USB 2.0がいよいよ目の前に迫ってきた。先週、米ニューオリンズで開催された、Microsoftの技術カンファレンスWinHEC 2000で、Intelのパット・ゲルシンガー副社長兼CTO(Intel Architecture Group)は、USB 2.0の仕様が完成したことを発表。また、USB 2.0コントローラチップを使ったデモを初めて行なった。
USB 2.0は、現行USB 1.1の上位規格で、従来の40倍に当たる480Mbpsの高速データ転送を実現する。従来の転送モードであるLowスピードとFullスピードの2モードに加えて、新たに「Highスピード」モードを定義した。既存のUSB 1.1とはコネクタやケーブル、ドライバソフトで上位互換を保つ。今回の発表を受けて、業界団体「USB Implementers Forum」では、仕様のダウンロードサービスを始めている。
ゲルシンガー氏は、キーノートスピーチの中で、USB 2.0対応スキャナで画像を高速に取り込むデモも行なった。このデモは、従来のデモと異なり実際の試作チップを使って行なわれたもので、USB 2.0の実現が近いことを印象づけた。デモで使われたチップは、PCに搭載されたのがNECのUSB 2.0対応ホストコントローラチップ「μPD720100」、Microtekのスキャナに搭載されたのがNetChipのUSB 2.0対応コントローラチップ「NET2290」だった。
USB 2.0対応機器とコントローラ搭載PCは、2000年第4四半期から登場するという。ただし、Intelのチップセットにホストコントローラが統合されるのは、2001年に登場する「ICH(I/O Controller Hub)3」からになる。本格浸透は、2001年中盤からというスケジュールは変わっていない。
MicrosoftのOSでのUSB 2.0のサポートは、2000年第4四半期にWindows 2000上で行なう。当初、年内のUSB 2.0サポートが予定されていたWindows Millennium Editionでのサポートは、2001年中盤へと後退した。これは、USB 2.0サポートをWindows 2000ベースで先行しているためで、Windows 2000後継でコンシューマOS分野もカバーする「Whistler(ウィスラ)」を前提とした動きのようだ。ただし、このために2001年半ばまでのUSB 2.0は、先進ユーザー中心に偏る見込みがさらに強くなった。
●20秒でPCを起動するRapid BIOS Boot
Rapid BIOS Boot デモ |
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BIOSメーカーのPhoenix TechnologiesがWinHECで行なった説明によると、PCでは起動時にBIOSが行なうタスクは135にのぼっており、なかでも、10程度のタスクが起動をもたつかせる原因になっているという。こうしたタスクの処理を簡略化することで、BIOSベースで高速起動化が図れるのだという。Rapid BIOSテクノロジは、2000年後半にOEMメーカーに提供されるという。この高速起動は、レガシーフリーPCとWindows Millennium Editionの組み合わせの利点を明確に示すポイントとなりそうだ。
また、ゲルシンガー副社長兼CTOは、次世代CPU「Willamette(ウィラメット)」のデモも行なった。今回は、Pentium III 500MHzと比較、HDTV映像のデコードをスムーズに行なえることを示した。
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【3月16日】IDF Japan '00 レポート USB 2.0のIntel製チップセットへの統合は2001年
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000316/usb.htm
【'99年10月13日】USB 2.0の最高速度はFireWireを上回る480Mbps、2000年後半に製品化
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991013/usb2.htm
(2000年5月2日)
[Reported by 後藤 弘茂]