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■2万円台の低価格ローカルルータ、プラネックス「bRoad Lanner」の実力


●bRoad Lanner(BRL-01)

販売元:プラネックスコミュニケーションズ株式会社
定価:オープン(PCI Direct価格:\24,800)

 6月に掲載した特別企画「CATVインターネット接続事情」では、ケーブルモデム向けのローカルルータ4製品をテストした。外部と内部をネットワーク的に分離し、不要なパケットを遮断。1つのIPによるインターネット接続の共有を実現してくれる製品たちなのだが、中でもひときわ、4ポートHUB付き3万円台のBEFSR41(リンクシス・ジャパン)が、コストパフォーマンスの良さで光っていた。

 今回試用したプラネックス「bRoad Lanner(BRL-01)」は、さらに1万円安の2万円前半。HUB機能こそ無いものの、別途HUBを購入しても充分安く押さえられるし、既にLAN環境になっている方や4ポートじゃどのみち足りないという方にとっては魅力的な価格である。


・機能的にはBEFSR41と互角か

背面
 CD-ROMのような円形の出っ張りが付いた筐体から、家庭用ゲーム機のサイズをイメージしてしまうかも知れないが、実際にはハガキを一回り大きくしたくらいのコンパクトな設計。背面にWAN側とLAN側の2つのEthernetポートとリセットスイッチ、上面に3個のLED(Link×2、Status)が配置され、すっきりとまとまっている。


 設定は、Webもしくはtelnet経由。デフォルトでは、WAN側がDHCPサーバから自動的に情報を取得してくるDHCPクライアントに、LAN側がローカルマシンにIPアドレス等を配布するDHCPサーバーに設定されているので、一般的な環境では、そのまま接続するだけで利用できるだろう。ちなみに本製品は、Zero One TechnologyのOEMの様だが、Webページまでちゃんとローカライズされているのはさすがである。

 機能的には、BEFSR41とたいへんよく似ており、IPフィルタ(telnetではAccess Control List)やローカルサーバー(いわゆるポートフォワーディング)といった基本機能は一通りサポートしているものの、あまり高度なことは出来ない。

 フィルタは、送信元アドレス、送信先ポート、プロトコル(TCP/UDP)の組み合わせ。内部から外部へのアクセスを制限する簡単なものが16個まで登録できる。特定のポートに向けた外部からのパケットを、内部の特定の端末の特定のポートに配送するフォワーディングは、TCPが8種類、UDPが4種類登録できるのみである。

IPフィルタ設定 IPフォワード設定

 注意しなければいけないのは、初期出荷のファームウェアでは、設定用のWebとtelnetのポートが、WAN側にも開いている点だ。一応、パスワードによるアクセス制限が付いてはいるが、止めておくに越したことは無い。本機のフィルタは、外に出て行くパケットの遮断なので、この場合には、外部ポート(TCPの80番と23番)を実在しないアドレスにフォワードする様にして回避する。7月25日付けで更新された新しいファームウェア(更新用のTFTP付属)では、デフォルトでこの設定が登録される。


※ ファームウェアのバージョンは、telnetで接続すると確認でき、初期出荷版の「5.09.23p」から「5.09.33p」に更新されている。

□ファームウェア情報の請求ページ
http://www.planex.co.jp/support/download/brl-01.htm


 ゲームやチャット、ストリーム系のアプリケーションの中には、インターネット側からの接続を必須とするものもある。本機のようなポート/アドレス変換を行なうルータにとっては、もっとも苦手とするアプリケーションなのだが、bRoad Lannerでは、外部からのパケットを特定のマシンに全てフォワードする、バーチャルコンピュータ(telnetではInternet Visual Computer)という機能をサポート。マシンをケーブルモデムに直結したのと同じ効果が得られるので、特定の1台だけではあるが、たいていのアプリケーションが動作するようになる。BEFSR41でいう、DMZホストと同等の機能だ。

 本機のユニークな機能としては、ルータが送受信したパケットの累計を表示する「トラフィックモニタ」と、ポート/アドレス変換テーブルを表示する「アクセス状況」という機能が用意されている。後者は、接続中のユーザーや使用しているポートがわかるちょっと便利な機能なのだが、表示されるポート番号がWebインターフェイスではリモート側、telnet経由ではローカル側といというちぐはぐな設計。どうせなら、両方一緒に表示してくれるとありがたい。

トラフィックモニタ アクセス状況

・遅いスループット

 「CATV向けローカルルータ」の時と、同一の機材と計測方法で、bRoad Lannerのスループットを計測してみたところ、表のような非常に遅い結果になってしまった(TCPプロトコルで100MB[104,857,600B]を10回転送し、最高値と最低値を除いた平均)。

LAN->WANLAN<-WAN
ファーム時間転送速度時間転送速度
5.09.23p 848.07秒0.99Mbps827.21秒1.01Mbps
5.09.33p 877.27秒0.96Mbps834.27秒1.01Mbps

 本機は、ポート/アドレス変換を行なわない純粋なルータとしても利用できるが(*1)、この場合のスループットも1.5~1.6Mbpsであることから、これはハードウェア的な限界と思われる。
 OEM元からは、シリアルインターフェイスを備えたモデルもリリースされているのだが、ひょっとすると、同じエンジンでドライブしているのかも知れない。

 他社製品が軒並み4~5Mbpsをマークしている以上、あまり弁明の余地はないのだが、CATVであってもこれ以下で帯域制限されていることは珍しくない。実際にこれがボトルネックになるかというと、そのような恵まれた環境はそれほど多くないというのが実情ではないだろうか。この辺が割り切れれば、2万円台前半という価格は非常に魅力的である。

*1 サブネットとして予め複数のアドレスが配布される場合で、一般的なサービスではこのような使い方はできない

□プラネックスのホームページ
http://www.planex.co.jp/
□CR-20製品情報
http://www.planex.co.jp/brl-01/index.htm
□関連記事
【6月8日】CATVインターネット接続事情
ケーブルモデム向けローカルルータガイド「BEFSR41」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000608/catv7.htm

(2000年7月28日)

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp