「LCD/PDP International'99」が10月27日にパシフィコ横浜で開幕した。LCD/PDP Internationalは今回で6回目となる、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などのフラットディスプレイそのものから、製造装置、部材などを一同に集めた展示会だ。そのため、最終製品はほとんど展示されていないが、このイベントに出品されたパネルが、近い将来にノートPCや、携帯端末に搭載される可能性が高いため、いち早くこれらの機器の動向を知ることができるイベントとなっている。
初日の27日は、あいにく朝からの雨模様。通路を広くとっているため、会場全体はあまり混雑している印象はないが、各ブースは背広姿の人たちで混雑した。また、入場者も国際色豊かで、英語でのやり取りが多く聞かれる。その点でもWORLD PC EXPOやCOMDEXなどパソコン系のイベントとは、かなり異なった雰囲気だ。
●液晶用の新しい解像度が登場
CRTディプレイでは1,024×768ドット(XGA)の次の解像度というと、1,152×864ドットまたは、1,280×1,024ドット(SXGA)になる。しかし1,152×864ドットでは、それほどXGAから解像度が上がったように感じない。そこで液晶でXGAより高い解像度として、1,280×1,024ドットを表示しようとすると、アスペクト比がVGA、SVGA、XGAの4:3と異なり5:4になってしまい、パネルの縦横比が変わってしまう。そのため、XGAの液晶パネルを採用していた筐体に、たとえインチサイズが同じでもSXGAのパネルを載せようとすると、筐体の設計に変更が必要になる。
こういった問題を解決するために考え出された解像度が1,400×1,050ドットの「SXGA+」だ。SXGA+はアスペクト比がXGAなどと同じ4:3なので、パネルサイズが同じならXGA搭載モデルと同じ筐体が使用可能だ。今回はこの規格をいち早く提唱したIBMをはじめ、サムソンと、日立からもSXGA+の液晶が出品されており、これからSXGA+の一般化が進みそうだ。
IBMではThinkPad 770Xの上に、15インチSXGA+のパネルを載せて展示。XGAと比べると100~150ドル程度高くなるという | サムソンでもSXGA+に取り組んでおり、15インチと16インチの2サイズが用意されている |
また、三菱からは1,280×960ドット(Quad-VGA)の15インチ液晶パネルが出荷されている。この解像度もアスペクト比が4:3なので、筐体をXGAモデルと共通にすることが可能。なお、このパネルは既に発表されているソニーの「VAIO L720」に採用されている。
●より一層の高解像化が進む液晶
液晶の高解像度化は順調に進んでおり、IBMが20インチで2,048×1,568ドットという超高解像度のパネルを展示している。また、1,600×1,200ドット(UXGA)クラスでは、シャープ、三菱、東芝、サムソン、日立、NECなど大手メーカー各社が参入を開始している。
IBMは20インチで2,048×1,568ドットのパネルを出品している。写真の表示はあまり高画質ではなかったが、表計算の画面の表示では高解像度の真価を見せていた | 三菱では同社の1,600×1,024ドットというワイド型のパネルを搭載した、RADIUSのディスプレイを展示している | 松下のブースでも、23インチUXGAのパネルのプロトタイプが展示されている |
サムソンは、以前から日本のメーカーと比較しても高解像度、大型化に力を入れている。今回も24インチの1,920×1,200ドットのワイド液晶や、21.3インチUXGAパネルなどを出品している
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東芝は、15インチでUXGAのポリシリコンTFT液晶パネルを参考出品。2000年後半にワークステーションや、ハイエンドのパソコン向けに出荷したいという | シャープは、開発中の20インチのUXGA液晶を展示している。おもな用途にCADや証券端末を挙げている。 | 日立からも、19インチUXGAのパネルが参考出品されている |
その中でも目を引いたのが、NECが展示していたUXGAの液晶パネルだ。これはサイズが9.4インチと小さいため、211ppi(pixel/inch)と高精細になっている。実際に写真などを表示すると、ドットがほとんど気にならず、液晶ということを忘れてしまいそうになるくらい細やかな表現を実現していた。
NECは211ppi(9.4インチ、UXGA)のパネルを参考出品。近づいて見ても、液晶とはわからないぐらいの高精細だ。果物もみずみずしく表示されていた | 用途の1つである電子書籍リーダーとして使っても、紙の本の活字に近い表示が可能となっている | 同じUXGAでも、21.3インチと9.4インチを拡大表示して比較すると、画素の密度がかなり違うことがわかる |
●応用製品のサンプル
サムソンではSXGA+の応用例として、液晶一体型パソコンを展示していた。CCDを搭載しているほか、実際に動くのかは確認できなかったが、右側面に搭載しているドライブには「DVD-RAM」のロゴが入っている。 非常に興味深いパソコンだが、同社によれば「あくまで応用例で、サムソンから発売されることはない」という。ただ、キーボードが日本語版だったりするので、日本のメーカーから発売されるかもしれない |
SXGA+のノートの搭載例も展示。こちらもあくまで応用例だ。 | サムソンでは反射型TFT液晶も製造している。その応用例として、ノートPCとデイスプレイが展示されている | 7.0インチ480×234ドット低温ポリシリコンTFT液晶の搭載例 |
エプソンは半透過、半反射型のカラー液晶を多数出品していた。用途のメインはやはり携帯電話のようだ。 | 概念モデルとして、いくつかのコミュニケーションツールを提示。中でも注目なのはモバイルデジタルコミュニケータ「モバ蔵」。曰く「家庭内の電気機器と連携した冷蔵庫と連動する。3ドアタイプはオプションで、パーシャルディスプレイ、CARD-PC、小物入れにできる」らしい……。もちろん、広告用で実在はしない |
【三洋】 | 【富士通化成】 |
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1.5インチ反射型低温ポリシリコンTFTカラーを搭載した携帯電話。CCDと液晶以外はモックとなっている | 「ツインモニター TW150」。15インチTFTディスプレイを2個並べたディスプレイ。ただ、2個つながっているだけで、機能的には単体のディスプレイを並べるのと違いがない |
□LCD/PDP International'99のホームページ
http://www2.nikkeibp.co.jp/EXPO/lcd99/index.html
('99年10月27日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]