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■月2~3万円の電話代に音を上げて


●はじめに

 難視聴解消のシステムとしてスタートし、既に半世紀近い歴史を刻んできた我が国のケーブルテレビ(正式には「有線テレビ放送」以下CATVと記す)は、共同受信施設にはじまり、自主放送、大規模な多チャンネル時代を経て、ここ数年はフルサービス化に向けた新たな通信事業を展開。CATV電話やCATVインターネット接続といったサービスが急速に普及し始めている。サービスは局によってまちまちだが、定額制で(5~6千円)高速な(数100kbps~10Mbps[*1]のベストエフォート型)常時接続環境を提供する局が大半を占め、現在は100局を超えるCATV局がサービスを提供する。まだまだ地域限定サービスであり、NTTのIP接続サービスやADSL接続サービス、無線インターネット等の動向も気になるところではあるが、サービスエリアにお住まいなら、インターネットアクセスの有力な選択肢であることは間違い無い。

 筆者自身は、特に常時接続に対するこだわりが無かったので、長い間ダイヤルアップ接続のまま過ごして来た。が、やはり電話代というのは大きなネックとなっていた。正直に内情を暴露してしまうと、この1年間を平均すると毎月550回、250時間くらいISPに接続していた。夜型の生活が幸いし、テレホーダイに助けられている部分がかなり多いが、それでも、エリアプラス併用でコンスタントに月2~3万円の電話代が出ていた。

 郵政省の「通信利用動向」平成11年度版で見ると、世帯あたりの電話代は平均7,074円。我が家は、2万円以上支払っている4.2%の中にしっかり入ってしまっている(半分事業所と考えればいいのだが)。ついでにいうと、今年2月に東電から送られてきた「電気のシェイプアップカルテ~セルフチェック表」によれば、我が家は、同じ契約容量の家庭の平均使用量の2倍近くを消費している。

 話が横道にそれてしまったが、タイミング良く筆者の所でもCATVを使ったインターネット接続が利用できるようになった。我が家は集合住宅であり、従来からCATVベースの共視聴設備になっていたのだが、残念なことにインターネット接続サービスのエリアからは、200mくらい外れてしまっていたのである。エリアが拡張され、サービスが利用できる様になり、調査の結果マンション側の設備も、ブースターの交換だけで双方向OK。いくつかの条件をくぐり抜けて最終的には、部屋の直列ユニット(同軸ケーブルの端子盤)を1つ交換して無事開通した。

 導入費用は、戸建/集合、設備の有無、付加工事の有無、CATV加入の有無等で異なってくるのだが、条件が整っていた上に、サービスだかキャンペーンだかの値引きがあって結局1万円で済んでしまった。つないだ結果はどうかというと、時間帯や接続先にもよるが、筆者のところでは実質200~250kbpsくらい出ている(300kbpsあたりで帯域制限をかけていると思われる)。ISDNの頃には、20MBのファイルの転送が1時間ぐらいの見積もりだったので、確実に5~6倍はスピードアップしている。


●CATV回線をLANに

 自宅では、随分前からLANを組んでおり、ここ3年間はダイヤルアップルータが、インターネットにつなぐ主回線になっていた。システムには、LAN経由でインターネットにつながることを前提とした部分が多々あるため、新たなアクセスラインの導入に際しては、このダイヤルアップルータを置き換えられるのも1つの条件になっていた。後で知ったのだが、CATV局によっては、そのような使い方を規制していたり、そのために特別なメニュー(固定アドレスでサーバを置けたり、ドメインを登録できるところもあり、これはこれで利用価値が高い)を用意していたりするところもあり、5~6年前のプロバイダ事情とオーバーラップしてしまう。

 筆者のところは、幸いこのような規制のないところだったので即加入し、ダイヤルアップルータ置き換え作戦を開始。3年間活躍したMN128 SOHOは、今ではアナログ電話/FAX用のターミナルアダプタとして、余生を送っている。

*1 ケーブル上では30Mbpsまで行けるが、現状ではユーザー側のインターフェイス(10Base-T)が10Mbpsなので、これを上限とすることに異論はないだろう。


 この企画では、CATVインターネットの概要、接続の仕組みから、実際の製品のレビューや、接続速度ベンチマークなどを全9回の予定でお届けする。

(2000年5月31日)

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp