Click


←SmartVision Pro for USB ↑今月のインデックスへ NOMAD II MG→

NEW PRODUCTS TESTREPORT


ATI Technologies
RADEON 32MB DDR

アーキテクチャを一新した
ATIの最新ビデオカード

TEXT:本間 文 Bun Honma



今回試用した32MB版。64MB版に存在するビデオ入出力端子を持たないため、スッキリとしたカード構成となる
 ATI Technologiesの最新グラフィックスチップRADEONを搭載したビデオカードが、ようやく市場に投入された。RADEONが発表された翌日にあたる4月26日には、nVIDIAからGeForce2 GTSが発表され、その2週間後には搭載カードが市場に出回っていたことを考えると、チップの発表からカードの発売までの間が長過ぎた感は拭えない。しかし、スペック的にはGeForce2 GTSを凌ぐものを持つチップだけに、コアな3Dゲームユーザーならずとも、発売を心待ちにしていたユーザーも多いはずだ。そこで、今回は日本語版の投入前に並行輸入された32MB DDR SDRAM搭載のエントリーモデル「RADEON 32MB DDR」のインプレッションをお伝えすることにしよう。


0.18μmプロセスで製造され、3千万トランジスタを集積したATIのRADEONチップ。最大1.5Gテクセル/sの処理速度を持つ
 RADEONチップは、コアクロックは公表されていないものの、メモリクロック最大200MHzで動作することになっている。しかし、最初に投入されたRADEON 32MB DDRで採用されたメモリチップはSamsung製の166MHz動作版DDR SGRAMのK40623237A-9C60で、上位モデルのRADEON 64MB DDRに搭載されている183MHz動作版のHyundai製DDR SDRAM HY5DV651622の採用は見送られている。これは第一にRambusのDDR特許問題の影響もあって、DDR SDRAMの価格が当初の予想よりも下がらなかったこともあり、メインストリームモデルとして、300ドルを切る価格(ATI's Online Storeの販売価格は279.99ドル)を実現することを最優先したためと考えられる。また、ATIとしてはRAGE THEATERを搭載し、MPEG2のフルモーションキャプチャなどメモリに負荷のかかる処理が要求される上位モデルの64MB DDR(同販売価格399.99ドル)ほど、シビアにメモリアクセス性能が要求されないと考えている節もある。とは言え、画像解像度などでは、32MB版と64MB版で差はなく、最大2,048×1,536ドットまで32bitカラー表示をカバーする。


本製品に採用されているSamsung製の166MHz動作版DDR SGRAMチップ、K40623237A-9C60
 メモリクロックの制限から、いまだチップの持つ性能をフルに発揮していないとはいえ、そのパフォーマンスは下馬評どおりとも言えるもので、3DMark2000を用いたベンチマークでは、コアクロック200MHz、メモリクロック166MHzで動作しているGeForce2 GTS搭載カードに対して、解像度1,024×768ドットでやや劣るものの、1,280×1,024ドットでは、これを若干上回る結果を示した。ビデオまわりのチューニングツールPowerStripで確認したところ、この32MB DDR版のコアクロックはメモリクロックと同じ166MHzで動作していることを考えると、チップの素性のよさを感じさせる結果ではあるが、むしろ183MHz動作をサポートする64MB DDRメモリ搭載の上位モデルのパフォーマンスが気になるところでもある。


画面のプロパティからはVsyncやアンチエイリアスのON、OFFなどが設定できる
 nVIDIAからコアクロック250MHzで動作するGeForce2 GTSの高速版GeForce2 Ultraがリリースされた今となっては、そちらのほうが気になるというユーザーも多いことだろう。しかし、DirectX 8.0の機能を数多くインプリメントし、T&Lに加え、Clippingまでもハードウェアレベルでサポートした新世代のジオメトリエンジン「Charisma Engine」の性能は、ソフトウェアの対応しだいでさらに向上する可能性もある。少なくとも、早ければ今年末にもリリースされるであろうDirectX 8世代のゲームを楽しみたいというユーザーにとっては、何ものにも代え難い魅力であることは間違いないはずだ。また、試用機ではドライバの完成度のためか効果を確認できなかったが、フルシーンアンチエイリアシングの機能も備えており、より高品質な画像を生成することも可能となる。その意味では、OpenGL対応のレンダリングソフトなどへの対応が進めば、ハイエンド3Dグラフィックス市場をも十分にカバーできる素地を持ったビデオカードと言うことができるだろう。


ベンチマーク環境

CPU:Pentium III 800EBMHz
マザーボード:Intel D815EEA
メモリ:PC133対応SDRAM 128MB(CL=2)
HDD:IBM DTLA-307030
リフレッシュレート:75Hz(Vsync=OFF)32bitカラーモード


  • 製品名:RADEON 32MB DDR
  • 標準価格:オープン(実売35,000円前後)
  • メーカー:ATIテクノロジーズジャパン株式会社
  • 問い合わせ先:03-5275-2241
  • URL:http://www.atitech.ca/jp/pages/jp_index.html
  • ビデオチップ:ATI Technologies RADEON
  • ビデオメモリ:32MB DDR SGRAM
  • 最大解像度:2,048×1,536ドット/1,677万色
  • インターフェース:Dsub 15ピン×1
  • 対応OS:Windows 98/2000


    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □ATIテクノロジーズのホームページ
    http://www.atitech.ca/jp/pages/jp_index.html
    □製品情報
    http://www.ati.com/jp/pages/products/pc/radeon32_ddr/index.html
    □関連記事
    【7月29日】ATIのハードウェアT&L対応ビデオカード「RADEON」登場
    32MB DDRメモリ版の英語リテール版が3万円台で販売中
    http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20000729/radeon.html
    【8月 4日】RADEONは3Dチップ界の「カリスマ」となるか!?
    ~ATI Technologies RADEON256搭載ビデオカード~
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000804/hotrev74.htm


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp