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高木産業 PNIII-C500V SiS630の採用で
TEXT:橋本新義 Shingi Hashimoto |
キーボードは同社のほかのモデルと共通のもの。キートップは広く扱いやすい。トラックパッドはやや右よりとなっており、左手では少々使いづらい |
最大の特徴は、XGA対応のTFT液晶ディスプレイを搭載しつつ、158,000円という低価格を実現した点だ。その秘密はCPUとチップセットにあり、それぞれCeleron 500MHzとSiS630という、ほかのノートPCでは見られないチップを搭載している点が興味を引く。前者については動作クロックこそ現在ではめずらしくはないが、モバイル用ではなく、デスクトップ用のSocket370版なのである。同社のノートPCには以前よりデスクトップ用CPUを搭載するタイプの製品があるが、本機はこの路線の新型モデルというわけだ。
キーボードとその下の放熱板を取り外すと、本機のCPUであるCeleron 500MHzが現われる |
チップセットとして搭載されたSiS630は、ローコストデスクトップPC向けの統合型チップセットだ。その機能と集積度においてほかのチップセットに大きく勝り、一般的なNorth Bridge、South Bridgeの機能をはじめ、ビデオ、サウンド、10 BASE-T/100BASE-TX対応のLANに加えて、HomePNA(電話線を用いた家庭用ネットワーク)機能までもを1チップに収めている。これにより部品点数を削減することができ、システムの大幅な低価格化を実現する。
SiS630の採用は、性能面でもメリットをもたらしている。SiS630に内蔵されたビデオコアは同社のデスクトップマシン向け最新ビデオチップ「SiS300」に相当する性能を持ち、ノートPCとしては比較的性能が高いためだ。実際に本機でいくつかの3Dベンチマークソフトを動作させてみたところ、「Final Reality」ではすべての画面効果が有効になっていることが確認できた。体感速度もノートPCとして考えれば間違いなく一線級のもので、ビジネスソフトやインターネットを中心とした利用であればまず不満を感じることはない。
本体背面。シリアル、パラレルといった標準的なポートや、CRT、ネットワーク端子が並ぶ |
USBポートは本体右側面に位置する。PCカードスロットがTypeII一つだけという点は少し残念だ |
筐体はPNIII、IVシリーズ共通の仕様で、HDDやCD/DVD-ROMドライブの交換が容易なことから評価の高いものだ。メインメモリは標準では64MBを搭載し、SO-DIMM1枚の形で実装されている。DIMMソケットは2基用意されており、256MBまで拡張が可能だ。 ただし、デスクトップ用のパーツを多く使用しているため、バッテリ駆動時間は約1.5時間と非常に短い。そのため、飛行機などでの移動中に作業をすることはお勧めできないが、持ち歩けないサイズでもないので、出先にコンセントがあれば、プレゼンの際にも役立つだろう。
思い切った設計により、高いコストパフォーマンスを達成した本機は、省スペースデスクトップマシンとして家庭、オフィス共に適応できる。この夏の低価格PCの注目機であることは間違ない。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□高木産業のホームページ
http://www.purpose.co.jp/
□製品情報
http://www.purpose.co.jp/pc/lineup/pn3-c500v.htm