SCEI、日本でもリアルタイム映像制作システム「GScube」を公開
GScubeは7月25日に米国で開催されたコンピュータグラフィック関連の展示会「SIGGRAPH 2000」の展示会場で発表されたもので、Graphics Synthesizerのメモリ容量をプレイステーション2の8倍にあたる32MB搭載した「Graphics Synthesizer 1-32」を16機搭載した映像制作システム。今回の説明会に展示されたGScubeも基本的に同一のもの。本体は、思ったよりも小さく裏には各種インターフェイスと5つのファンが搭載されていた。基本的にプロトタイプのため、電源スイッチはプレイステーション2と同じものが使用されていたり、デモでリアルタイムにカメラワークの変更などを行なったが、コントローラはプレイステーション用の白いDUALSHOCKを使用していた。なおコントローラは直接GScubeと接続されずコントロールボックスを介してのものだった。 説明会の冒頭で久夛良木健代表取締役社長は「DLPが登場し、フィルムを配るのではなくデジタルデータを劇場に配信するシステムが登場した。現在の配信先は劇場だが、この先家庭に映画を配信する時代がくる。そのとき、プレイステーション2は家庭の映画館となる。その時代には、クリエイターによってはインタラクティブな手法をとる人もいるだろう。ゲームと映画は全く違う生い立ちだが、融合して新しいエンターテイメントの時代がくるのではないか。そういった時代を夢見た人たちとこのシステムを作り上げたい」と今後の展望を語った。 続いて行なわれたSQUARE USAのデモではまず最初にFINAL FANTASYの予告編が上映され、その一部分をGScubeで実際にリアルタイムレンダリングしてみせた。デモされたのは、宇宙船の中のイスに座っている主人公の女性が起きあがり、イスを蹴って無重力空間を漂い、窓の外の地球を眺めるシーン。映像自体はリアルタイムレンダリングされてるとは信じられないほどのクオリティ。GScubeを4分割し(4ユニット×4)、1グループで顔の表情などを描き、体、髪、背景をそれぞれ1グループで描いている。CGでもっとも難しいものの1つとされる髪の毛に関しては1ピクセルのラインで4,000本描かれていた。物理計算に関しては計算済みで、シェーディングのみリアルタイムで行なわれていた。
デモではカメラワークの変更、拡大縮小、ライティングの変更、目の写り込みなどをリアルタイムで変更して見せた。リアルタイムで描画しているのでこれでも十分すごいのだが、グラフィックの質的にはさすがに映画の予告編のクオリティには及ばない。だが、そこは久夛良木氏も認識しており、「今回、SIGGRAPH 2000においてデモの制作に協力していただいた20社からいろいろとフィードバックをいただいている」としている。 最後に久夛良木氏は今後の予定について「今回公開したプロトタイプの『GScube 16』はGraphics Synthesizer 1-32を16機並列し10.4億ポリゴンを生成する能力を持っているが、今回のフィードバックを元にGraphics Synthesizerを64機並列し、41.6億ポリゴンを生成できる『GScube 64』を2001年に製品版として発売したい」としている。また「2002年には現状の100倍の性能のチップを完成させ、200x年には1,000倍の性能のEmotion Engine3、Graphics Synthesizer3を搭載したPS3で映画とゲームを融合させた全く新しい映像を提示したい」と締めくくった。
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ (2000年9月12日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp] |
I |
|