ABIT SE6/SL6再レビュー
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前回は、ABIT ComputerのSE6/SL6のレビューを掲載しましたが、パフォーマンスが予想以上に低かった件について、読者の方からBIOSの設定を変更する事でパフォーマンスが大幅に改善されるというメールを頂きました。そこで、改めてベンチマークテストをとったところ、設定の変更によるパフォーマンスの改善を確認できましたので、追加レポートを掲載いたします。ご教示いただいた読者の方には誌面を借りてお礼を申し上げます。(編集部)
●BIOS設定を変更することで、大幅なパフォーマンスアップ
In-Order Queue Depthを4に設定するとパフォーマンスが向上する |
前回のレポートでSE6/SL6のパフォーマンスが予想よりも低かった件で、BIOS設定を変更することでパフォーマンスを大幅に改善できることが読者からの情報によりわかった。SE6/SL6では、BIOS設定画面のSOFT MENU IIというメニューで、FSBクロックや電圧を指定することができるが、そこに「In-Order Queue Depth」という見慣れない項目がある。マニュアルにも特に記述はないのだが、この数値をデフォルトの1から4に変更することで(1と4のみ設定可能)、パフォーマンスが向上するとのことだ。この項目は、CPUとチップセット間のパイプラインの深さを設定するものだ。In-Order Queue Depthを4にして、再度ベンチマークテストをとった結果を次に示す。
【ベンチマーク結果(内蔵グラフィックスコア利用時)】
Intel 815E (SE6) | SiS 630 (WinFast 6300MAX) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
In-Order Queue Depth | 1(出荷時設定) | 4 | - | |||||||
FSBクロック×倍率 | 133×4.5 | 133×4.5 | 100×6 | 100×5 | 133×4.5 | 133×4.5 | 100×6 | 100×5 | 100×5 | 100×5 |
動作クロック | 600MHz | 600MHz | 600MHz | 500MHz | 600MHz | 600MHz | 600MHz | 500MHz | 500MHz | 500MHz |
メモリクロック | 100MHz | 133MHz | 100MHz | 100MHz | 100MHz | 133MHz | 100MHz | 100MHz | 100MHz | 133MHz |
CAS Latency | CL=2 | CL=3 | CL=2 | CL=2 | CL=2 | CL=3 | CL=2 | CL=2 | CL=2 | CL=3 |
CPUmark 99 | 47 | 50.3 | 46.5 | 40.6 | 53.5 | 55.6 | 52.7 | 45.6 | 35.8 | 37.4 |
Business Graphics WinMark 99 | 116 | 127 | 113 | 104 | 128 | 139 | 127 | 117 | 142 | 154 |
High-End Graphics WinMark 99 | 482 | 497 | 472 | 405 | 503 | 517 | 499 | 428 | 435 | 447 |
3D WinBench 99/3D WinMark 99 1,024×768ドット16bitカラー | 280 | 308 | 277 | 277 | 286 | 312 | 285 | 277 | 446 | 538 |
3DMark2000 1,024×768ドット16bitカラー | 796 | 898 | 794 | 793 | 814 | 917 | 815 | 813 | 698 | 896 |
また、ほかのIntel 815/815E搭載マザーボードのパフォーマンスを知るために、CHAINTECHのIntel 815搭載マザーボード「CT-6OJV」を新たに手に入れたので、同じ環境でベンチマークテストをおこなってみた(テストは外部AGPカード装着時のみ)。
結果は見ての通り、SE6でIn-Order Queue Depth=4に変更すると、ベンチマーク結果はかなり向上し、CPUmark 99や3DMark 2000の値が、Apollo Pro133A搭載マザーとほぼ同等になる。CT-6OJVのBIOS設定画面には、In-Order Queue Depthという項目はないが、ベンチマーク結果はSE6でIn-Order Queue Depth=4に設定した場合とほぼ同じなので、Intel 815の性能が十分発揮できていると言える。なお、国内販売元のバーテックスリンクによれば、SE6/SL6の次回BIOSでは、デフォルトでIn-Order Queue Depth=4に変更されるという。
SE6/SL6が、初期状態でIn-Order Queue Depth=1に設定されている理由は不明だが、In-Order Queue Depth=4にしても動作は安定していた。初期設定時のSE6/SL6の結果のみで、Intel 440BXの後継としては力不足だという判断を下したのは早計だった。SE6/SL6のみ初期状態での性能が低いようで、そのほかのIntel 815/815E搭載マザーボードでは、初期状態でもIntel 815/815Eの性能が十分発揮されている可能性が高い。
【ベンチマーク結果(外部AGPカード利用時)】
Intel 815E (SE6) | Intel 815(CT-6OJV) | Apollo Pro133A(P3V4X) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
In-Order Queue Depth | 1(出荷時設定) | 4 | - | - | ||||
FSBクロック×倍率 | 133×4.5 | 133×4.5 | 133×4.5 | 133×4.5 | 133×4.5 | 133×4.5 | 133×4.5 | 133×4.5 |
動作クロック | 600MHz | 600MHz | 600MHz | 600MHz | 600MHz | 600MHz | 600MHz | 600MHz |
メモリクロック | 100MHz | 133MHz | 100MHz | 133MHz | 100MHz | 133MHz | 100MHz | 133MHz |
CAS Latency | CL=2 | CL=3 | CL=2 | CL=3 | CL=2 | CL=3 | CL=2 | CL=3 |
CPUmark 99 | 50.7 | 52.4 | 55.1 | 57 | 55.2 | 56.9 | 55.9 | 57 |
Business Graphics WinMark 99 | 248 | 253 | 259 | 263 | 258 | 262 | 256 | 255 |
High-End Graphics WinMark 99 | 699 | 712 | 737 | 747 | 738 | 743 | 714 | 716 |
Business Disk WinMark 99 | 2,800 | 3,200 | 2,790 | 3,510 | 2,790 | 2,830 | 2,670 | 2,680 |
High-End Disk WinMark 99 | 8,460 | 8,520 | 8,240 | 9,670 | 8,350 | 8,370 | 6,930 | 6,910 |
3DMark2000 1,024×768ドット16bitカラー | 2,797 | 2,918 | 3,120 | 3,194 | 3,118 | 3,189 | 3,147 | 3,198 |
3DMark2000 1,024×768ドット32bitカラー | 2,354 | 2,409 | 2,474 | 2,500 | 2,475 | 2,497 | 2,486 | 2,506 |
●Apollo Pro133Aのライバルとしての資格は十分
前回の結論とは全く逆の結論になってしまって申しわけないが、SE6でIn-Order Queue Depth=4に設定した場合とCT-6OJVでのベンチマーク結果を考慮すれば、Intel 815/815Eは、Apollo Pro133Aのライバルとしての資格は十分あるといえる。Intel 440BX搭載マザーボードを使っていて、そろそろ新しいマザーボードを使ってみたいと思っているのなら、Intel 815/815E搭載マザーボードも有力な選択肢となるだろう。
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【6月28日】ポストIntel 440BXの最右翼? Intel 815/815E搭載マザーボード登場!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000628/hotrev68.htm
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http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20000617/i815mb.html
(2000年6月30日)
[Text by 石井英男@ユービック・コンピューティング]