってもよい。

ディスプレイにはUSBハブが内蔵されており、二つのコネクタが用意されている

　内部にHDDなどを増設するスペースは一切なく、PCIスロットの空きも1本のみのため、拡張性が高いとは言えない。しかし、前述したように標準で搭載している機能が豊富なため、内部拡張を必要とするケース自体が少ないだろう。

　PCとしての基本性能もCPUにPentium III 866MHz、チップセットにi810E、メモリ128MB、HDD 60GBとなっており、メールやWebブラウジングを中心とした利用や、ワープロ、表計算ソフトなどを中心とした利用であれば、まず不満に思うことはない。1台のPCであれこれとこなしたいと考えているユーザーにお勧めできる製品だ。