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NEW PRODUCTS TESTREPORT


日本IBM
ThinkPad A20m 2628-31J

15インチTFT液晶を搭載した
オールインワンA4ノートの新モデル

TEXT:森里太助 Tasuke Morisato



初期のモデルから高い評価を得ているThinkPadのキーボードは本機においても健在だ。キーピッチ、ストローク、ともに余裕があり手にかかる負担も少ない
 日本IBMがオールインワンノートPCのラインナップを一新した。今回はその中から、ThinkPad 390の後継機種となる「ThinkPad A20m 2628-31J」を試用することができたので、紹介しよう。

 同モデルで、もっとも特徴的な部分が17インチCRT相当の表示面積を持つ15インチTFT液晶ディスプレイだろう。デスクトップ機の代替を狙っている機種だけに、10インチや12インチクラスのモデルと比較すると、ウィンドウをいくつも開くような作業の効率は格段に高くなる。実際に使用してみると、液晶ならではのドットがくっきりとした表示が大画面と相まって目も疲れにくい。ただ、液晶自体の視野角が少々狭い感じがするが、これは逆にオフィスや乗り物の中などでは隣席から作業内容を覗かれないという利点でもある。また、ビデオチップにはAGP接続されたATIのRAGE Mobility-M1を採用し、8MBのビデオメモリを搭載しているためノートPCとしては描画速度も速い部類に入る。さらに外部ディスプレイに接続した場合には、1,280×1,024ドット/1,677万色まで表示できるため、プレゼンテーションの際などにも役立つだろう。


背面部(上)および本体右側面(下)。USB、シリアル、パラレルなどの端子や、イーサネット端子も備える
 基本スペックは、CPUにモバイルCeleron 500MHzを採用し、12GBのHDD、64MBのメモリを標準装備している。大画面モデルであることから、ExcelやWordといったアプリケーションを複数のウィンドウを開いて作業することが考えられるだけに、全体的なバランスを考えてもメモリが少ない感がある。できれば128MBに拡張して使用したいところである。

 拡張性に関しては、標準的なType IIスロットを二つ(Type IIIの場合は一つ)を備えているほか、ウルトラベイ2000という独自拡張ベイが用意されている。標準ではここにCD-ROMドライブが搭載されているのだが、DVD-ROMドライブ、CD-R/RWドライブ、FDD、HDD、SuperDiskドライブ、セカンドバッテリへと換装することが可能だ。これらのデバイスはオプションとして用意されており、用途によりユーザーが選択できる。これ以外に、本体底面にはMini PCIスロットが用意されている。同モデルの場合はここに10BASE-T/100BASE-TXに対応したネットワークカードが装着されているが、このデバイスもオプションのモデムとネットワークの両方に対応したコンボカードに変更することができる。また、モバイル機器同士の無線データ転送方式であるBluetoothもサポートする予定となっており、将来性も高い。サイズに制限のあるノートPCでありながら、これだけの拡張性を備えていることは、本機の大きなアドバンテージと言えるだろう。


本体裏面にはXircom製のMiniPCIモデムカードが装着されている
 また、ファンクションキーの左上にはThinkPadキーが用意されており、これを押すとさまざまなヘルプが表示されるという初心者にも優しい設計になっている。その横には内蔵スピーカーのボリュームキーがあり、Windowsの音量設定を操作することなく簡単に変更することができる。ただし、内蔵ステレオスピーカーは高音域での音割れがやや目立つので、本機だけで音楽CDを聞いたり、DVD-Videoを楽しみたいという場合にはいささか力不足の感がある。そういった場合には、本機左サイドにヘッドホン出力端子が設けられているので、そこから別途スピーカーを接続するほうが好ましいだろう。

 今回の試用では、標準バッテリではフル稼働で2時間超使用することが可能だったが、3kgを超える重量だけにモバイルという用途にはあまり向いていない。やはり、机上のスペースを有効活用しながら、なおかつ高い拡張性を備えたPCが欲しいというユーザーにオススメできる製品である。


  • 製品名:ThinkPad A20m 2628-31J
  • 標準価格:285,000円(IBM PC Direct価格)
  • メーカー:日本IBM株式会社
  • 問い合わせ先:0120-04-1992
  • URL:http://www.ibm.co.jp/
  • CPU:モバイルCeleron 500MHz
  • チップセット:440BX
  • メモリ(最大):64MB(512MB)
  • HDD:12GB
  • FDD:3モード
  • CD-ROMドライブ:最大24倍速
  • ビデオチップ:ATI Rage Mobility-M1
  • ビデオメモリ:8MB
  • ディスプレイ:15″TFT液晶
  • 最大解像度:1,024×768ドット/1,677万色
  • サウンドチップ:Sound Blaster Pro互換
  • キーボード:89キー
  • 拡張スロット(空き):Mini PCI×1
  • インターフェース:USB×1、キーボード/マウス(PS/2)×1、シリアル(Dsub 9ピン)×1、パラレル(Dsub 25ピン)×1、CRT(Dsub 15ピン)×1、LINE IN×1、ヘッドホン×1、マイク×1、10BASE-T/100BASE-TX(RJ-45)×1、モデム(RJ-11、オプションにより利用可能)×1、IrDA×1、PCMCIA Type II×2(Type III×1、CardBus、ZVポート対応)
  • 電源:リチウムイオンバッテリまたはACアダプタ
  • バッテリ駆動時間:3.5時間
  • 本体サイズ(W×D×H):317×267.5×36.7mm
  • 重量:3.1kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □日本IBMのホームページ
    http://www.ibm.co.jp/
    □製品情報
    http://www.jp.ibm.com/pc/thinkpad/tpa20m05/tpa20m05a.html
    □関連記事
    【5月11日】IBM、ThinkPad 600後継機など3機種12モデル
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000511/ibm.htm


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    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp