会期:8月22日~24日(現地時間)
会場:San Jose Convention Center
Intel Developer Forum Fall 2000はPC業界の開発者向け会議であるため、世界中から多くの開発者、メディアなどが参加している。そこでは、通常のレポートでは見えてこない様々な舞台裏などもあるわけで……このレポートではそうしたIDFで拾った話題をお伝えしていく。
●Intel会長といえども入館証は必要
IDFの前日に行われたのがインターナショナルプレスデーと名付けられた、米国以外のPCメディア向けのプレビューセッションだ。そのプレビューの最後のセッションには同社の会長であるAndrew Grove氏が登場した。滅多にあうことができない、Grove氏の登場と言うことで、各記者とも先を争うように質問をしていた。
筆者がふとGrove氏の腰の当たりに目をやると、なんと彼の腰にはIntelの社員証がついていたのだ。Grove氏といえばIntelの顔とも言える存在であり、まさか彼のことを知らない人はいないとは思うのだが、やはり彼でも顔パスではないということなのだろうか……と、ここまで書いてよく考えたら、入館証などを通すのは最近だとほとんど機械だから、さすがに顔パスは難しいだろうということを思いついて一人納得してしまった。
この方がIntel会長のAndy Grove氏。Intelの今を築き上げた功労者だ | Grove氏の腰の部分に注目!さすがにIntel会長といえども、顔パスではないようだ |
●プレスルームはまさに戦争です
記者会見が開かれている会場。ちなみに、マイクの後ろに並んでいる人々は質問待ちなプレス関係者 |
さらに、前回はプレスルームで行われていた記者会見が、隣の部屋に移された。さすが米国企業だなと思わせたのが、ちゃんと記者会見が行われる会見場の背後にはIntelのロゴが入ったボードがおかれていた。これをおくことにより記者団が写真を撮るたびに、Intelのロゴが入るようになっている。まるで、スポーツ選手の記者会見場のようだった。滅多にあうことができないIntelのエグゼクティブとあって、質問は尽きずIntelの広報担当者が終わらすのに苦労するほどだった。その熱心な様子は、半導体メーカーのエグゼクティブというよりは、まるでアイドルへの記者会見のようだった。
●最前列にはIntelのエグゼクティブが大集合
IDFの基調講演ではIntelらしい几帳面さで、時間通りに始まることでよく知られているのだが、開始時間より前に行ってみると、結構面白いものが見ることができたりする。例えば、初日の基調講演が開始される前にはIntelアーキテクチャグループのトップであるAlbert Yu上級副社長とPatrick Gelsinger副社長兼CTOがなにやら雑談。参加者などもこの輪に入っていってGelsinger氏に質問したりしていた。PC業界のいわば“強化合宿”的な存在であるIDFならではの光景と言える。
なお、基調講演と言えば難しい英語で早口でしゃべられるので、理解できないのではと頭を抱えてしまう人も少なくないだろうが、少なくとも基調講演に関してはそうした心配をする必要はない。なぜならば、我々日本人には同時通訳が用意されているからだ。この同時通訳を聞くための機械は、受付で名刺と交換に貸してもらうことができる。これにより、「英語はちょっと……」という人でも安心して参加することができる(ただし、技術トラックなど基調講演以外ではこうした同時通訳はない)。
なお、余談だがIDFの基調講演はWebcastでIntelのホームページにも掲載されている(閲覧にはメールアドレスの登録が必要)。このWebcastでも、ちゃんと日本語バージョンが用意されているので、興味がある読者はぜひ見てみるといいだろう。
基調講演前の最前列にはIntelのエグゼクティブが大集合。立っている中央の青い服を着ているのがIntelアーキテクチャグループ副社長兼CTOのPatrick Gelsinger氏、座っている人で手前から二人目の人がIntelアーキテクチャグループ上級副社長のAlbert Yu氏 | IDFの基調講演では英語が分からなくても大丈夫。日本語の同時通訳を聞くためのヘッドセットを貸してもらえる |
●地元新聞のトップを飾ってしまった日本人
なんとCraig Barrett社長兼CEOよりも大きく掲載されてしまった日本人プレス関係者。彼が新聞を持ち帰り家宝にしているのは言うまでもない |
その熱心さ?を買ったのか、その模様を納めた写真は地元新聞であるサンノゼマーキュリーニュースの経済面のトップを飾ってしまった。中心に移っているのは日本人のライターの某氏で、なんと下に別の写真として掲載されているIntelのCraig Barrett社長兼CEOよりも大きなサイズになっているのだ!この新聞がIDFに参加していた日本人の間ではひとしきり話題になったのは言うまでもない。
●え? Intel Developer ForumにAMD-760のシステムが展示??
Intel Developer Forumはその名の通り、Intelのプラットフォーム向けの製品を作る開発者向けの会議なのだが、そのIDFの展示会場の一角に、なんとまだ発売前のAMD-760チップセットを搭載したシステムが展示されていた!展示していたのはメモリメーカーのHyundaiで、DDR SDRAMのデモンストレーションで、DDR SDRAMが利用できるAMD-760マザーボードとAthlon/1GHzがデモに利用されたという訳。まぁ別に参加条件に「AMD製品は展示しちゃ駄目よ」などと入っている訳ではないだろうから、展示するのは自由な訳だが、実際に目の当たりにしてみるとなかなかシュールだ。
実は、会場に隣接したヒルトンホテルでは、AMDがプレス向けのブリーフィングを行っていた。ただ、内容的には先週行われたLinuxWorldで行われたx86-64に関する発表と同じで、AthlonやDuronに関するアップデートも無かったため、ニュースにはなっていないが、2月に続いてAMDが敵地に乗り込んできていたのは事実だ。ただし、前述のように今回はほとんど報道されることもなかったので、不発に終わってしまったようだ。次回に期待したい。
IDFの会場に登場したAMDのAMD-760搭載マザーボードとAthlon/1GHzのデモ。しかも、この1GHzはシステムバス(いわゆるFSB)が133MHz(DDR動作しているので266MHz相当)になっているそうだ。システムバスが133MHzのAthlonが公開されたのは多分今回がはじめて。なにげに重要な展示だった |
●たくさんもらえるギブアウェイ、どれが一番?
ところで、米国で展示会が行われるときに不可欠なのがギブアウェイ(無料で配られるグッズのこと)。米国ではこれを目的にイベントを回る参加者もいるほどで、いろいろなグッズが配られている。実は筆者も知る人ぞ知るギブアウェイマニアで、今回も気合いを入れて集めてみた。今回はなかなかギブアウェイの充実したイベントで、写真のようにたくさんのギブアウェイが集まった。
今回もらったギブアウェイの中で、これは!と筆者が思った製品が3つある。
1つはSliverStreamというeビジネスの会社が配布していたモジュラーケーブルで、写真のようにボタン1つでケーブルが格納できるという優れものだ。同様の製品はソニーから発売されているが、こちらはギブアウェイなのでもちろんただ。
さらに、インテルが配布していたキーホルダーもなかなか優れもの。まず方位を示すコンパスが内蔵されており、さらにスイッチを入れると小さなライトが光るという仕組みになっている。車のキーにでもつけておけば、方向を見たり、地図を照らすライトなどに使えて便利だ。
RogueWave Softwareという会社が配布していたのが、携帯用のペンチ。普段は折り畳んで格納でき、広げるとペンチになるという優れものだ。普通に買っても結構するようなものが、ギブアウェイであるというのだからすごい。今回の筆者が独断と偏見で選ぶIDFギブアウェイ大賞はこのRogueWave Softwareの携帯ペンチに差し上げたい。
IDFの展示会場でゲットしたギブアウェイ。真剣に集めるとこんなに集めることができる | SliverStreamが配布していた収納可能なモジュラーケーブル | Intelが配布していたキーホルダー。コンパスと小型のライトが内蔵されている。方向音痴の友人にあげると喜ばれるかも? |
IDFの展示会場でゲットしたギブアウェイ。真剣に集めるとこんなに集めることができる | ボールペンはこんなにゲット。文房具屋が開けるかも? |
やたらと派手なPCI-XのTシャツ。こんな派手なTシャツでも、すぐに来ていた人もいたので、案外好評だった?なお、この模様のシャトルバスもかなり目立っていた。 |
□IDF Fall 2000のホームページ(英文)
http://www.intel.com/design/idf/index.htm?iid=update+000818&
□米Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□関連記事
Intel Developer Forum Fall 2000レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/idf001_i.htm
(2000年8月28日)
[Text by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]