4月25日~27日 開催(現地時間)
会場:New Orleans Morial Convention Center
米NVIDIAは、GeForce後継の次世代グラフィックスチップ「GeForce2 GTS」を発表した。4月24日から米ニューオリンズで開催されているMicrosoftのハードウェアエンジニア向けカンファレンス「WinHEC」でアナウンスされたもの。
GeForce2 GTSは、NV15のコードネームで知られていた。0.20μmプロセスで製造されていたGeForce(NV10)を0.18μmに移行させ、大幅な機能向上を図った製品だ。NVIDIAは、半年毎に新しいグラフィックスプロセッサ(GPU)を発表すると宣言しており、今回もその公約を守ったことになる。
GeForce2 GTSは、GeForceと比べて、テクセル性能では約3倍、ジオメトリ性能は約1.6倍以上も向上した。テクセル性能は1.6Gテクセル/秒と、同社の製品としては初めてギガを超えたため、GTS(Giga Texel Shader)と名付けた。
GeForce2 GTSのレンダリングパイプはGeForceと同様に4本。しかし、各パイプがそれぞれ2テクスチャを貼ることができる。そのため、1クロック当たり4ピクセル×2テクスチャ=8テクセルの処理が可能になった。GeForce2 GTSのコアクロックは200MHzなので、200M×4テクセル=1.6Gテクセル/秒になる。ちなみに、フィルレートは半分になるため800Mピクセル/秒となる。
GeForce2 GTSのシェーディングエンジン「NVIDIA Shading Rasterizer(NSR)」は、ピクセル単位(パーピクセル)でのシェーディング処理が可能で、よりリアルな画像の生成が可能になっている。バンプマッピング処理もパーピクセル処理ができる。
また、このエンジンは、7つのオペレーションがシングルパスで可能な構造になっている。つまり、ベーステクスチャの貼り込み、バンプマッピング、ディフューズライティング、スペキュラライティング、フォッギング、アンビエントライト、アルファトランスペアレンシの各処理をシングルパスでかけることができる。そのため、従来ならマルチパス処理をすることでレンダリング性能を犠牲にしなければならないような複雑な処理でも、パフォーマンスロスなく実行できるようになったという。
また、フルシーンのアンタイエイリアシング(anti-aliasing)をサポート。1,024×768ドット以下の解像度では、ほとんどパフォーマンスを落とさずに画面全体のジャギをなくして画質を向上できる。
また、HDVP(High-Definition Video Processor)を内蔵、米国のデジタルTVの画像フォーマットであるATSC(Advanced Television Systems Committee)標準の18フォーマットすべてのデコードが可能となっている。
メモリ容量は最大128MBまで。メモリはDDR SDRAMで、166MHz(転送レート333MHz)。メモリインターフェイス幅は128bitで、メモリ帯域は5.2GB/秒。メモリ帯域に関しては、調達可能なメモリのスペックの制約から、現状ではGeForceと同様のスペックになっている。それに対して、フィルレートは約1.6倍に上がっているため、ソフトによってはメモリ帯域が性能のネックになる可能性がある。ただし、チップ自体は400MHz DDR SDRAMに対応が可能だという。その場合は、メモリ帯域は6.4GB/秒に上がる。
ジオメトリ性能は従来の15Mトライアングル/secから25Mトライアングル/sec以上と約1.6倍に向上した。しかし、コアクロックもGeForceの120MHzから200MHzへと約1.6倍へと向上しているため、このスペックの通りなら、クロック当たりの性能は従来通りということになる。
GeForce2 GTS搭載ボードは、32MBと64MBのAGPバージョンと32MBのPCIバージョンの登場が想定されている。32MBで299ドル、64MBで399ドルの見込みだという。128MBバージョンはワークステーション用で、1,000ドル以上になると見られる。今後数週間で、各ボードメーカーから小売店に出荷される予定。チップ自体の製造は、GeForce同様に台湾TSMCに委託する。
グラフィックスコア 256bit
ジオメトリ性能 25Mトライアングル/秒以上
フィルレート 800Mピクセル/秒
テクセル性能 1.6Gテクセル/秒
TMDSトランスミッタ内蔵(最大1,280×1,024ドット)
メモリ 最大128MB DDR SDRAM 333MHz(166MHz)
メモリ帯域 5.2GB/秒
□NVIDIAのホームページ(英文)
http://www.nvidia.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.nvidia.com/News/Pages.nsf/pages/pr_042600aa
□WinHEC 2000のホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/winhec/
(2000年4月26日)
[Reported by 後藤弘茂]