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EDEX2000電子ディスプレイ展が開幕
~ 15インチUXGAポリシリコンTFT液晶が登場 ~

開催地:パシフィコ横浜
会期:4月12日~14日
主催:社団法人 日本電子機械工業会(EIAJ)

 EDEX2000電子ディスプレイ展が、パシフィコ横浜で12日から開幕した。EDEXは年1回開催される、液晶やプラズマディスプレイなどを中心とした電子ディスプレイの展示会で今年で15回目を数える。出展者数は昨年の31社(団体)から5社増え、36社(団体)となった。

 EDEXの展示は液晶パネルや、コントローラIC、またそれらを組み込んだユニットなどの部品がメインであり、一般市場にそのまま並ぶような製品の展示はほとんどない。しかし、これから採用される製品の動向を、いち早く知ることができるという意味では、注目されるイベントとなっている。


 


●総画素数からPPIの世界へ

シャープの6.35インチ、202PPI液晶。画素数でいえば1,024×768ピクセルとなる 東芝は200PPIシリーズとしてすでに4インチのものを商品化している。今後6.3インチと、10.4インチがラインナップに加わる
 現在、液晶の解像度を示す場合に最も一般的に使われる単位は、1,024×768ドットといった総画素数。しかし、液晶の高解像度化が進んだ結果、PPI(1インチ当たりのピクセル数)という単位も重要になりそうだ。

 今回の展示会でも、200PPIを超える液晶ユニットが数社から出品された。まず、シャープが6.35インチで202PPI(1,024×768ピクセル)のモジュールを参考展示している。まだ、開発中の製品とのことだが、発注があれば生産可能としている。価格については「作ってみないとわからない」という。

 また、東芝はすでに低温ポリシリコン技術を使用した「200PPIシリーズ」を発表しており、4インチ(640×480ピクセル)の出荷を開始している。さらに、6.3インチ(1,024×768ピクセル)の出荷も間近で、10.4インチ(1,600×1,200ピクセル)も開発中とのことだ。

 実際にこれらの200PPI液晶の表示を目にすると、今までの液晶とは次元の違うことがわかる。液晶はデジタル表示であるため今までの100PPI程度では、ある程度離れて見てもドットを確認することができた。しかし、200PPIを超える液晶では、よほど顔を近づけて目を凝らさない限りはドットを確認することができない。ここまでくれば、総画素数より、“密度”、つまりPPIの持つ意味が大きくなると考えれる。

 しかし、これらのパネルはまだ技術的に可能というレベルで、実際の製品の価格はかなり高くなるため、コンシューマ製品に搭載されるには、もう少し時間がかかりそうだ。

●15インチUXGAポリシリコンTFT液晶が登場

 また、液晶は高精細化と同時に、今までどおりの大型化、高解像度化もさらに進んでいる。特に1,600×1,200ピクセルについては、多くのメーカーが参入している。

 その中でも注目されるのが、世界初となる低温ポリシリコンの15インチ、1,600×1,200ピクセルのパネルを参考展示した、東芝だ。低温ポリシリコン独特のツヤのある発色が、他社にはない特徴となっている。なお、製品化は今秋の予定としている。

 さらに、シャープからも15インチと19.6インチが参考出品されたほか、富士通は23.1インチ、サムスンは15、16.5、21.3インチ、日立が19インチなど、すでに各社が1,600×1,200ピクセルの液晶をラインナップに持つようになっている。

 とはいえ価格はまだまだ高く、メーカーでも用途を「CAD」、「証券端末用モニタ」などとしており、コンシューマーユーザー向けの製品となるのはまだ先のようだ。

東芝は世界初の1,600×1,200ピクセルの15インチ低温ポリシリコンを参考出品。製品化は今秋。
低温ポリシリコンだけあって、色再現性は高い
シャープは、15インチと19.6インチの1,600×1,200ピクセルの液晶を参考展示した

富士通は23.1インチの1,600×1,200ピクセル液晶 日立は19インチ、視野角の広いSuper-IPS方式を採用した1,600×1,200ピクセル液晶 サムスンは、デスクトップ用とノートPC用の両方に1,600×1,200ピクセル液晶をラインナップしている

●オーバーXGAの新解像度SXGA+の浸透が進む

 CRTディプレイで1,024×768ドット(XGA)の次の解像度というと1,152×864ドットまたは、1,280×1,024ドット(SXGA)になる。しかし、1,280×1,024ドットでは640×480ドットとアスペクト比が異なるため、ディスプレイの筐体の設計に変更が必要になるなどの不都合がある。

 そこで考え出されたのが、1,400×1,050ドットの「SXGA+」という新しい解像度だ。'99年10月に開催された「LCD/PDP International'99」では、IBM、サムソン、日立の3社が出品していたが、今回ではさらにシャープがノートPC用の13.3/14.1/15インチを展示。14.1インチについては6月から、15と13.3インチについては8月から生産を開始するという。価格も「XGAより少し高い程度」としており、SXGA+がさらに身近になりそうだ。

 また、もう1つのアスペクト比4:3のオーバーXGA、三菱の1,280×960ドット(Quad-VGA)のノートPC用ユニットも参考出品されていた。なお、Quad-VGAのデスクトップ用液晶は、すでにソニーの「VAIO Lシリーズ」に採用されている。

 今回、参考出品されたノートPC用のユニットは、輝度をデスクトップ用の250cd/平方mから170cd/平方mに下げるなどして消費電力を17Wから6.7Wに省電力化したほか、薄型(7.9mm)、軽量化(780g)したもの。量産出荷は12月の予定。 なお、三菱では他社にもQuad-VGAの採用を呼びかけくていくとしている。

シャープもSXGA+に参入。13.3、14.1、15インチをラインナップ。「ユーザーからの要望が多かったので、開発した」という 三菱はノートPC用のQuad-VGA液晶を、12月から量産出荷する

 NECは、SXGA+やQuad-VGAとは少し趣が違ったものを出展している。4月10日に発表した、20.1インチ1,920×1,200ドットのTFT液晶だ。アスペクト比は16:10で、ワイドテレビの16:9より、少しVGAの4:3に近い変則的な解像度。

 入力はHDTVとPCの両方に対応し、輝度は400cd/平方m。応答速度は公開されていないが、実際にビデオの再生画面を見た限りでは、映像ソフトの鑑賞に十分に耐えうる性能との印象をもった。

 今すぐにも販売できそうな、HDTVのロゴまで入ったケースに組み込まれた状態で展示されていたが、今のところ開発表明レベルで、商品化については未定とのことだ。また、販売される際にも、NECからはユニットのみの供給で、ディスプレイの形でNECブランド発売する予定はないとのことだ。

●反射型低温ポリシリコン液晶も登場

 反射型カラー液晶はすでに実用化が進んでおり、今回も数多くの反射型カラー液晶が展示された。その中で最も注目されるのが、東芝の反射型低温ポリシリコンTFTカラー液晶だ。

 8.4と4インチの2モデルがあり、解像度はいずれも640×480ピクセル。製品出荷は10月が予定されている。実際に展示されている液晶を見たところ、上部からライトがあたっている限り、4インチではほとんど問題ないのだが、8.4インチでは正面から少しでもずれると、端のほうの表示が見づらくなってしまった。

低温ポリシリコンTFT液晶にも、反射型が登場。8.4と4インチがラインナップされる。解像度はいずれも640×480ピクセル。
8.4インチではさすがに、斜めから見るとつらい

シャープのスーパーブライト液晶。上部のライトを消して、会場の明かりだけで撮影している。
実際より写真の方が明るく写っているが、肉眼でも文字は十分読めた

 また、シャープが参考出品している新しい反射型カラー液晶「スーパーブライト」もかなり目を引く。従来の「スーパーホワイト」の反射率を30%以上から、40%以上にしたことで、暗いところでの視認性を大幅に向上。展示台に備えられている上部のライトを消しても、会場内の明かりだけで、文字を十分に読むことができる。スーパーホワイトの場合、この程度の明るさでは、何かが映っているのがわかる程度で、文字を読むことはかなり難しかった。ここまで、暗いところでの視認性があれば、反射型カラー液晶の用途がかなり広がりそうだ。

 また、携帯端末用液晶のもう1つの動きとして、バックライトへの白色LEDの採用がある。従来の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)と比較したメリットは、ユニットを薄くできる、昇圧回路が不要になる、ノイズが少ないなどで、携帯端末向きの方式といえる。

 コスト的にも液晶自体は白色LEDバックライトの方が高くなるが、昇圧回路がいらないため、全体としては、割安になるという。今回はエプソンや三洋が白色LEDバックライトを搭載した液晶を出展している。

エプソンの1.8インチ(474×234ピクセル)、白色LEDバックライト液晶の応用例。CCFLに比べると、少し白が飽和しているように感じる 三洋の1.5インチ白色LEDバックライト液晶の応用例


●その他

コモックが展示していた立体視フィルタ。細かいレンズを多数並べることで、目の調節機能の錯覚を利用して奥行きが感じられるという。立体視で一般的な両眼視差を利用した飛び出る画像ではなく、自然な奥行き間がでるという。
実際にフィルタをかけてビデオ見てみると、「いわれればなんとなく奥行き間があるような……」という感じだった

【シャープの応用例】

【エプソンの応用例】

【三洋の応用例】


□EDEX2000電子ディスプレイ展のホームページ
http://www.jesa.or.jp/edex2000/

□関連記事
【4月10日】NEC、20.1インチ1,920×1,200ドットのTFT液晶ディスプレイを開発
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000410/nec.htm
【'99年10月27日】LCD/PDP International'99が開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991027/lpi99.htm
【'99年4月14日】EDEX'99 電子ディスプレイ展が開幕
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990414/edex1.htm

(2000年4月12日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp