Click


←Colorio Copy CC-700 ↑今月のインデックスへ ImageDECK→

NEW PRODUCTS TESTREPORT


キヤノン販売
CanoScan FB1210U

キヤノン独自の光学設計を活かした
トゥルー1,200dpiスキャナ

TEXT:本間 文 Bun Honma



最大読み取りサイズは216×297mmとなっており、従来機種と変わりはない
 キヤノン販売のフラットベッドスキャナ「CanoScan FBシリーズ」に、1,200dpi CCDを搭載したフラグシップモデル「CanoScan FB1210U」が追加された。同社はこれまでも600dpiのCCDを採用しながらも、「VAROS」(Variable Refraction Optical System:バロス)と呼ばれる独自の画素ずらし技術により、主走査方向の最高光学解像度を2倍の1,200dpiに高めた「CanoScan FB1200S」を発売していた。このCanoScan FB1200Sで採用されたVAROSは、画像を一旦600×1,200dpiの解像度で読み込み、続けてCCDセンサーとレンズの間に配置したガラス板を微小角度で傾斜させることで光を屈折させ、1/2画素分ずらした画像を再度取り込んで、これらの二つの画像をPC側で合成するというもの。その最大のメリットはリアル1,200dpiのCCDに比べ、CCD一素子あたりの集光能力(画素開口面積:光を受ける部分の面積、すなわち画素サイズ)に優れているため、リアル1,200dpiのCCDを採用するよりも豊かな階調表現が可能になるというメリットがある。エプソン販売が「GT-7600U」でCCDを2枚貼り合わせることで光学解像度1,200dpiを実現させているのも、リアル1,200dpi CCDの階調再現能力の低さを嫌ったためだ。


1,200dpi CCDをフルに活かした画像は、ヨットのマストなど細部の描写の細かさに現れているが、全体的にやや明るくなる傾向は気にかかる
 しかし、さすがはカメラメーカーのキヤノンらしく、このCanoScan FB1210Uでは、リアル1,200dpi CCDの弱点を光学系パーツの改良でカバーしている。つまり、CanoScan FB1210Uに採用された1,200dpi CCDは、従来の600dpi CCDに比べ4分の1の集光能力しか持っていないが、それを補うべく、光源やレンズの改良により、1素子あたり従来比4倍の光量が当たるようにして、従来の600dpi CCDと同等の階調再現性を確保していると言うわけだ。

 そこで、CanoScan FB1210Uに搭載された新技術について、もう少し詳しく見ていくことにしよう。まず、光源の改良については、高輝度冷陰極蛍光ランプを採用しただけでなく、光源を挟むような形で高性能の反射板(リフレクター)を2枚取り付けて光量を増大させている上、原稿台からの反射光もL字型の反射笠を搭載することで、光源からの光を余すことなく活用できるようにしている。また、これらの光を効率よくCCDに受け渡すため、新開発の「ガリレオレンズ」を搭載している。現在市販されているCCD搭載の普及型フラットベッドスキャナでは、4群4枚の高性能レンズを採用しているが、CanoScan FB1210Uに採用されたガリレオレンズは、大口径な5群5枚の高性能レンズを採用することで、色収差(RGB各色のうち、特定の色の解像力が低下して色ズレが発生する現象)や像面湾曲収差(原稿端部の結像位置のズレによって解像力が低下する現象)を最小限に抑え、1,200dpiスキャナにふさわしい高い分解能を実現している。


オプションで用意されている透過原稿ユニット「FAU-S11」(標準価格1万円)。本機の価格設定に合わせた手頃な価格がうれしいところである
 インターフェースはUSBのみで、SCSIなどの高速インターフェースはサポートしていない。読み取り階調はRGB各色14bitの42bitで、出力は42bitと24bitをドライバ側で選択できるようになっている。また、Windows 98対応のTWAINドライバソフトScanGear CS-Uは、プレビュー画面の大きさを自由に調節できるほか、アンシャープ処理やヒストグラム表示によるハイライト/シャドー調節、ガンマ調整などの補正が簡単に行なえる。さらに、2値画像の背景色を除去する「ImageTrust」をサポートし、同梱される日英活字OCRソフトの「e.Typistエントリー」と組み合わせて精度の高いOCR変換を可能にしている。このほか、RGB14bit出力データの加工も可能なAdobe Photoshop 5.0J LEが同梱されており、本格的なフォトレタッチにチャレンジしたいというユーザーには最適なフラットベッドスキャナと言えるだろう。


  • 製品名:CanoScan FB1210U
  • 標準価格:39,800円
  • メーカー:キヤノン販売株式会社
  • 問い合わせ先:0570-01-9000
  • URL:http://www.canon-sales.co.jp/
  • 最大読み取りサイズ:216×297mm
  • インターフェース:USB
  • 読み取り方式:フラットベッド型(原稿固定型)
  • センサー:CCD
  • 光源:冷陰極蛍光ランプ
  • 光学解像度:1,200×1,200dpi
  • 読み取り階調:入力14bit、出力8/14bit
  • 消費電力:15W
  • 本体サイズ(W×D×H):286×461×92.5mm
  • 重量:3.8kg
  • 添付品:Adobe Photoshop 5.0J LE、e.Typistエントリー、Scanbox CARD

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □キヤノン販売のホームページ
    http://www.canon-sales.co.jp/
    □製品情報
    http://www.canon-sales.co.jp/Product/CanoScan/fb1210u.html
    □関連記事
    【3月13日】キヤノン、1,200dpiで39,800円のフラットベッドスキャナ
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000313/canon.htm


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp