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SEYBOLD SEMINARS SF 2000 展示会場レポート

OLYMPUSがプリンタ内蔵のデジタルカメラ「C-211 ZOOM」を展示

会期:8月27日~9月1日 (現地時間)

会場:San Francisco Moscone Convention Center



 SEYBOLD SEMINARSはパブリッシングのプロフェッショナルを対象にしたイベント。必然的に展示されている製品やソフトウェアも、大型の業務用印刷システムや、プリプレス、ワークフロー制御など専門的かつハイエンド向けのものがそのほとんどを占める。しかし、そんななかでもいくつかはコンシューマ向けと思われる製品を見つけることができた。AppleやAdobeなど有力ブースの出展とあわせ、展示会場レポートとして紹介する。


■AppleブースはG4プロセッサ搭載機のオンパレード

 会場のMoscone Centerは、道路をはさんで南側のSouthホールと北側のNorthホールの二館で構成されるサンフランシスコで最大のコンベンション施設(さらに、Westホールの建設もはじまった)。それぞれのホールは地下の通路で結ばれていて、来場者は道路に出ることなく自由に行き来することができる。

 Apple Computerは例年どおり、出展者のなかでも最大のブースをSouthホールの中央に構えた。ホール入り口から正面にあたる位置に大きなプレゼンテーション用のスクリーンを用意し、そこに至る通路の両脇にはデモ用のG4 Cubeがずらりとならぶ。他にブース内に4つの島を用意して、Mac OS X、QuickTimeなどソリューション別の展示コーナーが設けてある。これらの展示コーナーで使用されているデモ機材はほとんどがPowerMac G4とChinema Displayで、iMacはQuickTimeのエリアに数台が用意されているだけ。こんなところもプロフェッショナル層にターゲットを絞った展示内容であることをうかがわせる。

 スクリーンでプレゼンテーションされているのは、Mac OS Xとビデオ編集用ソフトのFinal Cut Pro、そしてG4 Cubeの3つのステージ。立ち見が出るほどに混雑しているのはやはりMac OS Xのステージだ。同様にMac OS Xの展示コーナーにも来場者が数多く集まっていて、矢継ぎ早にくりだされる質問に担当者が次々と回答している様子がありあり。昨日発表された9月13日からのパブリックβ版の配布方法などについては、昨日の基調講演以上の内容は聞くことができず、すべてはパリでのアナウンス待ちということになる。

Southホールに入った正面に位置するApple Computerブース。正面スクリーンに向かう通路でG4 Cubeがお出迎え。Mac OS Xの展示コーナーは、写真左奥にある円形のコーナーだ Mac OS Xについての質問には、回答可能な範囲を限定しながらも説明員がかなりフレンドリーに答えてくれる。付属のアプリケーションなどもリクエストに応えて起動してみせてくれた Mac OS Xに標準で付属するスクリーンセーバーの様子。これまでのDeveloper向けリリースには含まれず、パブリックβ版ではじめて搭載される機能のひとつだ


■OLYMPUSのプリンタ内蔵デジタルカメラは10月に出荷予定

 展示会場内にはNIKON、Canon、OLYMPUS、KODAK、FUJIFILMなどをはじめ、デジタルカメラを出展しているブースも数多い。とはいえ、出展内容はハイエンド傾向に振られている。コンシューマ向けの製品では、日本でも28日に発表されたNIKONの「COOLPIX880」や、Canonの「Powershot S100」(日本での製品名はIXY DIGITAL)などに注目する来場者がやや多い程度。面白いのは「COOLPIX880」で、日本では本体カラーがシルバーに一新されたにもかかわらず、米国仕様は従来製品どおり黒のままだ。デモを見せてくれた説明員によれば純粋にマーケティング上の理由だそうで、「ボクには、なんで日本はシルバーを選んだのかわからないね」というコメントを残している。ちなみに、ヨーロッパ向けの製品もシルバーになるらしい。米国仕様もファームウェアは共通のようで、言語選択で日本語表示のメニューに変更することもできる。入手の手間さえ惜しまなければ、ブラックボディのCOOLPIX880を手に入れることもできるというわけだ。

 デジタルカメラでもうひとつの注目製品は、OLYMPUSのプリンタ内蔵デジタルカメラ「C-211 ZOOM」。210万画素(1,600×1,200ピクセル)で、光学3倍ズームを搭載するデジタルカメラに、ポラロイド製のプリントエンジンを内蔵している。プリント用紙はポラロイドのタイプ500を利用。記録メディアはスマートメディアに対応し、米国では10月に出荷される予定だ。

黒い「COOLPIX880」。スペックは日本で発表されたものとまったく同じ。本体カラーは純粋に好みの問題になるので、手間とリスクを惜しまなければ、米国仕様を手に入れるのもアリかも 個人的には発表以来待望久しい「スライドコピーアダプタ」。海外取材時のプレス向け資料にポジが添付されていたときなどに(実際、今回NIKONが配ったプレスキットにも多数のポジが含まれていた)かなり使えそうと踏んでいる 米国名は「Powershot S100」のIXY DIGITAL。仕様はもちろん同一。さすがに大柄な米国人にはコンパクトすぎるのか、好みは極端に分かれるように見受けられ、日本のような爆発的ヒットはなさそう
OLYMPUSのプリンタ内蔵デジタルカメラ「C-211 ZOOM」の正面。比較物がポラロイドのタイプ500フィルムになってしまったので大きさがわかりにくいが、高さは7インチ、横幅が5.25インチとかなり大きめのボディ いっぽう、こちらは背面。2インチのTFTモニターが付いている。ズームの切り替えは、中央右に位置するレバーを利用。印刷は画像を選んで緑のボタンを押すだけの簡単操作。フィルムとスマートメディアの挿入位置は底面と側面にある ポラロイド500タイプの印刷サイズで足りないときは……というわけで展示されていたのが日本でも発表済みの「P-400」。印字サンプルは中谷美紀のようにも見えたけど、よく見ると違っていました


■QuarkXPress5.0はCarbon化を見送り。Carbon化のタイミングに悩む各社

 Mac OS Xが成功に至るカギのひとつが、既存の有力アプリケーションの対応。具体的にはCarbon化ということになるが、いずれも正式発表や対応にはもう少し時間がかかるといったところだ。すでにMicrosoftのOfficeのように次期バージョンはOS 9ベースで、さらにその次のバージョンからのCarbon化を明らかにしているケースもある。QuarkのQuarkXPressも同様で、次期バージョンの5.0でのプラットフォームはOS 9。以降のバージョンでCarbon化を図ることになる。開発期間を考えるといたしかたないが、Apple Computerが期待するほどCarbon化が簡単ではないことがうかがえるコメントもあった。有力で大型のアプリケーションほど開発期間も長く、バージョンアップのタイミングにあわせて即Carbon化というには、なかなか方向転換が難しい側面もある。パリでのパブリックβ配布開始以降、こうしたMacintoshのキラーアプリケーションを抱える各社が、どんなスケジュールでCarbon化を進めていくのか、徐々に明らかになるはずだ。

Adobeのブースで最も注目を集めたのはやはり「Photoshop6.0」。製品紹介スタッフには次々と来場者からの質問が飛び、隣のプレゼンテーションステージや、ハンズオンコーナーも大盛況だった AdobeのCoolTypeとPDFをベースとするeBookのデモンストレーションエリア。Palm環境とPocket PC環境で、ルイス・キャロルの鏡の国のアリスをeBookにして紹介 月曜日にAdobeによる買収が発表されたglassbookのブース。頭上には早速Adobeのロゴが翻っている。ブース内では、Windows用のglassbook reader2.0と、Mac用のglassbook readerをデモ
隣接するホテルにもプレゼンテーションスペースを設けて、来春の出荷を予定している「QuarkXPress 5.0」などは、そちらでプレビューしたQuark。「QuarkXPress 5.0」はCarbon化されず、Mac OS XではClassic環境での動作になる 小ぶりのブースで、ClearTypeをベースにした電子書籍技術「Reader」をデモンストレーションしたMicrosoft。パートナー企業のコーナーも、4つほど用意されていた 昨日の基調講演ではMac OS Xに対応するDreamweaverやFireworksを披露したMacromediaだが、展示会場では既存製品のみをプレゼンテーション。それでも座席は常に満席で立ち見もいっぱい

□SEYBOLD SEMINARSホームページ (英文)
http://www.key3media.com/seyboldseminars/

(2000年8月31日)

[Reported by 矢作 晃(akira-y@st.rim.or.jp)]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp