会期:8月22日~24日(現地時間)
会場:San Jose Convention Center
Intel Developer Forumでは展示会としてデモショーケースが行なわれており、ユニークな機器などが多数展示されている。この記事ではそうした展示会場で見つけたユニークなデバイスをレポートする。
●Pentium 4を始め精力的な展示を行なったIntelブース
当たり前の話ではあるが、最も精力的に展示を行なっていたのは、主催者でもあるIntel自身だ。Intelブースで目立ったのは、なんといってもPentium 4搭載システムで、説明員に熱心に質問をしている来場者の姿が目立っていた。
EnLight製のConceptPCケースに、Pentium 4を搭載するとこうなるというデモ。CPUクーラー自体にはファンはついていないが、PCケース側には2つのファンが搭載されていた。一応、静音PCということのようなのだが、うるさい会場では静かであるかどうかまではわからなかった |
Intelのブースはメインブースのほか、IA-64システム、USB 2.0、Universal Plug and Play、e-Businessのソリューションをデモするブースに分かれている。中でも注目を集めていたのはUniversal Plug and Playのブースだろう。Universal Plug and PlayのブースではPCにストックされている動画やオーディオファイルなどをUniversal Plug and Playで、コンシューマ向けに開発されているメディアに転送して再生するデモなどが行なわれていた。このほか、Universal Plug and Playに対応したXeroxのプリンターなどが公開されていた。
●第4四半期にシリアルATAの規格が策定される
シリアルATAのサンプルハードディスク。2月のIDF Springではモックアップだったが、今回は実際に動作していた |
このシリアルATAの規格だが、IntelのシニアスタッフシステムアーキテクトのKnut Grimsrud氏によれば「現在のところは50%程度の進捗状況。現在のシリアルATAの仕様書はリビジョン0.9だが、第4四半期中にはリビジョン1.0のリリースが可能になる」とのべ、第4四半期中にはシリアルATAの規格策定が終了することを明らかにした。
なお、転送速度は、当初実現される1.5Gbpsに始まり、3.0Gbps(384MB/秒)、6.0Gbps(768MB/秒)まで高速化されるというロードマップになっており、ホットプラグ、ホットスワップ(電源が入ったままの抜き差し)といった現在のIDEインターフェイスでは実現されていない機能も搭載されるという。
また、ソフトウェア的には従来のIDEインターフェイスと互換性が確保されており、OS側での変更は全く必要ないということだ。「現状のパラレルATAとほとんど変わらないコストで実現できる」(Grimsrud氏)とのことで、確実にPCのハードディスクインターフェイスとして普及する可能性が高いと言える。さらに、モバイル向けにパワーマネジメントへの対応も明らかにされている。
なお、シリアルATAの登場時期だがIntelでは「2001年の夏頃」(Grimsrud氏)と説明している。しかし、2001年にIntelが新しいサウスブリッジとして計画しているICH3では、シリアルATAがサポートされる計画はない。となると、2002年に登場するチップセットからのサポートとなり、実際に多くのPCがシリアルATAの機能をサポートするのは2002年以降となる可能性が高いだろう。
●ソニーがメモリースティックの活用例をバージョンアップ
ソニーは小さいながらもブースを構えており、多くの来場者の注目を集めていた。特に注目を集めていたのは同社が推進するメモリースティックの活用例だろう。ソニーは自社のブースでメモリースティックの小型版(メモリースティックDuo)を利用した超小型デジタルカメラを公開した。画素数などの説明などはないものの、メモリースティックDuoを挿入するスロット、さらにはCCDとレンズを装備している。
さらに、ソニーは恒例ともなったメモリースティックを利用したI/O系デバイスのモックアップを展示した。展示されていたのはカラー液晶ディスプレイが搭載されたインフォキャリーのようなデバイスや、メモリースティックのデジタルカメラ、GPSカードなど。現時点ではモックアップだが、ソニーのPalm OS搭載PDAであるCLIEが登場した今となっては、より現実味が増したと言える。
スパイカメラのようなソニーのメモリースティックDuoを利用したデジタルカメラ。「プロトタイプ」とだけしか答えてもらえなかった | I/O系メモリースティックの応用例。GPSカード、デジタルカメラカードなどを挿すと、CLIEのようなPDAもGPSやカメラに早変わり!? |
NECのブースに展示されていたRATOC Systems製、PCカードのUSB 2.0インターフェイスカード。デスクトップPC向けのPCIカードも多数展示されていた |
今回はビデオチップメーカーはさほど目立った展示をしておらず、NVIDIAは先日発表したばかりのGeForce2 Ultra(GeForce2 GTSの高クロック版)、ATI TechnologiesはAll-In-Wonder RADEONのデモを行なうにとどまり、3dfxに至っては何のデモを行なっているのかもわからないという状況でどれもパッとしなかった。
'99年のIDFでNVIDIAがNV10ことGeForce 256を発表したのは記憶に新しいところだが、残念ながら今回は4月に発表されたGeForce2 GTS(NV15)の後継と言われているNV20の発表は行なわれなかった。NVIDIAは6カ月ごとに新製品を投入すると公言しており、次のタイミングは10月ということになる。最近NVIDIAはPC系のメディアや業界関係者が集まるイベントに合わせて発表会を行なうことが定番になっている(GeForce2 GTSの発表会はWinHEC2000で行なわれたし、GeForce2 MXはPC EXPO2000で行なわれた)。とすると、次にPC系のメディアや関係者が集合するイベントと言えば、10月に開催されるMicroprocessor Forum、11月に行なわれるCOMDEX/Fallの2つが考えられる。果たしてどちらで発表されるのだろうか。
□IDF Fall 2000のホームページ(英文)
http://www.intel.com/design/idf/index.htm?iid=update+000818&
(2000年8月25日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]