●LAMB-RT-01
「子羊ルータ」という愛称が付けられた「LAMB-RT-01」は、見かけこそ手のひらサイズのコンパクトなボディだが、中身は、AMDの486SX互換(66MHz)プロセッサと16MBのRAMを搭載した立派なPCである(*1)。LAMBはLinuxがベースになっており、システムは16MBのコンパクトフラッシュカードに格納。起動には1分20秒かかる。各種設定はもちろんWebベースのインターフェイスで行なうことができる(ユーザー認証無しで誰でも設定ページにアクセスできてしまうのはいただけない)。telnetやftpも利用できるので、それなりのスキルさえあれば、ユーザー自身でシステムを拡張して行くことも可能である(CFカードを取り出して他マシンにマウントしてもかまわない)。
特に上位のSP版の場合には、シリアルポート(デフォルトではコンソール用)とパラレルポート(外部に引き出すためには改造が必要)が用意され、IBMのmicrodrive(*3)にも対応。ルータの基本機能とは直接関係の無い拡張だが、これらを活用することによってFAXサーバーやプリンタサーバー、メールサーバー等に発展できる可能性もある(当然サポート外)。一歩間違うとマニアックな製品にもなりかねないが、「好きにしていいのよ」という製品が少なくなりつつある昨今、この辺は高く評価したい。
本体内部にはCFスロットを搭載する |
メニュー
設定
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LAMBを使って特に便利だと思ったのが、ログ機能である(Syslogサーバーに出力するほかブラウザ上でも閲覧できる)。ログが充実しているのはいうまでもないが、Webページのフィルタリング設定(LAMBは外部からのパケットをシャットアウトするのが基本になっており、フィルタは通過させたいものを設定する)で、個々のフィルタに対しログを取得するかしないかを簡単に指定することができる。これは、フィルタの動作チェックはもちろん、アプリケーションが使用するポートが分からない場合等にも重宝する機能だ(ついでに、フィルタ自身のON/OFFもワンタッチでできたら良いのだが)。
メンテナンスメニュー | |||
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LAMBはDHCPサーバーからのアドレス取得や更新に失敗するとリトライしない(*4)性格であるため、CATV側の不調に合わせて仕事を放棄してしまう。幸い、設定ページからボタン一発でアドレスの再取得が行なえるので、再起動の必要はないが、どうせならここはもう1つ奮発し、予め設定した間隔や回数にしたがってリトライするとか、ダイヤルアップルータのように、パケットが飛んできたら接続を試みるとかの仕様になっていれば嬉しい。何だか注文が多くなってしまったが、基本的にはたいへん良くできており、個人的にも好きなタイプの製品なだけに、今一歩の詰めの甘さが気になることろである。なお、販売は基本的に直販で(*2)、オーダーは同社のWebサイトもしくはFAXで受け付けている。
*1 PC本体は、PC/ATの機能を144ピンのSO-DIMM基板上に凝縮した、DIMM-PCという超小型(40×68×6mm)の組込み用PCが使われている。
*2 秋葉原のAmulet( http://www.watch.impress.co.jp/akiba/shop/at/amulet.html )でも扱っている。
【追加情報】
・6月1日
*3 シリアルポート付きモデル(LAMB-RT-01SP)に、MicroDrive(340MB)とPCカードアダプタを同梱したタイプ(当面は生ディスクが同梱されている)が発売された。
・6月5日
*4 DHCPからのアドレス取得や更新に失敗した場合に、自動的に再取得する機能が付加され、アップデータが公開された。
□ワイルドラボ
http://www.wildlab.com/
(2000年6月7日)
[Text by 鈴木直美]