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SIGGRAPH 2000展示会場レポート1
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会場:New Orleans Ernest N.Morial Convention Center
■16ユニットのEmotionEngineとGraphic Synthesizerを搭載する「GScube」
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約42cmの立方体である「GScube」。内部は16ユニットのGraphics Synthesizerボードと、4ユニットごとにひとつのピクセル・マージャー、さらにそれを統合するもうひとつのピクセル・マージャーで構成される |
展示された「GScube」のプロトタイプには、プレイステーション2の心臓部としてお馴染みの「Emotion Engine」と「Graphics Synthesizer」が搭載されている。ただしEmotion Engineのメインメモリ容量は大幅に拡張され、さらにGraphics Synthesizerもメモリ容量が8倍にあたる32MBを搭載した「Graphics Synthesizer 1-32」が採用されている。この構成を単位ユニットとして、計16のユニットが本体内に収められる。搭載されるEmotion Engineは、0.18μmプロセスで作られたものだ。なお、SCEIではこれまでグラッフィクプロセッサの呼称として用いていた「Graphics Synthesizer」により広範な意味をもたせることとし、搭載されているユニットや「GScube」も幅広い意味での「Graphics Synthesizer」と位置付けている。
今回の展示では、SGIの「Origin 3000」をホストにして「GScube」に搭載された16のユニットそれぞれと、64bitのPCIバスを並列に接続。従来のCG制作過程では難しかったリアルタイムでのCG映像確認を実演してみせた。生成される映像は1,920×1,080ドットで毎秒60フレームのプログレッシブスキャン。劇場映画並の高画質CG映像をブース内の高精細度モニタに表示させたり、プロジェクタを利用してブース中央に設置されたシアターで公開した。ちなみに、デモンストレーションに利用されたソニー製のディスプレイも、1,080ドット表示のプログレッシブに対応した製品で、こちらもまだ型番などが設定されていないプロトタイプである。
「GScube」に搭載されているOSは制御用のものだけで、運用にはデモで利用された「Origin 3000」のようなホストシステムを必要とする。「GScube」自体はあくまでグラフィック・ビジュアライザーという位置付けで、単独で稼働するワークステーションというわけではない。ただし、長期的な開発や発展の過程において、将来的に何らかのOSを搭載する可能性については含みを残している。
デモンストレーションには、SQUARE PICTURESをはじめとする4社の映像が使用された。このなかでSQUARE PICTURESのデモンストレーションでは、2001年に公開予定の映画「FINAL FANTASY」の1シーンを利用して、リアルタイムにカメラ位置や光源を変化させながらCG映像を作り出していた。SCEIでは、今回映像を公開した4社を皮切りに、放送、映画製作、ゲーム制作などの各分野にソリューションを提案。プレイステーション2の構想のなかでも触れられている「e-distribution」によるコンテンツ配信の実現に向けて力を注ぐ。
CPU | 128bit EmotionEngine×16 | |
---|---|---|
システムクロック周波数 | 249.912MHz | |
メインメモリ | Direct RDRAM | |
メモリ容量 | 2GB(128MB×16) | |
メモリバス・バンド幅 | 50.3GB/秒 (3.1GB/秒×16) | |
浮動小数点演算能力 | 97.5GFLOPS (6.1GFLOPS×16) | |
三次元CG座標演算能力 | 10.4億ポリゴン/秒(6,500万ポリゴン/秒×16) | |
グラフィックス | GRAPHICS SYNTHESIZER1-32×16 | |
クロック周波数 | 147.456MHz | |
VRAM容量 | 512MB(32MB混載×16) | |
VRAMバンド幅 | 755GB/秒(47.2GB/秒×16) | |
ピクセル・フィルレート | 37.7GB/秒(2.36GB/秒×16) | |
最大ポリゴン描画性能 | 12億ポリゴン/秒(7,370万ポリゴン/秒×16) | |
最大表示色数 | 32ビット(RGBA:各8ビット) | |
Zバッファ | 32ビット | |
最大表示解像度 | 1,080/60p(1,920×1,080、60fps、プログレッシブ) | |
映像合成機能 | シザリング/アルファテスト/Zソーティング/アルファブレンディング | |
サウンド | EmotionEngineネイティブ・オーディオ | |
最大出力チャンネル数 | 16 | |
サンプリング周波数 | 48KHz | |
出力データ長 | 16ビット | |
出力データフォーマット | AES/EBU デジタルオーディオフォーマット | |
その他 | ||
ホストインターフェース | データ用1024bit / 制御用32bit パラレルバス | |
ピーク転送速度 | 約2.4GB/秒 | |
外形寸法 | 424×424×424mm(幅×奥行き×高さ) | |
質量 | 約48Kg | |
電源 | 100-240V 50/60Hz |
□SIGGRAPH 2000のホームページ
http://www.siggraph.org/s2000/index.html
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
(2000年7月26日)
[Reported by 矢作 晃(akira-y@st.rim.or.jp)]