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NEW PRODUCTS TESTREPORT


NEC
LaVie MX LX60T/51EC

バッテリ駆動時間を極限まで追求した
Crusoe搭載サブノート

TEXT:橋本 新義 Shingi Hashimoto



キーボードスペースは筐体の端まで取られ、タッチタイプにも十分対応できるキーピッチが実現されている
 NECと聞くと、手堅い製品を投入するメーカーという印象が強い。しかしながらその一方で、1年に数回はアグレッシブなコンセプトの製品を必ず投入している先進的なメーカーでもある。

 このように書いたのも、今回紹介する「LaVie MX LX60T/51EC」は、こうしたNECのコンセプトマシンの最たるものだからだ。ハードウェア的な特徴は、重量約1.37kgのB5サブノートサイズの筐体にCPUとしてTransmeta Crusoe TM5600 600MHzを搭載していることが挙げられる。しかし、本機はこれだけで片付けられるほど単純な製品ではない。その魅力は、コンポーネント全体で大胆に省電力性能を追求するとともに、現時点で最高クラスの内蔵バッテリ容量によって、最大11時間にもおよぶバッテリ駆動を実現している点にこそある。


USB接続のCD-ROMドライブも付属する。6倍速とやや低速だが、バスパワード動作のためモバイル用途に適している
 前者に関しては、Crusoeの採用と並んで、従来のノートPCでもっとも消費電力の大きかったバックライト搭載型の液晶パネルを排して、反射型液晶パネルを搭載したことが大きく貢献している。このパネルは10.4インチ、800×600ドット表示ながら、コントラストをはじめとした視認性は、反射型液晶としてトップクラスのものだ。とくに視野角は目視でも左右それぞれ70度程度は保たれており、横から覗いても画面が確認できる。

 後者は、ヒンジ部の取り外し可能な3セルのリチウムイオンバッテリと合わせて、液晶パネル後面に12セルものリチウムポリマー(LP)バッテリを搭載することで実現している。つまり本機は、反射型液晶の採用によってバッテリ駆動時間を延ばしつつ、一般的なノートPCでのバックライトの占有スペースにLPバッテリを搭載することで、省電力と大容量電源の相乗効果を狙っているのだ。


LANコネクタは専用ケーブルによって引き出すタイプで、CRTも同様だ。できれば汎用の端子を内蔵してほしかったところである
 基本スペックの面でもまったく不満はない。CPUは前述したようにTM5600 600MHzと、現時点のCrusoe搭載機の中では最高速で、メインメモリは128MB、ビデオチップは、ATIのRAGE Mobility-M1を搭載しており、ビジネスアプリケーションなどの2D表示であれば十分な速度を実現する。メーカー保証外の使い方ではあるが、モニタの種類を変更することによって仮想画面表示も可能なので、うまく使いこなせばSVGA表示の不利な部分をある程度はカバーできる。HDDは20GBと、こちらも十分な容量が確保されている。

 通信ポートに関しては、LAN、モデム、携帯/PHSポート内蔵と、フル装備の仕様だ。IrDAポートも前面に備えられており、PDAなどとの連携も取りやすい。ただし、LANポートは専用ケーブルという、ややめずらしい仕様だ。

 こうした構成のハードウェア構成にOffice 2000 Personalをプリインストールし、USB接続のCD-ROMドライブを付属して実売価格が25万円程度ということなので、コストパフォーマンスも高い。


液晶パネル背面に配置されたリチウムポリマーバッテリ。これだけで4~5時間程度は駆動する
 OSにはWindows 2000 Professionalを採用しているが、これはWindows Meよりも省電力性能が高い点からの選択となっているようだ。

 実際の使用感としては、看板に偽りない長い電池寿命と、実用十分な速度が印象的だ。Word 2000およびとExcel2000の使用では、ほとんどの処理でストレスのない操作性を実現しており、テキストの作成、編集作業を行なってみたところでは、8時間強の駆動時間を確認できた。

 本機は市場への試金石的な役割を持った製品でもあり、液晶パネルに対して厳しい評価を下すユーザーもいるもしれない。しかし、日頃からノートPCを携帯し、移動中や出先で使用することの多いユーザーには何物にも代え難い魅力を持ったマシンとなるだろう。


  • 製品名:Lavie MX LX60T/51EC
  • 標準価格:オープン(実売250,000円前後)
  • メーカー:NEC
  • 問い合わせ先:0120-95-0001
  • URL:http://www.nec.co.jp/
  • CPU:Crusoe TM5600 600MHz
  • チップセット:Crusoe TM5600+ALi M1535
  • メモリ(最大):128MB(192MB)
  • HDD:約20GB
  • CD-ROMドライブ:最大6倍速(外付け、USB接続)
  • ビデオチップ:ATI RAGE Mobility-M1
  • ビデオメモリ:4MB
  • ディスプレイ:10.4″TFTカラー反射型液晶
  • 最大解像度:800×600ドット/1,677万色
  • サウンドチップ:ESS ES1946S
  • モデム:56kbps(V.90/K56flex対応)
  • キーボード:86キー
  • インターフェース:USB×2、CRT(専用コネクタ)×1、ヘッドホン×1、マイク×1、10BASE-T/100BASE-TX(専用端子)、IrDA×1、モデム(RJ-11)、PCMCIA TypeII×1(CardBus対応)
  • 電源:リチウムポリマーバッテリ、リチウムイオンバッテリおよびAC電源
  • バッテリ駆動時間:約8~11時間
  • 本体サイズ(W×D×H):264×211×27mm
  • 重量:約1.37kg
  • OS:Windows 2000 Professional

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □NECのホームページ
    http://www.nec.co.jp/
    □ニュースリリース
    http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/0010/1701.html
    □製品情報
    http://121ware.com/
    □関連記事
    【10月17日】NEC、バッテリ駆動11時間のCrusoeノート
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001017/nec.htm


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp